「初発心、便成正覚」
「初発心の時、便ち正覚を成ず」という言葉が、『華厳経』にあります。「正覚」とは正しい悟りであり、仏教での修行の上で目指すものであります。その正覚が、初めて求める心を発した時にすでに出来上がっているということで最初の志が重要なのです。
世阿弥は「初心忘れるべからず」といいました。またある人は「志を立てた時にはすでに七分のことは成っている」といいました。
物事の初めは立派な初心を持っていても、年数を重ねるごとに薄らいでいくことがよくあります。だんだんと初心を忘れていくのでしょう。
道元禅師は『正法眼蔵』の中で「一発菩提心を百千万発するなり」と説いています。初発心を一度だけ持つのではなく、繰り返し繰り返し起こしていくのです。
自分の原点へ立ち返り、何度も何度もその気持ちを呼び起こすことの大切さ、それは最近の私が反省すべきところでした。