1月16日にリリースされた椎名慶治2ndフルアルバム「S」はおかげ様でそこそこらしいです!

そこそこって!!

いや、そこそこでも有難い!!

皆さん引き続き「S」をよろしくお願いします。

ってなわけで、いつもは作品を更に深く楽しんでもらう為にライナーノーツと呼ばれるものを発売日より前に書いていたのに、今回は書いていない!とは前回のブログで記述した通り。

なので今回はブログにてライナーノーツらしきものを書いていこうかなと。

しかも仕事の隙間と言うか、自分のやる気の継続率と言うか、一気に全部は書けないけど、もう「S」は発売しちゃってるから小出しでもさっさと書いていかないと!!って精神でいきますよ!!

題して、





「S」を紐解いていこう!(vol.1)





ってなわけです。

よっ!!待ってましたぁ!!な人が3人ぐらいいる自信はあります。

そんな3人の為に椎名慶治は頑張ってなるべく早めに全部を紐解いていきたいと思います。

椎名慶治先生の次回作にご期待ください!!



・・・



終わっちゃう!!それじゃ終わっちゃう!!



不定期更新なのでvol.2がいつになるのか分かりませんがとにかくvol.1いってみよう!



って事でまず「S」と言うアルバム名から紐解いていきましょう。



元々は「S○○○○」って言う5文字の造語でした。

そこにはちゃんと意味もあって、気に入ってもいたんです。

が、楽曲制作を続けていくうちに、その造語では全てを表現しきれない大きな世界観のアルバムだなって思いはじめて。

もっともっと大きな枠じゃないと収まりきらない。

そこで一旦その「S○○○○」は廃止して、名残り的に「S(仮)」と名付けていたんですね。

なんですが、Sから始まるワードを口にしてみたら面白いほど「今の自分」に当てはまるものが多い。

・SHIINA
・SURFACE
・Solo
・Singer
・Song
・Sound
・Studio
・Star
・Soul
・spirit
・Shout
・Scream
・SAMURAI
・Snake


まだまだありますが、とにかく誰もが見て納得出来るワードだけでも上記の通りです。

今回のアルバムは制作していくうちに「生き様」、「生きるって?」が大枠のテーマになっていった。

それを最大限に表現出来るアルバム名が「S」しかなかったって感じ。

椎名慶治37歳の生き様、是非堪能して頂ければと思います。

S/椎名慶治


って事でアルバム名を紐解いた後はやはり楽曲1曲ずつを紐解いていかないとですよね。

早速いってみますか。





■僕等の中
アルバムの1曲目は毎回とても悩みます。

ある意味ルックスで言うところの「顔」にあたるわけで、この顔がブサイクだとちょっと先入観的に「このアルバム期待はずれかも・・・」みたいになりません?

期待感は1曲目で決まると言ってもよくないですかね?

例えばとっても俺を応援してくれてる人なら1曲目がそんな期待はずれでも信じてもらえるとは思うんです。

だけどまったく俺を知らない人なら1曲目聞いて良くなかったら「もういいや」ってなる可能性は高いと思う。

勿論これは俺の自論ですが、そのぐらい1曲目ってそのアルバムを左右してしまう気がするんですよね。

だから毎回1曲目は悩む。

前3作は1曲目に『I(実質「愛のファイア!」が1曲目って気持ちで作ってた)』、『space rabbit(実質「コングラッチュレーションズ」が1曲目って気持ちry)』、『年齢不show time』と勢いよく幕開けした事もあり、今回も同じだったら「椎名これしかできねぇんじゃねえの?」と思われそうとガタガタ震えたもんです。(嘘ですが)

なのでちょっと趣向を凝らした作品を作りたいなってヤマと話していて、あえて出だしは少し淡々とした始まりをしようと。

そしてサビで一気に加速する形も初めから決めていて、完成したコレを聞いて理想に限りなく近い形になったなぁって思ってます。

このあたりの流れのもって行き方はやはり山口寛雄(以下ヤマ)の力があってこそ。

口頭で伝えた事をよくもまぁ具現化するなぁって思います(笑)。

頼れる男であります。

今回のアルバムも上っ面なキレイゴトのような歌詞は書きたくないなぁって思いながら、それでいてアルバムの全体を担うような、プロローグ的な歌詞を1曲目にしたい、書きたいなと思ってました。

そのテーマは「生きるってつまりなんなのよ?」みたいなね。

その答えは僕等の中にあるんだよと。

カッコイイじゃないですか。

中にあるのに気付けないまんま37歳になったわけですけどね・・・。

やかましい。

ドラムには久々に玉田豊夢くん(100s)、ギターに友森昭一さんを招いてバンド感のあるサウンドに。

相変わらず寡黙なドラマーです(笑)。

ストイックに自分の納得するまで黙々と叩く姿は相変わらずカッコイイ。

友森さんとはソロデビューの1stミニアルバム「I」からの付き合いで、なんにも言わなくても最高のギターを毎回弾いてくれてしまいやがります。

ぶっちゃけ楽です(笑)。

積極的に案を出してくれる良き先輩です。

小刻みなギターのフレーズがループ感を生み出すこの形は自分が影響を受けた1990年代のサウンドのオマージュ。

同じフレーズをずっと弾き続けるのってどんな気分なんでしょうね。

友森さんに聞いてみてください(笑)。

ガツン!とは来なくともジワジワと高揚感が増していくこの曲で幕開けの「S」。

「S」にちなんで、この曲に「S」から始まる言葉を付けるならやっぱり「START」ですかね。

S/椎名慶治





■いざ尋常に
今回のアルバムのキーのような立ち位置の曲。

この曲の歌詞、世界観がアルバムのジャケットになったとも言えなくもないですよね。

ってかなってますよね。

とはいえアルバムのキーにしようって思い書いたわけではないんです。

誰も書かない切り口で歌詞を書きたいって常に思っている(アーティストなら皆そうかな)中で飛び出した、いつも通りの意識で書き上げた歌詞。

そしたらなんか古風な空気が漂った。

そこにジャケットデザインが乗っかったと言うのが正解。

デザイナーさんに「椎名さんって慶治って書いてヨシハルって読みますけど、ケイジとも読めますよね?歌詞の前田って引用したのはもしかして椎名さんがケイジって読めるからですか?」と言われたので、即答で「違います」と返してしまいました・・・。

今思えばそれもアリで「そ、そうなんですよ椎名ケイジってよく間違われるのでそれをひねくって、傾いて(かぶいて)書いたんです!」とか言えば良かったなぁって思います(笑)。

って事で全然「椎名慶治」とは関係ないのであしからず…。

アレンジやメロディーだけ抜き出すと全体的にとてもクールな曲。

そこにクールな歌詞をのせては先に制作していた「愛のせいじゃない 愛は関係ない」(今回のアルバムの為に最初に作った曲)と似通ったものになる気がして、「だったら普通じゃ書かないような世界観を」って。

そのハマり具合いが妙に面白くて新鮮でした。

オープニングとエンディングに出てくる「いざ尋常にファイト!」は後付けされたものでどうしても俺が欲しくて足した部分。

曲がビシっと締まるっていうかなんていうか。

なんか俺っぽいって言うんですかね?らしさの現れと言うか。

アレンジャーの大久保君に「いざ尋常にファイト!」ってメロディをギターでユニゾンしてと急遽お願いしたりで、迷惑をかけました(笑)。

その他の部分も咄嗟に生まれた代物がいっぱいだったりで、前々からですがとにかくアドリブが多い。

ボーカルレコーディング当日に色々試すんです。

そして毎回言ってますが、他のアーティストの方々はこんな作り方しちゃダメですよ(笑)。

それこそ一緒に作曲したヤマも「あれ?こんなのあったっけ?」と完成品を聞いたら疑問に思うほどアドリブを連発するんです。

この曲に限らずそのアドリブが今回の「S」は本当に多い。

なんでだろ?(問うな)

アレンジャーの大久保君とは初対面。

元々ヤマの飲み仲間(仕事はした事ないとかなんとか)らしく、ヤマの紹介で。

仕事した事ない人を紹介するって言うヤマの凄さ(笑)。

だけどそのヤマの読みは当たりだったんだとアレンジを聞いて納得。

この曲に見事にマッチした世界を描きだしてくれた大久保君に感謝。

偶然にもアルバムジャケットのテーマにまでなったこの曲はその後PV(MV)まで撮影する事になるほどアルバムのキーになっていきます。

「傾く(かぶく)」とは「人と違う振る舞い、奇抜な身なり」みたいな意味があるんですが、ミュージシャンって言う職業自体そもそも傾いていると思うんですよね。

とっても不安定な職業だし、人と違う事を既にしてるわけですから。

そんな中で更に傾いていきたいという貪欲さ。

俺にしか出来ない音楽への探究心って言うんですかね。

もっともっと見付けたいなと。

因みにまだぼんやりしか見付かってませんが(笑)。

この曲に「S」から始まる言葉を付けるなら・・・「新参者(SHINZANMONO)」とかですかねぇ。

まだ傾き1年生ですから(笑)。



ここで一旦MVをご覧くださいどうぞ(笑)!



S/椎名慶治






■お節介焼きの天使と悪魔と僕
この曲はミニアルバム「I & key EN」のリード曲でPV(MV)もあるので見た人、聞いた事がある人が多少はいるかも知れませんね。

当初「S」に収録する予定ではなかったのですが、最後の最後に「やっぱり収録したい」と言う気持ちになった曲。

ハッキリと言葉にし辛いのですが、とても頭に焼き付く曲だなって。

妙に残る。

元々「RABBIT-MAN」に収録された「RABBIT-MAN」が自分の中でとても頭に残る曲で、それに負けないぐらい記憶に刷り込まれる曲を作りたいとヤマと試行錯誤しながら作りあげた曲だったので、そういう意味では自分の理想に叶った曲ではありまして。

この曲を収録しないで並べたアルバム「S」と、この曲を挟みこんだ「S」では圧倒的に後者のほうが自分好みの「S」になった。

歌詞がどうのこうのとか深い理由を神経質に語る気もなく、単純にアルバムが更に良くなったと思えたんです。

この曲の詳しい解説は「I & key EN」のライナーノーツでしてると思うので割愛しますが、最後の最後でやっぱり収録したいと俺に思わせるほどの曲になってくれてありがとう。

「S」から始まる言葉を付けるならアレンジャーの「SIMON(サイモン)」ではなく、「SANKAKUKANKEI(三角関係)」ですかね(笑)。

天使と悪魔と僕の(笑)。



って事でここでMVをどうぞ!!



S/椎名慶治







■call my name
80年代後期から90年代最初のような匂いがする曲。

その昔「デジロック」なんて言葉で一つのジャンルを築いたものですよね。

デジロック…久々に言ったわ…。

まぁだから、悪く言うと古臭い曲を作りたかった。

やっぱり自分が好きだった音楽ってこのあたりの時代に密集してるんですよね。

そんなサウンドを最初から目指して制作。

アレンジにはREOさんを起用したんですが、彼も俺は初対面。

ヤマの紹介です。

しかも彼はどちらかというとR&B等のほうが得意と言う話なのになんという無茶振り(笑)。

なのにこのサウンド。

REOさんのセンスに脱帽でした。

歌詞に関してもサビ頭が横文字とか珍しい形ですが、やはりこれもその時代に多かった形。

SURFACEでも80年代ディスコサウンドを彷彿とさせる「ゴーイングmy上へ」なんてありましたが、あれもサビ頭はわざと横文字じゃないですか。(ちょいとひねくってはいますが)

そういう手法を取ることで更に古臭さと懐かしさと、逆に新しさが出せるかも?と思ってました。

この歌詞の主人公って相当屈折してますよね(笑)。

相手の人物像を想像すると相当嫌な奴しか浮かびませんもん。

だけど、求められるより求めたい。

愛されるよりも愛したいマジで。(言いたかっただけ)

振り向いてくれない人を好きになったり、追い求めたりする気持ちが俺もありますし。

歌詞にとても重きをおいて書いたと言うわけではなく、あくまでサウンド先行型の曲で、歌詞は二の次でしたね。

だから歌詞に物凄い共感をしてほしいわけではないのですよ?

共感させれば良い歌詞、良い曲って言う概念は俺にはないし。

出来ればこういう恋はオススメしたくないです(笑)。

切なすぎるでしょ…。

でも言葉のハマり具合い良いとは思います。

歌い方はちょっとセクシーなほうが似合うかなぁとか、感情をどこまでのせよう?とかはレコーディング当日に色々やりながら、最後のサビのフェイクとかも当日に作っていきました。

オープニングとエンディングに出てくるコーラスは当日やはりアドリブで足した代物なんですが、気に入ってますし、アレを入れるまでは何か物足りない感じがありました。

この曲が好きだって人はきっと俺と同年代ぐらいかも知れませんね(笑)。

この曲に「S」からの言葉を付けるとしたら「Slave(スレイヴ:奴隷)」とかですかね。

恋の奴隷だよねこの主人公・・・。

S/椎名慶治






■I still… ‐アイシテル‐
ヤマの自宅でデモテープを作ってる段階(まだ仮歌ものせる前)からとてもセクシーな旋律だなと。

毎回作曲をする時ってヤマと俺の比率が50:50になる筈もなく、どちらかに偏ってるわけですが、バラードに近ければ近いほど、テンポがスローになればなるほどヤマの才能に圧倒されます。

奴は涙腺にくる旋律を本当によく知ってる。

歌ってる本人ですら涙腺やられますからね(笑)。

「絶対これ名曲なるなぁ」って他人事のように思えたのもそんなヤマの才能に聞き惚れたからでしょうね。

イントロやアウトロで歌ってるコーラスの英語は知り合いの英語教師である井上くんに「こんな事を英語で歌いたいんだけどハマりが良い英語ないかな?」と相談したところから生まれたもの。

そこから「I still」の響きが「アイシテル」に似てるところが気に入ってタイトルが生まれました。

「I still…」を訳すと「俺はまだ・・・」みたいなね。

だから「俺はまだアイシテル」みたいなね。

こうやって文章を書く時、基本自分の事を「俺」と書くんですが、歌詞だと「僕」が多いのが椎名慶治。

ですが、この曲の歌詞の一人称は「俺」。

そこにリアリティを感じると言うか、「僕」じゃシックリこなかったと言うか。

この歌詞の中での時の流れってとてもゆっくりで、多分たかだか10分ぐらいの事なんじゃないかなって思うんですけど、永遠とも感じられるような沈黙だったんだろうなぁって。

俺は自分の歌詞の結末を知らない事が多いんですよ。

この後どうなんの?とかまで考えずに書いてたりするんで。

責任感がないとか思われるんでしょうかね?

でも結末しらないんだもん!!

この曲の二人の結末もハッキリとはわかりません。

そこを決めるのは聞いてくれたアナタなのですから。(カッコ良い事言ったつもり)

アレンジには「call my name」に続きREOさんを起用。

とてもセクシーなアレンジ。

きっと聞いてくれた人の心を鷲掴みにするアレンジになってますでのじっくり聞いてほしいなと。

歌詞とのマッチングも半端じゃないから、切なさ5割増!みたいな(笑)。

ホントこの曲好きだわぁ。(他の曲も勿論好きだけど)

最後のサビに入る前に3声ダブル(左右に同じ旋律が2人ずつ合計6人の事)のコーラスがあるんですが、これもレコーディング当日のアドリブでコレを産みだした時の俺の顔はとんでもないドヤ顔だった筈。

これがあるとないとじゃ偉い違いですからね。

ナイスフック!と自分にガッツポーズです。

こう考えていくと今回自分的ツボって当日アドリブで生まれたものが多いなぁ。

印象深いアドリブが多いって事なんでしょう(笑)。

15年のキャリアの賜物でしょうか?

この曲に「S」から始まる言葉を付けるなら、さっき結末わからねぇとか言いながら「SAYONARA」とか最初に浮かんだ俺・・・ダメじゃん・・・。

S/椎名慶治






■I Love Youのうた
1stシングルとして2011年12月にリリースされた曲。

テーマは「普遍」。

どんな時代でも色褪せないそんな曲をと作ったもの。

ヤマと「I & key EN」ツアーでこの歌を演奏した時に話したんですが、「なんか凄いライブ映えするよね、改めて名曲だと思った」とはヤマ談。

俺も同意。

それだけ俺達2人がこの曲に込めた想いが強いって事なんでしょうかね。

だから、「I & key EN」にも収録されてるし、「S」には収録控えようかと思ったんですが、上記の会話があった事でやっぱりフルアルバムに収録したいなと。

この曲も詳しい解説は割愛させてもらっていいですよね?

過去のライナーノーツを読んで頂きたく存じ上げます。

この曲のPV(MV)はベーシックなものと、アナザーver.でサラリーマンだけで作ったver.があります。

是非椎名慶治の表現力の凄さを味わってほしいなと(笑)。

「S」から始まる言葉を付けるなら「Single」ですかね。

椎名慶治の唯一のシングルですしね。

って事でMV2本続けていっちゃいましょう!





S/椎名慶治






はい!って事で「S」を紐解いていこう!(vol.1)はここまで!

今画面のむこう側から「えぇー!」って3人ぐらい聞こえた気がします。

次回は「フラット♭」から一体どこまでが紐解かれるのでしょうか?

待てvol.2!!

なんですがぁ?

皆さんがコメントくれなかったらvol.1で終了にしますから。

いやマジで。

あ、やっぱり誰も俺なんて興味ないんだな…。

って更新しませんから。

アルバム「S」を聞いての感想なども是非コメントしてくださいな。

それではまたお会いしましょう!!



お相手は椎名慶治でした!!

S/椎名慶治