あなたの複雑性PTSDカウンセリングが、なかなか回復に進まない理由 | 複雑性PTSD相談室*加納由絵

複雑性PTSD相談室*加納由絵

大人の複雑性PTSD相談室です。
40代以上の「このまま人生を終わりたくない!」「あきらめたくない!」という方のサポートをしています。
複雑性PTSD サバイバー。
茶話会・講座・養成講座運営。
日々のことを書いています。

 
こんにちは。加納由絵です。
 
 
今日は、少し難しい話です。
 
耳の痛い話、でもあります。
 
 
今日は
複雑性PTSDのカウンセリングで
なかなか先に進めない方の
パターンについて話してみます。
 
 
結論からいうと
「出来事への感想しか話せない人」
 
この状態の方は
とても時間がかかります。
 
具体的には
・気持ちをわかって欲しい人
・自分がそのとき、どんな思いだったかを、ひたすら話したい人
・自分の気持ちをわかってくれる人でなけれは、自分の治療はできないと思い込んでいる人。
 
この状態の間は
複雑性PTSDのカウンセリングは
なかなか難しいですし
 
堂々めぐりの会話が
繰り返されるだけで
先に進むことはできません。
 
では、なぜ
この状態が起きるのか
ご説明しましょう。
 
 
・気持ちをわかって欲しい
・自分がそのとき、どんな思いだったかを、ひたすら話したい
・自分の気持ちをわかってくれる人でなけれは、自分の治療はできないと思い込んでいる
 
この状態が起きる
最大の原因は
「安全を確認できるまで
先に進みたくない!」という状態。
 
カウンセラーが安心な人かどうか
見極めがつくまで
自分を託したくない!という
不安が原因のことがあります。
 
過去に、あらゆる傷つきを
経験してきているので
 
これを最後にしたいと
思えば思うほど
相手(環境)の安全への
見極め思考が強くなります。
 
そして
自分の気持ちをわかってくれる人でなければ
自分の治療はできない!と
強烈に思い込んでいる状態。
 
では、なぜ
自分の気持ちをわかってくれる人を
求めてしまうのでしょうか?
 
それは
自分の気持ちをわかってくれる人なら
自分にとって安全だと思い込んでいるから。
 
あなたは子どもの頃から
相手(親や加害者)は
「私の気持ちを
わかっていないから
そういう加害を平気でできるのだ!」と
思い込んでいたでしょうし
 
「私の気持ちがわかるなら
そんなひどいことはできないはずだ!」と
思いたかったのかもしれません。
 
でも、残念ながら
トラウマティックな出来事というのは
あなたの気持ちを
わかっていようがいまいが
起きるときには起きるのです。
 
倒れかかっている大木が
あなたが怖がっているから
避けて倒れてあげようとは
思わないですよね?
 
そして、大木は
あなたに危害を加えようとして
わざとあなたに向かって
倒れて来るわけでもない。
 
あなたが被害を受けた理由は
「そこに居合わせてしまったから」
 
理由は、それだけなのです。
 
親に愛情があろうがなかろうが
相手があなたに
好意があろうがなかろうが
 
被害を受けるだろう条件が
たまたまそろってしまえば
その出来事は起きるのです。
 
残念だし
理不尽だし
あなたにとっては
絶対に納得ができないことだと思います。
 
そして、それを
未然に防げなかったことに
自分の無能さを恥じたり
相手を恨んだり
 
そうしたことが
二度と起きないように
 
対処の方法ばかりを探して
肝心なことに
注意が向いていない。
 
 
出来事は、どんなに防いでも
条件がそろえば起きるのです。
 
この防げなかった結果への
無力感や、自分への無能感
恥の意識などが
 
のちのち
学習性無力感という
トラウマにみられる
心理症状につながることも
あるのですが
 
「なぜ!」
「どうして!」
 
の根拠は
「あなたが、そこにいたから」
 
それだけです。
 
 
では、話を戻しましょう。
 
複雑性PTSDのカウンセリングが
なかなか進まない人のパターンは
 
カウンセラーに
いかに自分を理解してもらうかに
時間とエネルギーの浪費を繰り返すから。
 
そして
自分を理解できない人間に
自分の治療はできないと
勝手に思い込んでいるからです。
 
自分が自分を
一番理解できていないのに
 
それを、どうやって
相手に説明して伝えるのでしょう?
 
 
 
カウンセリングの場は
「その出来事が、どう辛かったか?」の
出来事感想を述べるだけの場所では
ありません。
 
「その出来事を、あなたが
辛いと感じたのは、なぜか?」
 
「その出来事は、あなたにとって
どのような意味の出来事だと
解釈をしたのか?」
 
それを、カウンセラーと一緒に考え
出来事の解釈(認知)についての
負のパターンを自覚し
 
その負のパターンの
整合性を確認修正するのが
本来のカウンセリングの
目的になります。
 
 
そして、つらかった気持ちは
「傾聴」という場で
グリーフケアを行う。
 
これは、カウンセリングとは
別にしないと時間の浪費になります。
 
つらかった自分の気持ちに
寄り添いながら
話を聞いてもらうことで
心を落ち着けていく作業は
 
グリーフケアの傾聴
 
複雑性PTSDからの回復のための
カウンセリングは
認知コーピングと経験値の累積です。
 
 
 
「どうして、わかってくれないの!」
という気持ちは
 
「わかってもらいさえすれば安全だ!」と
思い込んでしまった
 
子ども時代からの被害状況に対する
周囲からの説明不足が原因です。
 
判断材料が不足すると
人間は不安になるようにできています。
 
そして、強引に
自分で判断材料の根拠を捏造し始める。
 
親の不機嫌の理由を
子どもの頃に
誰にも教えてもらえていなかったのなら
 
あなたは、自分を落ち着かせるために
その状況を判断するために
情報を捏造し始めたかもしれません。
 
「親が不機嫌なのは、愛情がないから」
「親が不機嫌なのは、人として未熟だから」
「親が不機嫌なのは、発達障害だから」
 
 
幼い子どもなら
そう考えていた方が楽だし
それ以外に思い付かないでしょう。
 
世の中は
そんなに簡単で単純ではないと
知らないのだから。
 
そして、人が信じられなくなり
誰にも自分の気持ちを
伝えられない人生が続くので
 
カウンセリングの場で
それが一気に吹き出して
 
ただ、わかって欲しいだけの人
 
 
になってしまう。
 
 
複雑性PTSDのカウンセリングを
提供している支援者なら
 
そういう流れが起きることを
みんな知っています。
 
相手に安心できないから
まずは、安心できる環境を
自分で作りたいと思うのは
環境へのコントロールです。
 
人間は、環境を
コントロールできないと自覚すると
不安や恐怖を自然に感じるようにできています。
 
子どもの頃から
環境を自力で
コントロールできなかった経験は
 
自分や相手、環境を
強引にでも
コントロールして
 
身を守りたいという思考に育ちます。
 
 
これが、ハラスメントの原理です。
 
 
 
複雑性PTSDに悩む人が
どうすれば楽になれるのか?
 
答えは、今日ここに書いたことを
知っているカウンセラーのところへ
相談依頼を出せば良いだけです。
 
 
あとどのくらい
「ただ気持ちを話すだけの人」を
繰り返しますか?
 
「話す場所」と「回復する場所」
 
両方を持っていますか?
 
 
グリーフケア(話す場所)とトラウマケア(回復する場所)
 
 
一緒に考えてみませんか?
 
ご連絡をお待ちしています。
 
 
 

 

 

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