前に予告したとおり、鼠径ヘルニアの再手術を受けてきました。脹脛靱帯炎も完治していないので、延岡をキャンセルしたこの週末日程がちょうど良く収まりました。


もしかしたら鼠径ヘルニアを抱えている方(かなりの比率で男性が多い)やすでに手術を受けたことがある方もいるかもしれませんので、ちょっとこれまでの経緯やランニングへの影響などなど書いてみたいと思います。毎度のごとく絵はほとんどありません(笑)


そもそもこの鼠径ヘルニア(脱腸。下腹部の内壁の穴に腸が入り込んで、ぼっこり膨らみができているような状態)に気づいたのは6年ちょい前だったと記憶しています。その頃はまだ「ちょっと膨らんでるなあ、何だろう」としか思ってなくて、腹筋やら腿上げもガシガシやっていました。しかし時間の経過とともに微妙に大きくなっていく過程で、腹筋に力を込めると明らかに一回り大きく膨らむ患部を見て「あ、これはアカンやつや…」と気づきました。


一回気づいてしまうと、下腹部のその出っ張りは非常に気持ち悪いもので、ネットで調べると「鼠径ヘルニア」という疾患なのだとわかりました。それを知ってからは腹筋をやったり、下腹にぐっと力を入れるというトレーニング上の当たり前の動きを完全に回避するようになりましたね。下腹に力入れると腸が一気に飛び出してしまいそうな感覚は、鼠径ヘルニアをやった人ならわかると思います。


さらに調べていくと、加齢に伴って中高年男性にはよく生じる疾患であり、簡単な日帰り手術も広く行われているということで、約1年経った頃の2019年の2月に初めての手術を受けることになりました。当時は福岡にいたので、博多の、ある執刀例豊富な先生のクリニックを選びました。


参考までに、鼠径ヘルニアの手術のタイプは、昔は普通にお腹を開いてヘルニア孔を縫合するというパターン(再発が多かったらしい)だったのが、少しずつ進化して、メッシュプラグ法とかクーゲル法とかいう、ちょっとだけ下腹部を切開して補強用のパッチを外側から挿入するという術式が広まり、その後に腹腔鏡下手術という、お腹の内側からメッシュを充てる方法が編み出されました。この数年で圧倒的にこの内視鏡手術が広まってきたようです。


私が前回手術を受けた段階はちょうどその移行の過渡期くらいだったのか、内視鏡手術の情報や内視鏡設備を導入している病院は今より明らかに少ない状況でした。今思うと最初から内視鏡手術を選んでいたらと歯痒い気持ちもありますが仕方ない。私がその時受けたのは「クーゲル法」という、いわゆる前方アプローチとされる体表側からパッチを入れる手術の中では比較的進化したタイプの術法であり、それなりに信頼度も高いものだと思っていました。


その時の手術の実況レポは誰得なのでカッツアイすることにして、術後のお話に移ります。


手術から数日が経過して当て物を剥がしますが、腸のぽっこりが引いていない。先生に相談すると、腫れや漿液が溜まっていることももあるからもう少し見ておいてとのこと。しかし1週間2週間と経っても一向に出っ張りが凹む気配がない。「これって前のまんまじゃ?」と思い、後日先生にまた見てもらうと、こともあろうか「申し訳ないけどヘルニア孔をしっかり塞ぎきれていなかったようです。〇〇さんのはおそらくレアなケースで膀胱上窩というところから腸が脱していた可能性が…」みたいなことを言い始める。釈然としないので、さらに後日看護師の妻を伴って小一時間問い詰めました(笑)。その時も完全に失敗だと認めて、自分に修復手術をさせてくれと提案してきましたが、丁重に断りました。手術費用を返金要求には「それはできない」らしい。


一般的に鼠径ヘルニアの数%は術後に再発するらしいですが、それも数年スパンの話です。これは完全に失敗で全く治ってなかったんだから酷い話。しかし実態としてはこう言う失敗が「再発」に括られている例もあるのでしょう。先生が失敗を認めないだけで。


(つづく)