経常収支比率とは、地方公共団体の財政構造の弾力性を判断するための指標で、人件費、扶助費、公債費のように毎年度経常的に支出される経費(経常的経費)に充当された一般財源の額が、地方税、普通交付税を中心とする毎年度経常的に収入される一般財源(経常一般財源)、減税補てん債及び臨時財政対策債の合計額に占める割合です。この指標は経常的経費に経常一般財源収入がどの程度充当されているかを見るものであり、比率が高いほど財政構造の硬直化が進んでいることを表しています。
 武豊町では、武豊町第5次総合計画ゆめたろうプランの成果指標としてで目標値として、平成25年度79%、平成32年度78%と定めました。しかしながら、平成27年度に作成された総合計画の見直しからは、経常収支比率の目標値がなくなり、代わりに実質公債費率(町の収入に対する負債返済の割合)を修正目標値として、平成32年度5.0%と変更されました。ちなみに、武豊町の経常収支比率は平成25年度、当初の目標値を大きく上回り、87.22%(91.5%)、26年度94.5%(98.6%)、27年度86%(91.1%)と推移ししています。教科書的にいいますと町村の場合は、扶助費の大半を都道府県が肩代わりするため85%~95%は弾力性を欠くといことになります。経常収支比率は臨時財政対策債発行を分母と認めたため、経常収支比率は低くなっていますが、本来の経常収支比率は(-%)の数値となります。現実に、総務省が公表している決算カードにも経常収支比率は2種類、記載されています。
 ちなみに同じ行政規模の団体(類団)で比較してみますと、総務省が作成している財政状況資料集の最新版である平成26年版をみると、財政の弾力性(経常収支比率)94.5%で類似団体順位では、138団体中、114位とかなり下位の団体となっています。経常経費の分析欄では、「法人税の落ち込み以降、平成25年度から交付団体となっている。歳入の恒久的な減収の傍らで、他会計への繰出しやアウトソーシングの推進などに伴う物件費の増加で、歳出の経常的な支出が増加し、前年度に比べ大きく比率が上昇している。景気の回復を期待する一方で、経常的な事業の見直しも含め、適正な定員管理や行政改革の推進を図り、経常的な経費の抑制に努め、比率の改善を図っていく。」と記載されています。
 平成28年度武豊町の経常収支比率は86%(91.1%)と少し改善しました。町が経常収支比率を重視しているのに、なぜ、総合計画から経常収支比率をはずしたのかは、わかりません。しかし、全国的、経常収支比率が上昇していることも事実です。自身で分析して発表されたことが、少しでも実現できるよう努力していくことが重要だと考えます。
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