8月8日 限りなく透明に近い、晴れ。



「お前は何故ここにいるのだ?」


北海道の風が私の黄金色の髪を撫で揺らし問いかけるのだ。


しかし私は果てしなく小さな貝殻に閉じこもり黙り込むしか出来ない。


「私」が「私」である事の意味さえ、この大地の上では意味をなさないからだ。


目を閉じると、その声はアンダンテのリズムに乗り 柔らかな輪郭をまた覗かせた。



「お前は、生ウニを食べなさい。。」




その声は、漆黒の闇に息づく黒猫の瞳の様だった。


その何者かも解らぬ者の声に吸い込まれ私は居酒屋に入った。



波打つ呼吸を整え、私は叫んだ
「北海道という名の生命の記憶を一つ!」

私はハッと、息をただし柔らかい声で言い直した。





「ウニ丼を一つ。」


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【北海道という名の生命の記憶】

2012年夏、「翼の王国」掲載


希望。。






やま誰もが息をのむわかりずらさ。
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