シギチも旅立ってしまいさみしいこの時期ですが、日本沿岸の太平洋を北上していく外洋性の鳥たちが、天候次第で東京湾最奥部でも見られることがあります。

6/1（土）、前日関東地方に最接近した台風1号の影響は思いのほか無く、穏やかな天気でしたが、葛西に向います。前述の外洋性の鳥に加えて、ヌマアジサシやレア系サギ・・・この時期でも毎年何かしら出現している葛西、出会える確率は低いでしょうが、宝くじよりははるかに高いかと・・・宝くじだって買わないと当たらないのです（ちなみに私は買いません笑）。幸運を求めてとにかく足を運びます。

ギョギョシ、と3拍、アシ原のオオヨシキリたちのさえずりも賑やか。

こちらは前週末、見やすい所に出てきた個体。

西なぎさ開門前、とある鳥との出会いを求めて緑地帯もチェック。「チョチョリ、チョチョリ」こっちもハッキリ3拍・・・音のした方にゆっくり向かいます。ジジッという地鳴きと共に、時々ささやくようなさえずり。今年も会えました、オオムシクイ。常緑樹に入り込み、中々すっきりしたところには出てきません。撮影はあきらめて、西なぎさへ。

浜辺を見渡すものの、鳥影は無し。でも、西なぎさ西側、沖合の杭にかなりの数のアジサシ類が群れています。コアジサシ主体、そこにアジサシも混じっているよう。

こちらはアジサシたち。26羽をカウント。

はるか沖合で採食しているのもいて、もっといたかも。

コアジサシは少なくとも60羽以上、とにかく賑やか。求愛給餌を試みるコアジサシから魚を奪おうと追い回すアジサシ、ヘリコプターに驚いて一斉に舞い上がる100羽近い混群、見ていて飽きません。

これだけいるので期待が高まり、杭にとまっている個体を丹念に見ていきますが、ヌマアジサシは見当たらず。でも１羽、アジサシと同サイズでなんとなく嘴や足が赤っぽいのがいる気が・・・しかし、私の12倍の双眼鏡では、陽炎の影響もあって判別できません。

近くで熱心に望遠鏡を覗かれているバーダーがいらしたので、ご挨拶、同じくヌマアジサシを期待されていたとのこと、いないようだけど、怪しいのが1羽おり、アカアシアジサシではないか？とのこと。ご親切に望遠鏡を覗かせて頂くと、嘴の基部と足の、少し黒味がかった、とても濃い鮮やかな赤色が目に飛び込んできます。

この写真ではまったくわかりませんが・・・（苦笑）、嘴と足の赤がとても

美しい亜種アカアシアジサシ。近年、中央防波堤埋立地で繁殖実績があります。

葛西での鳥見の話をいろいろしていくうちに、驚きました。こちらのバーダーさん、

なんとなんと、私が以前からHPを拝見させて頂いている、葛西とのご縁も深い、

著名なネイチャーガイドの方ではありませんか・・・！

とても楽しいお話に、アカアシアジサシまで見せて頂き有難い限り、幸運でした。

もう昼近く、撤収前にお腹も減ったので、どうせならチョチョリを聞きながらランチ、

と思い再び公園西側へ。ポイントにつくと、まったく同じ場所でまたさえずっています。

朝イチと違い人出は多く、すぐそばをランナーや家族連れがワイワイ賑やか。オオムシクイは込み入った枝葉の中のせいか、まったく警戒するそぶりも見せずに枝渡りする姿をチラ見させてくれます。そのうちしばらくすると、さーっと低木に入ります。これはチャンス！

飛び込んだ低木の中をよ～く見ると・・・いました。羽繕いしては、

時々思い出したようにチョチョリ、チョチョリ。

そして一瞬だけ、葉の無いところに出ます。暗いけれど、

これでも、この日一番見やすい所。

図鑑では、センダイムシクイなんかとほぼ同じサイズと記載されているけど、

出会う度に思うのですが、とても大きく見えます。

そして、過去（といっても、オオムシクイと意識して観察し出したのはここ数年）もそうであったことが多いように、この個体のそばにもう1羽、さえずる個体が。

すぐにまた常緑樹の中に戻ってしまいました。このあと、帰る前に上の池をのぞいた際、池付近でも同様に1か所で2個体同時にさえずりを聞き、この日は計4個体を確認。２～3羽の小さい、そしてゆるい群れでいることが多いよう。これまた興味深いです。

春の渡りの最終走者ともいえる、アジサシやオオムシクイが通り過ぎ、繁殖シーズンもピークへ。そうこうしているうちに、来月には早くも繁殖を終えて山から下りてきたコムクドリや、シギチの第一陣が北から戻ってきます。季節のめぐりはとにかく早い・・・久々に森の夏鳥たちに会いに、近場のお山訪問、そして高原遠征も計画せねば・・・