シューベルトついでに | 近藤嘉宏オフィシャルブログ「Brillanteな瞬間」Powered by Ameba

シューベルトついでに

この度、
シューベルトを久し振りに取り上げてみて、
色々と発見がありました。
その結果シューベルトがグッと近くに寄ってきた感じ。
複雑なディテールを
以前よりも強く感じるようになっていましたし、
シンプルな旋律や和声の移ろいに潜む
深い内面性に心震える感度も
断然増していました。
これは嬉しい!
勿論、ベートーヴェンのソナタ群に取り組んだことも
大きく影響していると思います。
何せピアノに必要なありとあらゆる表現が
幅広く必要になりますから。

さて、
シューベルトで思い出すのが
学生時代、ミュンヘンで聴いた
ルプーの演奏会。
もう20年以上前の話ですが…
友人らと数人で聴きに行ったのですが、
ファンタジックで静寂感溢れる
それはそれは素晴らしい演奏でした。
しかもリリシズム全開。
完全にノックアウトされました。

演奏会後、
サインを頂こうと
楽屋入口で友人らと待ち構えていると、
関係者らしき人から
「彼はとても厳しくてナーヴァスな人だから
サインをすることは多分ないよ」
とちょっとした脅しが入り、
どんなに恐い人かと少々怯えていたところに
彼は悠然と出てきました。
しかも両脇に美女2人を連れて。
ちょっと圧倒されて話しかけるタイミングを失い、
暫く尾行状態に。
いよいよここて話しかけなければ、
ホール外に出てしまうというところで、
意を決して話しかけ、
サインをおねだり。
彼はフレンドリーというか
ざっくばらんな感じで
「おお、いいよ!」
と二つ返事。
しかもメチャ上機嫌。
そしてガハハと高笑いし、
両脇の美女二人の腰に手を当て、
夜の繁華街に消えて行ったのでした。

というわけで、
僕の中では
シューベルト=ルプー=サインをもらった思い出
となっていて、
必ず連動して思い出してしまうのです。