- ペレのあたらしいふく (世界傑作絵本シリーズ―スウェーデンの絵本)/エルサ・ベスコフ

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100年前に描かれた絵本の中に生きる手応えの形を見つけました。
小学一年生のように初々しく見える少年ペレは、
自分で世話をしている一匹の子羊を持っていました。
ペレは上着が小さくなってしまったので、
新しい服を作ろうと自分の子羊の毛を刈り取りました。
それを持って知り合いのおばあさんに毛をすいてくれるよう頼むと、
人参畑の草取りをしてくれるなら、と言われます。
ペレが人参畑の草取りをすると、
おばあさんはペレの毛をすいてくれます。
その毛を持って別のおばあさんに糸につむいでくれるよう頼むと、
牛の番をしてくれるなら、と言われます。
ペレが牛の番をすると、おばあさんはペレの毛を糸に紡いでくれます。
次にペレがペンキ屋のおじさんに糸を染める
染め粉を少しくれるよう頼むと、おじさんは言います。
「ばかだね、ペンキとそめこは ちがうんだよ。うちには
そめこはないよ。でも、もし おまえが、ふねで ざっかやまで いって、
このぎんかで、テレピンゆを 1びん かって きてくれるなら、
おつりで、おまえのそめこを かってもいいよ」
ペレは船をこいで雑貨屋へ行き、ペンキ屋のおじさんのために
テレピン油を買って、おつりで青い染め粉を買いました。
そしてその染め粉を使って自分で糸を青く染めました。
それからお母さんにその糸をきれに織ってくれるよう頼むと、
妹のお守をしてくれるなら、と言われます。
ペレが妹のお守をすると、お母さんは糸をきれに織ってくれます。
ペレはそのきれを持って仕立て屋のところへ行きます。
そのきれで服を作ってくれるように頼むと、干し草を集めて、
薪を運び入れ、豚にえさをやってくれるなら、と言われます。
ペレは干し草を集め、豚にえさをやって、
薪を全部家の中に運び入れました。
<したてやは、ペレのふくを どようのゆうがた きっかりに、
したてあげました。>
日曜の朝、ペレは新しい服を着て子羊にお礼を言います。
「あたらしいふくを ありがとう!」
「ベーエーエー」
ペレが一着の服を手に入れるまでの沢山のプロセスは、
一つ一つ自分自身の労働との交換で購われていくのですが、
そこには充実感や喜びがともなっているように思えます。
なぜなら、自分自身の手足を動かして人のためになることをする
といった働くことの原点がそこにあるからです。
顔の見える様々な人とのやり取りの中で、
ペレは自分の労働の価値が直接評価されていく経験を
重ねることができました。
その集大成として新しい服が一着手に入ったのです。
小さな男の子が自分自身の手で得たものは服だけではありません。
それは自分の存在価値や生きている実感です。
