今回の角界スキャンダルは長引いている。
どう無難に着地させるのだろうか。
そんな中、思うところがあり書架から『中盆』(板井圭介/2000年/小学館)を抜いてきて再読。
「中盆(なかぼん)」とは、八百長相撲の仲介・工作人のことを指す相撲界の隠語。
この本でもっとも重要な箇所は、「戦後最大の中盆」と呼ばれた元小結・板井が、千代の富士の53連勝の全取組を、当事者として八百長34番・ガチンコ19番に仕分けする章だ。
ちなみに八百長の内、2番は板井自身の取組。
この出来事は1988年の五月場所から十一月場所までに渡って展開された。
約30年前ってことに軽く驚く。
今は便利な時代で、「千代の富士 53連勝」とネットで検索をすればサクっとダイジェスト動画を見ることができる。
再読の理由はコレで、「見る側がヤオかガチかわかっていたら、それを見分けられるんだろうか?」ということなのだった。
で、該当頁を開きながら、動画で53試合を確認する。
結果、うーん、言われてみればなんとなくわざと負けているように見えなくもなく、ガチはたしかにヤオに比べると長いのが多くて結果も際どいように思えなくもない、みたいな、断言には程遠いものになった次第。
たぶんそれは「全部ヤオ」「全部ガチ」ではなく、混ざってるからよけいに分かりにくいのだろうなあと。
素人には真実はわからない。
だがすくなくとも、「相撲をやる側」はヤオ・ガチはわかってしまうように思う。
そして、更新は無いだろうと思っていたこの記録は、2010年、22年ぶりに大きく更新される。
白鵬の63連勝。
ただ、凄い!みたいな熱い想いはなく、あ、更新したんだ、みたいな日常の一コマみたいなものしか抱かなかった。
『中盆』以降そういう視点で大相撲を眺めていたんだな私はと、今気づいた。
めっさ影響受け取るやん。
そして翌年の2011年、大相撲八百長問題が大々的に発覚。
更にその6年後、白鵬がボスである「同郷飲み会」で起きたのが今回のスキャンダルで、日馬富士の師匠の伊勢ヶ濱親方は、かの53連勝のヤオの取組の内、4番を担当したと『中盆』には書かれている。
素人には真実はわからない。
------------------
目下関心があるのは、2018年1月に「相撲をやる側」はどうするのだろうかということ。
ヤオをやるのか、ガチでいくのか。
素人にはわからない。
(吉田進み矢@絵本沼。)