漫画『うしおととら』や『からくりサーカス』を書いた藤田和日郎さんの原画展が今日まで横浜のそごうで開催中です。
今日までのイベントのことを最終日の朝に書いてゴメンなさいなのだが、やっぱり記しておきたいので書きます。


昨年末に東京で始まり、一年かけて全国を回っていたこの原画展は今回のそごう横浜店での展示がラストだそう。

私も、今年春に帰国した際にどうしても生で見たくて原画展に足を運びました。(写真撮り放題・ネットもOKだったので一部掲載させていただきます。)


単行本で何度も何度も目にしたシーンの、原画は凄まじい気迫と愛に満ち溢れていました。



「修正液は筆記具である」との名言を残している藤田和日郎さんの原画には、本当に生々しく修正液が使われています。
印刷された漫画では普通の黒白になっているので気づかなかった場所に、修正液がガバッと使用されていて、原画を見ると凹凸も見て取れたりします。
修正液ってこうして見るとただの白ではなく少しだけ青白いんですよね。




人間の喜怒哀楽。
特に藤田さんの描く、憎しみの表情と登場人物の去り際の表情は絶品です。
私は1つ1つの原画の前に立ち止まり、鳥肌が立ったり涙が溢れてきたりするものだからなかなか先に進めず、展示場の中で心も体も大変でした。(贅沢な時間)

藤田和日郎さんの作品を読み始めたきっかけは、長兄が週刊サンデーの読者で、単行本も集めていたからです。
でも、連載当時幼かった当時の私は、藤田さんの絵が怖くて『うしおととら』や『からくりサーカス』を読み飛ばしていたんですよね。
それが、大学生になってある時実家に帰省した際に、本棚の『うしおととら』を読みはじめたが最後。もうすっかり物語と絵とに魅了されてしまったのでした。

藤田さんの作品の中では『うしおととら』と『からくりサーカス』の2つの作品が大好きですが、実はスロベニアに持ってきている漫画は『からくりサーカス』のほう。
唯一、全巻運んで持ってきた作品です。(ユリイカの藤田和日郎氏特集も!)



スロベニアでずっと手がけているシリコン人形は日本の伝統的なからくり人形からもヒントを得ていることもあり、今の仕事をはじめてからは一層『からくりサーカス』が好きになり、いつでも手に取れるよう身近に置いておきたい物語になったのでした。
※ スロベニアで取り組んでいるシリコンの人形の様子はこちらです。(今現在は別の劇場作品に関わっているため、シリコンの人形制作は半年ほど休止中。)



そんな『からくりサーカス』が昨年から今年にかけてアニメ化された際、最愛のBUMP OF CHIKENが主題歌を書き下ろし、一期のオープニングと三期のエンディングでオンエアされていたことも私にとっては胸熱の展開でした。
昔からBUMPのメンバーがラジオや雑誌で『うしおととら』や『からくりサーカス』について語ることがよくあったので、メンバーが藤田和日郎作品を読み込んでいることは承知でしたが、こうしてコラボする日がくるとは!

そして、藤原基央氏が書き下ろした主題歌「月虹」は、BUMPが紡いできた音楽のなかでも新しい音色を放ち、アイリッシュ×パンクを彷彿とさせながら、『からくりサーカス』の原作ファンとBUMPファンとを驚かせたのでした。

そんな藤原氏はこのコラボが実現するよりずっと前、2014年に雑誌CUTの中で、『からくりサーカス』のことを「5万リットルくらい泣いた」と話していたほどでした。

月虹は今年リリースされたBUMP OF CHICKENの最新アルバム「aurora arc」の中で、ついに完全版の姿を見せたのですが、聴けば聴くほどに、「物語が本当に好きで尊敬している人が書いた歌だ。」「藤原基央という人は、こんな風に物語を読み、自分の体を通して、再び表現をしたのか。」と感動せずにいられません。
特にね、最後の一音が…!


今年はBUMPのツアーには行けなかったけれど、藤田和日郎さんの原画を拝見できたことは幸せな出来事でした。

好きな作品がある、尊敬できる物作りをする方がいるって、ありがたいことだなぁ。
自分が尊敬する方たちの活躍や新しい作品の発表が、今自分が日本に居なくても、見たり聴いたりすることで励みになるし、素敵な体験や力を毎度毎度いただいています。


さあ、2019年も残りわずか。
忙しい年の瀬ではありますが、原画を見られる機会はもしかしたらもう当分無いかもしれません。
もし、お近くでお時間のある方は、ぜひ、藤田和日郎原画展の最終日に会場で目撃してきていただければ幸いです。

そして、まだ未読&未聴だけど興味があるよといふ方は、ぜひ漫画『からくりサーカス』とBUMPのアルバム「aurora arc」との両方を手に取って、読んで聴いて、比べてみていただけたら嬉しいな。

『からくりサーカス』読むときは沼にドボンとはまるくらい物語にのめり込むので、私もまとまった休みが取れる時にしか読み直せません。それくらい、読むのにエネルギーを使い、そして、物語を通してたくさんの体験と気づきをどっさり共有させてくれる本当に素晴らしい作品です。

そして、物語の展開と登場人物のバランスならば、『うしおととら』も超絶おすすめでございます。
ハッピーやったー楽しー!と読める作品では無いけれど、読み終わったときには、大好きな登場人物だらけになって、太陽を眩しく見上げていること間違いなし☝️


ピエロ藤田和日郎原画展 
2019年12月23日(月)まで
 そごう横浜店 8階催事場  10:00〜17:00
 一般800円/大学生・高校生600円/中学生300円/小学生以下無料

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2019.12.23 よしだより