霊気(レイキ)と仁術】の著者の富田魁二氏は、一時的に臼井霊気療法学会で、伝統霊気を学び、独立してご自分の 手当療法(富田流手あて療法)として確立されていった人です。

大正末に、臼井式霊気療法を学び、戦前「手あて療法会」を主宰。
後に「医学界より先に副腎の手あてによって驚異的治病の成績をあげた手当療法家富田魁二先生のあったことは療術家の誇とするところである」とまで評価されるほどその手あて療法は高い治癒率を誇ったのが富田流手当て療法となります。

靈氣は、創始者の臼井甕男が著作を残されなかったこと、元来秘伝的要素が多いことなどが災いしており、第二次世界大戦後はGHQの圧力で廃れてしまったため、レイキは戦前の全盛期の頃のヒーリング施術内容や講習内容について不明の点が多く、いわゆる西洋レイキにはない国内の伝統靈氣の概念として「病腺・ヒビキ」というものがあるそうですが、本書ほどその重要性を詳しく述べたものは他にないと言ってよいのではないでしょうか。
いわゆるヒーリングを志向する西洋レイキに、昭和初め頃の靈氣の持っていたほどの治療促進の力がないとすれば、西洋レイキが受け継がなかった、病腺を捉える感覚を訓練によって鍛えるという修行的側面が関係しているように思われますよね。

著者である富田氏の真摯な実力の現われかもしれません。当時の靈氣が決して現代のような癒やしばかりのものではなく、非常に広範囲にわたり代替療法として社会の役に立っていたことを示しています。
また、今日このレベルの施術で、この内容の本を書ける人はいません。今日のレイキ・靈氣(霊気)のレベルは当時のものと比較するとまだまだ遅れを取っていることを明らかになっています。

富田氏の用語では、合掌中に術者の手に平に感じる温熱感を「靈熱」またピリピリ感を「靈波」と呼んでいる。また相手の患部に手を当てた時に靈氣が強く發動して生じるこのような感覚を特に「病感」と呼んでいる。またそのような感覚を生じさせる患部のうち「病感」の弱い箇所は「病所」、特に強い箇所を「病根」と呼ぶ。「病感」のより強い「病根」を治療するとよい、と説いています。

富田氏の「病感」は、現代レイキなどで「ヒビキ」と呼ばれるものであり、直傳靈氣などでは「病所」「病根」のことを「病腺」と呼んでいる。本書では、秘伝に関わる霊授や印・呪文に関する部分についてはほとんど記述がない一方で、この靈熱・靈波の感覚を鍛えるための發靈法について図入りで詳しく紹介してある。ちなみに理論的な内容となる第二編以降は打って変わって、極めて真面目な技術系の文体になっていますね。

特筆すべきことはは、ネットでも指摘されている通り、治療実績の定量データを掲載していることであります。治療依頼人員 228名、全治人員 165名(72%)、中止した人 60名(27%)、死亡人員 3(1%)となっており、病名と一緒に詳しい表として掲載されています。
なお、「本療法の門を叩く人のほとんど全部は不治的難病者である」「治療中止人員は治らなかつた人ではなく、治療を始めて一回乃至数回で結果を見ない内に中止した人の多いこと」「自然療法の本質として、治るのが自然の力であるからその場で判然とせないで何時とはなく治っていくから、治療当日を標準とする本表には不利なこと。若し何者の制限も受けずに治療を完了することが出來たら目覚ましい成果を挙げる事が出来るものと確信する」「本表の病名は病者の申し出る医師の診斷及本人の申出による」と注釈があります。この注釈を見ても、この富田氏がイメージや妄想ではなく、優れて論理的な治療思考をする人であることが分かります。

富田氏が実際にたった5日間10時間の講習と自己の精進だけで、これだけの治療効果を挙げられたのか、本書に書かれていませんが、その他にも訓練を受けているのかはどうかは定かではありませんが、もしそうだとすれば、富田氏が本書でも述べられているように、この靈氣療法が広く普及すれば医療費削減の強力な手段となり得えるわけです。
通説ではGHQの影響ということみたいですが、国内の靈氣普及が一旦断絶したのは残念ですよね。

現代の私たちからすると、多少の読みづらさはありましたが、本書はまったくレイキあるいは霊気の経験が無いという人向けではなく、レイキの講習会を受けた人や、または種類が違う系統ではありますが私の先生が開催された氣功正体伝習会に参加した人で、さらにヒーリング治療の勉強をしようという人には強く推奨できる内容になっているかと思います。

●本書の主な内容●
・霊氣の原理と本質・霊熱と霊波・発霊法解説(静座、合唱、丹田の意義)
・浄心法・霊療法の心得五箇条(治療者は自然宇宙の手伝い、他)
・手あて療法五原則
・手あて療法の沿革
・手あて療法の治癒経過
・手あて療法は真の愛・念達法
・新陳代謝促進法(半身交血法)
・解熱法
・解毒法
・打手、押圧、撫手
・自己治療法

残念ながらこれだけ素晴らしい理解や実践をされていても、富田氏の流れというのは基本的には今日にはもう残っていません。
唯一、富田氏から昭和16年に手当療法を学んだ、足助次朗(1902-1986)さんという方がいました。この足助さんは戦後も活躍されて、まだ西洋レイキが入ってきていない1980年に「手当療法」という本を出版していますが、それを読んでみると富田氏の持っている本来の伝統霊気に近い部分というのは、それほど感じられず、独自のものがあるみたいですね。

特にこちらの本書は数少ない、伝統霊気の貴重な資料であり、貴重な教科書だと思われます〜 昭和8年発売の富田氏が残した幻の書となっています。





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コロナウイルスの影響により氣功正体伝習会を中止をされていましたが、コロナウイルスの状況や人数にもよりますが、今年の秋頃から再開される予定だそうです✨


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