外仕事の作詞や作曲には大きくわけて2つあり、ひとつはコンペ。

このコンペというのは略さずに言うとコンペティション。

競争みたいな意味です。

沢山の同じように楽曲提供をしたい人達どうしがぶつかりあい、せめぎあい、そして傷つきながらも掴む勝利みたいな世界だったりします。

しかもですよ?ここで落選した人達にはなんの保障もないわけです。

楽曲を作るのは片手間で出来るような作業ではありません。

色々他にも仕事がある中で、時間を割いて作った楽曲が落選してもなんの見返りもない。

本当に本当に厳しい世界なんです。

それとは間逆と言っても過言ではないのが名指し、指名ですね。

名指し、指名はもうそのままです。

「アナタに書いて欲しいのですが!」みたいなVIP待遇。

ワタクシ椎名慶治は過去に何作品か外仕事をしているんですが、その全てが名指しでのオファーと言うんだから有難過ぎます。

そして、今年の12月3日にタッキー&翼さんのニューアルバムがリリースになるんですが、なんとそのアルバムに作詞で参加する事になりました。

タッキー&翼さんのディレクターに「椎名君書いてみようか!」って声をかけてもらったのがキッカケです。

以前にも『Journey Journey -ボクラノミライ-』でお世話になっていますから、これで2度目の制作。

そこでふと考える。

俺は今まで一体どれだけの外仕事をしてきて、実を結んだ作品は幾つあるんだろうか?と。

ここでの実を結ぶってのは結局外に出ずボツになった作品以外の、ちゃんと第三者が手に取れる作品が幾つあったのかってことです。

意外とボツになっている作品ってあるんですよ。

ボツって言うと語弊があるのかもですが、世の中に色々な理由で出ないまま終わってしまった曲や歌詞がある。

俺みたいにたまにしか外仕事しない人間ですら3つほど記憶にあります。

なので多分ですが、そんなの当たり前とまかり通る世界なのでは?と推測します。

下手に「全然ダメだよ」って言われるより辛い話ですよね。

だって作曲や作詞にたいして「素晴らしい!」なんて先方さんから言われて1度OKもらっていて後は自分の手を離れ作品としてリリースされるのを待っていたら結局発売中止とか(笑)。

ずどーんって落ち込みますよね。

この制作の短期間でアーティストに商品価値がなくなってしまい、発売する意味、意義もなくなってしまったと言う判断なのかもしれませんが、そんなのこっちの知ったこっちゃないわけです。

こちらは必死に受かるように、先方さんのオファー通りに、自分の色を出し過ぎないように作って、やっとの事で勝ち取り、結局ボツ。

コンポーザーなら1度は必ず経験している辛いお話だとは思います。

心から行き場を失った楽曲達のご冥福をお祈りします。

そんなご時世なのにそこそこの数の作品に関わらせてもらっています。

本当にありがたいことです。

ってことで過去に携わった作品の数々を時系列にすると面倒なので順不同で羅列しつつ、その当時のエピソードなんかも書いていっちゃおうかと。

椎名の『外仕事』いってみよう!!



まず喜多修平君のデビュー曲。

Breakin’through/アニプレックス

¥1,296
Amazon.co.jp

アニメ『ペルソナ ~トリニティ・ソウル~』オープニングテーマに起用されて、そのアニメとのシンクロ率も高く、とてもカッコイイ作品だったなぁって。

TAKUYAさんが作曲、プロデュースで、ディレクターがTAKUYAさんに俺を紹介してくれたのがキッカケ。

ここがTAKUYAさんと俺の出会いになる大事な作品でもあります。

この曲はとにかくキーが高く、実はデモテープでは俺がガイドを歌い、それを喜多君に一旦聞いて覚えてきてもらい、更にレコーディング当日も俺が立ち会って喜多君に教えつつのレコーディングだったんですよねぇ(笑)。

もう俺なんかとっくに追い越して素晴らしいボーカリストになってしまいましたが(笑)。

彼とももう数年会っていませんが、会ったら逆らえない師弟関係は健在だと思います(笑)。





そして彼のセカンドシングルも俺が書かせてもらいました。

一斉の声/Aniplex Inc.(SME)(M)

¥1,260
Amazon.co.jp

こちらはアニメ『夏目友人帳』オープニングテーマに起用されていて、キャラクターとしてはニャンコ先生が人気でしたよね。

前回のデビューシングルで作詞家としての実力を認められたのでしょうか?TAKUYAさんからお前が歌詞書け!と言うありがたいオファーをいただいて書いたわけですが、なかなか大変だったのを覚えてます。

理由は単純に時間があまりなかった。

1次締め切りって言うか、一旦先方に聞かせないといけない時間が、話を受けてから2日しかなかった気がします。

しかもTAKUYAさんからサビの締めの部分はなんか面白い言葉ないの?とか言われて(笑)。

例えば「ケセラセラ~♪」みたいなさぁって無茶言われまして・・・。

結局最終的に「一斉の声(いっせ~のせ!)」って言葉を編み出して切り抜けたと言うか、印象深いワンフレーズになったかな?と。

その歌詞を書いてる場所も鮮明に覚えていて、SURFACEの『素直な虹』って曲のMV撮影の真っ最中のスタジオでの休憩時間に書いていたんです。

いやぁ・・・永谷から「大変だねぇ・・・」って言われながらの歌詞書きでしたよ(笑)。

そんな『素直な虹』はこちら(笑)。

Last Attraction/SURFACE

¥3,801
Amazon.co.jp



話が脱線しましたが、『一斉の声』のカップリングの『Rain of mind』も俺の作詞でございます。



キタポニクス/Aniplex Inc.(SME)(M)

¥2,520
Amazon.co.jp

そんな彼の1stミニアルバムでは更に『Determination』と言う曲の歌詞まで。

デビューから数年を経てリリースされた待望の1stフルアルバムにも『Rain of mind』以外の3曲が収録されています。

貰った記憶はありませんが(^^)

彼の音楽人生のスタートに関われた事は一生忘れないでしょうね。

喜多君も忘れたくても忘れられない厳しい先輩だったかも知れません(笑)。

ユメノキセキ/ランティス

¥3,086
Amazon.co.jp



さて、その他にも外仕事。

DRAMA/ビクターエンタテインメント

¥3,132
Amazon.co.jp

Full Of Harmonyさんの13th single『PARTY TIME』のカップリング用に『UTAKATA』を書きましたねぇ。

FOHさんとはまったく面識もなく、最後の最後まで一度もお会いする事もないまま、気付いたらラップが増えてて歌詞が共作になっていたのも後々知ったほどです(笑)。

そしてこの曲の作曲&編曲者であるh-wonderさんは喜多君の編曲もしており、不思議なところで繋がってたりします。

一度お会いした時にその話をしたのを覚えてます。

不思議なご縁だなと。

この『UTAKATA』の世界は『和』や『祭』をイメージさせる歌詞に仕上がってますが、元々お囃子みたいな音、花火の音などが入っていたので、おのずとその世界に引き込まれていきました。

俺も大好きな曲で、少なくても3回はアコースティックライブでカバーしています(笑)。



くだけたPVですねぇ(笑)。



その他にはJP君のデビューシングルも担当しました。

アニメ『しろくまカフェ』オープニングテーマに起用されていましたね。

豪華声優人が動物になるなんて話題にもなりました。

ボクにインビテーション/JP

¥1,944
Amazon.co.jp

ひょんなキッカケでオファーを頂き、締め切りは?と尋ねたら「明後日までに1コーラスでいいから見せて」と。

うん、なんかこの業界こんなのばっかりですよ皆さん!!

今から作詞家を目指してるそこのアナタ!!1日で最高の歌詞を、相手が求めている痒い所に手が届く歌詞が書ける自信がないのなら負けだよ!!

うん、負けてくれたほうがライバル減って俺へのオファー増えるかも!!

そして、書き上げたラフを見た先方から、「もっと面白く出来そうだよね」って言う直しが入り直ぐに第2案を。

「飲もう モカ ラテ オレ チャイ」とか自分で書いてて笑っちゃいそうになるようなフレーズを先方も「いいねこれ!」とどうにかこうにかOKが出たわけですよ。

多い時では直しは10回を超えますし、1度書いてすんなりOKなんてもらった事は滅多にないかなぁ。



JP君はハワイ出身で、日本語はカタコト。

となると、ワタクシの出番ですね。

まず、歌詞を全部書き上げた後にそれを全部わかりやすくカツゼツ良くデモを歌い、JP君がレコーディングする時はディレクションもしつつって感じでした。

なんかスウィーツやら紅茶やら、ケータリングが次々運びこまれるVIP待遇の中で楽しく制作に参加させてもらい、本当に多くの事を学んだような気がします。

なんていうんだろう。

振り切る!みたいな事も学んだなぁ。

そして、とっても可愛い曲に仕上がりましたね。

忘れられない1曲になりました。



そして仮面ライダー繋がりで彼女達の作品にも関わらせてもらいました。

alteration (DVD付)/エイベックス・エンタテインメント

¥4,104
Amazon.co.jp

プロデューサーから直々に連絡をもらい、6人組(現在は7人)のアダルトチームと呼ばれる3人で歌う曲だと言う説明を受け、だったら彼女達の持つ色とは少し毛色の違う歌詞を書く事でふり幅が広がるといいなってイメージで、いつもの地球の平和を守っている仮面ライダーからただの女の子に戻ってもらいました(笑)。

譜割りが細かいメロディーで歌詞だけ渡されてもなかなかその言葉のはめ込み方が分からないだろうという理由から一度俺が歌ってみせて、それを覚えてもらいました(笑)。

レコーディング当日は立ち会っていないのですが、しっかり歌いこなしていました。

そして、コーラスとして参加もさせてもらいましたよ。

お得意の2声(にせい)ダブルってやつで。(左右に2人ずつ計4人のコーラス隊)

また仮面ライダー関連のお仕事はしてみたいもんですね。

と言うか仮面ライダードライブ面白い(笑)。

仮面ライダー繋がりで言えばAstronautsも楽しかったなぁ。

May'nちゃんとはこれっきりってわけじゃなく、絶対にまたどこかで一緒に音楽をやろうねと誓いあっていますので、過度な期待はせず、だけどAstronautsを忘れないでほしいなって。



その他にも異質なオファーもありました。

下記の作品。

絶頂BANG!!(限定生産A) (2枚組SG)/ギルガメッシュ

¥2,160
Amazon.co.jp

ギルガメッシュさんの歌詞をアドバイザーとして入ってほしいという連絡で。

連絡をくれたのはこれまたTAKUYA兄貴で(笑)。

夜中の2時過ぎBARで飲んでたら「明日までになんとなくアドバイス的な、こうしたらいいよとか書いて送って」ときたもんですよ。

そして元々あった歌詞に先輩面して「ここはもっとこういう方が伝わる」とか「もっと面白くしたいならこう」とかアドバイスをし、最終的に直接本人達にも会って軽く打ち合わせと言うかね。

なかなかイイ奴等で、もっとめっちゃずっと睨まれるのかなとか覚悟してたんですけど(笑)、和気藹々と歌詞のアドバイスをさせてもらいましたよ。

リリックアドバイザーなんて仕事がこの世にあるのか良く知りませんが、とにかく俺はやり遂げました!!

ところどころ俺っぽいなぁって感じてもらえるなら、それは俺が関わっているからだと納得してもらえるかも知れませんね。





そして更に異質なオファーも頂きました。

そう!!TAKUYA兄貴から(笑)。

なんとボーカロイドに歌詞を提供することに!!

まさか自分がボーカロイドと仕事する時がくるなんて!!

WAY TO GO! (Type-A)/ODOROOM MUSIC

¥1,028
Amazon.co.jp

とにかく未知。

どうすればいいの?って問いには普通に書けばいいという返答。

いつも通りの自分でいかせてもらいました。

アレンジはニシケン。(その後俺の曲「コンティニュー?」のアレンジも担当)

生身の人間がいないのにちゃんと歌になってしまう時代。

ボーカリストイラネな時代がそこまで来ている!!

ナンテコッタ!!

と思いながら歌詞を書いてました(笑)。

そしてカップリングの『ナイショノハナシ』も作詞しておりますので、ボーカロイドに興味がある方は是非どうぞ。





まだありますよー。

えっと崎本大海さんの歌詞も書かせてもらいました。

崎本さんは仮面ライダー鎧武では銀髪の角居裕也役が記憶に新しい彼。

その彼の歌詞をオファーしてきた男がオダクラユウ。

そうなんです。

オダクラユウと俺の出会いはこの崎本さんの歌詞からなんですねぇ。

今となっちゃ椎名慶治の仲間としてファンの間では親しまれてる彼ですが、キッカケはやはり外仕事。

外の空気を吸う事で、結果自分の制作にも大きく影響してくる人物と出会う。

外に出る事の大事さを外仕事の作品が増えれば増えるほど痛感します。

そして俺が書き上げた歌詞が『ONE -One for all, and all for one-』でして。

アルバム名は俺が歌詞を書いた後に付けられたそうです。

そうなんです。

俺の歌詞からの影響で(自惚れなわけないだろうこれは)アルバム名まで『ONE』になってしまう。

な、なんて凄い作詞家なんだ!!

お仕事待ってます。

ONE(初回生産限定盤)(DVD付)/アリオラジャパン

¥3,703
Amazon.co.jp

崎本さんの音源は見当たらなかったので気になった方はオダクラユウにでも言ってください(笑)。



そして他には後輩からのオファー。

incomplete/ZERO vs 417

¥1,851
Amazon.co.jp

このアルバムはZERO vs 417としてのリリースでしたが、ここに収録されている『Warrior's Love feat. Y.SHIINA』はZEROのデビュー曲であり、出会いの曲。

俺のディレクターだったN氏がZEROも担当するらしく、「椎名、サビの歌詞を書いてほしい」と。

更にその書いたサビの歌詞を歌ってほしいと。

ZEROと言うどこの馬の骨か分からない(この時点では会った事もないわけですから)アーティストとが俺の初のコラボ作品になるわけですから、相当なお願いをしてきてるわけです。

ですが、そこはディレクターとの信頼関係ですよね。

「分かりました」と制作を引き受けちゃったのですが、とにかく大変だったなぁって感じ。

この時の話をZEROにすると「もうホントすいませんでした!!」ってなるので、これ以上言わないようにします(笑)。

しかもこの曲デビュー曲だと思うんですがMVがないんですよ(笑)。

しょうがないので、まったく関係ないですが、二人のコラボ映像が見れるMVを貼っておきます(笑)。


*11月12日リリースの椎名慶治3rdミニアルバム『I & key EN II』にはこの曲の椎名ソロバージョンが収録されてます。



さて、もう1人の後輩の作詞も手伝いましたよー。

Human Tricycle/SPACE SHOWER MUSIC

¥2,880
Amazon.co.jp

磯貝サイモンの3rdフルアルバム『Human Tricycle』収録の『ホントのハジマリ』って曲です。

男女の駆け引きを題材に、表現の仕方を色々工夫していったのは覚えてます。

俺の案にサイモンからも「じゃあここはこうだったら?」とLINEで話しながら共作しました(笑)。

この楽曲の制作前は俺のサポートとしてだけのつながりだった彼と、更に色々コラボしていこうってなり、サイモンのライブにゲストで出たり、遂にはユニット「SHINAMON's」と言うユニットも組み、更に俺のアルバムに楽曲提供をしてもらったりまで。

音楽での絆が深まった曲では?と思ってます。

アルバムのダイジェスト映像しかなかったんですが張っておきます(笑)。





さぁそして本日の冒頭でも書かせてもらったタッキー&翼さんへも提供しましたよ。

Journey Journey~ボクラノミライ~(ジャケットA)(初回生産限定)(DVD付)/avex trax

¥1,728
Amazon.co.jp

色んな種類のシングルがあったので、とりあえずAパターンを貼っておきます(笑)。

ひょんなキッカケでディレクターさんからお声がけを頂き、書かせてもらう事になったんですが、テーマは「応援歌」。

更にデビュー10周年を祝うメモリアルなシングルだと。

そんな大事なタイミングで何故俺に頼むかな!!いや、ありがたいんですけど!!

って事でディレクターと何度もやり取りしてディテールを細部までこだわり完成した歌詞だったりします。

映像は自分で探して下さい(笑)。



そして12月3日に発売になる彼等のニューアルバム『Two Tops Treasure』にて『ギラメラ』と言う楽曲に作詞で参加しております。

http://avex.jp/tackeytsubasa/discography/

俺もまだ完成品を聞いていないので、一体どんな仕上がりなんだ?と楽しみにしているわけですが、なんとこの『ギラメラ』はアルバムリード曲(アルバムでも推し曲)に選ばれてるみたいで、初回生産A版というやつには『ギラメラ』MVとそのオフショットDVDが同梱されるみたいなんですよね。

出来ればこのA版を送って頂けたら嬉しいですよね!!エーベックスさん!!(ここで言うか)



ってなわけで外仕事を本格的?に始めたのが2008年の喜多修平君の作品だったと思うので、そこから6年で外仕事の作品は15,6作品になったんですかね。

自分の作品だけじゃ表現しなかったような世界を表現させてもらえる場所、自分の声じゃないのに自分の言葉を歌っている感覚はいまだに不思議でもあり、そして嬉しくもあります。

今後も自分名義の作品をコンスタントにリリースしていきたいって意欲はありますが、その中でこういった外仕事も継続していけたら自分の成長にも繋がるんじゃないか?って。

なのでここを奇跡的に観てしまった音楽関係のプロデューサーやディレクター、お偉いさん達は仕事待ってますんで!!いつでもどうぞ!!(いやらしい)



さて、最後はそんな外仕事もちょこちょこやっている椎名慶治の新しい作品も紹介させてください。

11月12日にオリジナルとしては1年10ヶ月振りとなる『I & key EN II』をリリースします。

ツーとついてる通り『I & key EN』の続編にあたる今作。

上記の外仕事の人達も含め、様々な縁が俺の周りにはあり、そんな縁から生まれた作品になっています。

勿論自信作ですので、一度チャンスをもらえたらって思います。

そのチャンスとは是非聞いてもらいたいって事。

聞かずに終わりにされてしまう事ほどミュージシャンが怖いって思う事はない筈。

かの世界的バンドのU2のボノですらその心境を最近吐露しました。

「あぁ、こんなに有名な人でも同じ事を感じるんだ」って強く思った出来事でした。

ってなわけで、是非一度聞いてみてくださいね!!

と言うことで長くなりましたが椎名慶治の『外仕事』でした!!

I & key EN II/High Wind

¥2,268
Amazon.co.jp