「弾く」ということに求めるもの | 近藤嘉宏オフィシャルブログ「Brillanteな瞬間」Powered by Ameba

「弾く」ということに求めるもの

「ピアノを弾く」。
これ自体は皆が同じことをやっているわけですが、
「ピアノを弾くことに何を求めるか」となると、
本当に多種多様です。

僕自身も色々と変化してきたように思う。
勿論演奏に対しては常に
「表現する」ということを
最も重要としてきたのは確か。
それも含めた上で
その時その時のテーマというか、
大きな意味で「ピアノを弾くことに何を求めるか」
というものがあるのです。

例えば多くのレパートリー開拓だったり、
技巧的作品を征服しようとしたり…
まあそれはそれは色々とあって、
それはそれで大切なことなのです。
僕がここのところより強く求めるようになったのは、
一つ一つの作品について
表現を究極に高めて
本番にのせたいということ。
今までがそうでなかったわけではなくて、
常に考え得る最高のものを
求めてきたつもりではあるのですが、
それを更にどうにか高められないかという、
研究心みたいなものが芽生えてきたのです。

出来上がったものに満足せず、
あえて壊しては色々と試す。
これは途方もなく時間のかかる作業で、
変な話演奏家としては
最悪のコストパフォーマンスです(笑)
しかも必ず良くなるとは限らないわけだから能率も悪い。
でも、それを思いついてしまったし、
やらないと気が済まないのだからしょうがない。
でも実際、このプロセスには
得るものが本当に沢山あって、
音楽の高まりを実感できるし、
これこそ音楽を追求することなんだと感じながら
今は没頭しています。

でも、レパートリーも増やしたいな…
まあ、その人その人のペースで
求めるテーマをこなして
少しずつでも前に進めればいいかな。
色々なノウハウが蓄積したら
またペース配分も変わるかもしれないし。

ただ、もともと僕は
幅広く色々とやるよりも
一点集中で凝りに凝ってやっていくタイプで、
演奏家としてはそういう指向性を
少し変えていった方がよいと考えた時期もあったのですが、
最近やはりそれも良いんじゃないかなと
思い始めています。