実施設計が終わらないのに工事に着手? 市民や議会への説明・協議・確認もない?

 体育館病院整備が昨11月の契約では実質的に進まないと思われることについて先日話題にした。市長は契約を結んだと言っているが、その内容に問題があるだけでなく、そもそも契約書と整合性の取れた工期(スケジュール)がいまだに公表されていない。言うまでもなく、ここまで来れば、精度の高い、具体的なスケジュールなしで病院は建たない。
 すでに紹介したように、契約書では全体の工期にあたる「契約期間」は契約締結日から令和8年11月30日まで。そのなかで、基本設計が令和6年6月30日まで。そしてその後、実施設計の完了が令和7年2月28日となっている。
 ただし、工事の着手は令和6年12月1日となっている。通常であれば、当然のこと、工事着手は実施設計の完了後でないと行わない。実施設計が終わらないどころか、その内容を市民や議会に説明・協議して確認を得ないで、着手するつもりなのか?

 

契約書の工期が非現実的であることは明らか

 さらに不可解なことは、令和7年2月28日の実施設計の完了が、単に設計図書の完了なのか建築確認の完了なのかが不明確なことだ。
いずれにしても、実施設計を完全に終えない限りは、建築確認手続きはできない。さらには、近畿厚生局への保険医療機関としての手続きはどこに組み込まれているのか?
 このように見てくると、契約書の工期が極めて非現実的なものであることが明らかになる。

 

 

市民や議会を無視して病院整備を進めるつもり?

 記憶をたどれば、体育館病院の整備スケジュールがまとまって公表されたのは、昨年、2023(令和5)年2月1日の「野洲市民病院整備事業 設計・施工事業者の決定方法等に関する大綱」であった。
 その冒頭に別添のとおり、スケジュール表が掲げられていた。これでは、来年度の半ばに基本設計を完了し、引き続き実施設計に移り、その年度内の完了となっている。もちろん、着工はその後になっている。
 ただし、このスケジュールには以前にも書いたように無理がある。基本設計が完了した後で、市民や議会への説明・協議・確認が必要。設計施工一括発注であってもこの手続きは抜かせない。したがって、このスケジュールは鯖読みであって、令和8年度開院が無理なことは明らか。それとも市民や議会を無視して病院整備を進めるつもりなのか?

鯖読み病院整備スケジュールを掲げることは市民を欺くことにならないか?

 さらに問題は、このスケジュールが公表されたときには、体育館の屋外階段はあらかじめ移設する計画であった。しかし、現在では階段移設は病院工事のなかで実施することに変更している。とはいっても、階段移設の工期と経費は組み込まれていない。そのうえ、何度も書いたように、階段移設は令和7年の国スポと障スポ終了後にしか本格的工事には入れない。
 このような実効性のない、鯖読み病院整備スケジュールを掲げることは市民を欺(あざむ)くことにならないのか?