「砂の器」終わりました。 | 近藤嘉宏オフィシャルブログ「Brillanteな瞬間」Powered by Ameba

「砂の器」終わりました。

2日間に渡る

「砂の器」シネマコンサート。

あのピアノ協奏曲「宿命」を

演奏しました!

2公演とも完売。

素晴らしい!!

 

初日のGPの様子。

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今回のコンサートは

本当に大プロジェクトで、

まずは消失している楽譜の復元作業を

作曲家の和田薫さんが行うところから

始まりました。

またこの映画はセリフと音楽が

別トラックになっておらず、

この演奏会のために

最新技術で音楽のみを映画から

取り除いたとのこと。

これも凄い。

 

また、今回はストリーマーといって

映像に小節の頭などに

分かりやすいよう視覚的な合図を入れ

それを指揮者とソリストだけが見るという

形態をとりました。

僕は初めての経験。

もちろんオケは映像は全く見ずに

指揮者とソリストに合わせる訳で

指揮とソロの責任は重大。

 

しかし…

実際ピアノを弾く時に

全ての映像の合図を見ることは

ほぼ不可能です。

また映画に挿入されている

オリジナルの演奏が

非常にテンポの揺れが大きいため、

まずはその全体の流れを掴まないと

演奏がギクシャクして

そもそも音楽にならない。

まずは全体のテンポ感を

家でストリーマーをひたすら見て

体に叩き込む。

これが本当に大変だった…

 

体に浸透してくると音楽の表現上、

映像とズレても構わない箇所も

分かってきますし、

少々映像とズレたところで

それほどの心配はなくなります。

そもそも演奏する時に

そればかり気にしていては

音楽になりませんし、

自然に弾いて合わないといけないのは

普通の合わせものでも言えること。

ただ、相手は映像ですから

決してこちらに歩み寄っては来ないので、

その部分を指揮者と共有し

強固な信頼関係を築かなければなりません。

指揮の竹本泰蔵さんは

とてもフランクなお人柄。

指揮も丁寧で堅実な素晴らしい方でした。

とても良い関係を構築できて

本当に良かったと思います。

 

GPにおける打ち合わせ。

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さて、実際の演奏について。

まず最初に感じるのは

このコンサートを

単に音楽部分を

完コピするだけと考えるのは

大きな間違いかなと。

単に音楽をコピーするなら

演奏家が弾く意味がありません。

生演奏にどれだけの

表現とメッセージを込め

譜面から説得力を引き出すかが

演奏家の勝負どころです。

「映画」という絶対的で

決して歩み寄らない「マエストロ」と

ピアノ協奏曲を弾いて

どう自分の表現を出し切るか、

というイメージですね。

ストリーマーを見ながら弾くという

普段にはない注意力が必要なのは

確かに大変で本当に痺れますが、

クリエイティブかつ

チャレンジ精神に満ちた本番でした。

 

竹本さんはまさに職人技!

素晴らしかったです。

実際の映画の中でも演奏している

東京交響楽団、

美しい響きでした。

 

終演後、大盛り上がりの打ち上げ。

コンサートディレクターを務めた

和田薫さんと。

有難うございました&お疲れ様でした!! 

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