旅館じゃないんだからさ (薄めた感想) | よしだのブログ

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なんでもないはずの日常を、なぜかブログに書き記す

 



行ってきました、


ダウ90000 第6回演劇公演
『旅館じゃないんだからさ』
近鉄アート館。

 



TSUTAYAの店内で繰り広げられる悲喜交々。

もうあの…してやられました。すんごい面白かった。全部持ってかれて。一度も別の思考に入ることなく幕切れ。あっという間。



忘れたつもりのことも、人間そこまで綺麗さっぱり忘れきる訳じゃない。

その時は「ただつまんないだけの時間を共有した」のに、いつのまにかそれは、かけがえのないものに変わったりして。



唐突ですが、わたくしの身の上話をさせていただく。

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高校生の頃、暇さえあれば市立図書館とTSUTAYAに行っていた。

母校の高校は十年以上前に統合になり、もうない。校舎のあった場所は、シンボルツリーを一本残して空き地になった。

市立図書館は二年前に別の場所に移転オープン。

そしてこの春、地元のTSUTAYAが閉店した。通い倒したあのTSUTAYAが。




用がなくても寄ったお店。十代の頃、学校帰りに、安いから当日でCDを借りて、翌朝返却BOXに入れて学校に向かった。放課後、自転車で向かう途中、クラスメイトと一緒になった。お店を出たら後輩と遭遇した。友達が彼氏に頼まれて大塚愛の『さくらんぼ』を返却していた。教室の中では大抵誰かがTSUTAYAの青い袋を持っていた。それがあのTSUTAYA。

「誰もCDなんか借りないですもんね、わざわざ」
今になれば、こんな台詞だって「そうか」と受け取れる。
…借りに借りていましたけどね。


その頃を強引に界隈のワードで説明すると、
スカートの澤部さんが高1、
わたくしは高2、
Base Ball Bearの関根さんが高3、
ダウ90000の皆さんは小学校に上がる前。

中学生の時にiPodの初代が出て、20代にiPhoneが登場。

世の中は少しずつ、だけど大きく変わっていって…。

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何を覚えてるか、よりも、何を忘れていいと思ってるか、そこがその人だと感じていた。なにを気にしないでいられるか。


TSUTAYAがなくなって困るようではいけない。時代の波に置いていかれる。でも大切にしたい。なくなってほしくない。そこにその頃の全部があるような気がして。全部なくなる気がして。



もう大切にしてはいけない元カノ。

忘れていいよ、の優しさ。
忘れちゃったよ、のかわいさ。
ここに存在してるよ、の健気さ。
まだ大切にしたいよ、の切なさ。

「男子」から「あわよくば」を差し引いて、残る部分。かっこわるい方の、女々しい方の、どうしようもない男らしさ。

「女子」の「今」の「これまで」との距離感。


過去に何があったとしても、今が変わることはない。しかし、思い出したら目の前の景色が違って見えるような瞬間もある。
お金を払っても、もうそこには行けないけど。



ラストも最高によくて、こんな体験あるのか!と。






「蓮見さんの作る世界にはこんな光がさしている」それを見せてもらえるなんて、この日、劇場に来られてよかった。

いろんな偶然に感謝した。




TSUTAYAのレンタルのシステムを、懐かしむ日がくるだろうか。何泊がいくらで、何枚までならいくらで、新作が、準新作が旧作が…。


あんなに通ったお店が、あの場所にあったことを覚えていられるだろうか。

おそらくいつか、この舞台のことを忘れる。“終わったこと"と、どこかにしまう。でも、もしかすると何かをきっかけに思い出す瞬間があるかもしれない。


何をどう忘れて、何をどう覚えてて、そういった些細な一つ一つが、その人を形作っている。




#ダウ90000
#第6回演劇公演
#旅館じゃないんだからさ
脚本 #蓮見翔
#近鉄アート館
#3日目昼公演



観劇後、勢いでわーっと書いた文章がどうも濃すぎてイヤになり、薄めるつもりで書き直しました。

エピソードはまだ他にもありますが、あんまり長いの好きじゃないんでこのへんで。


今後配信の予定あるらしいので、気になった方、よろしければぜひ。多分Xで情報が出るかと。

https://x.com/daw90000?s=21&t=jUmNkXFleCcggoDaBDloJw

 

 

 

最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。