1億2600万円の寄附講座経費可決 東郷議員と山﨑敦志議員は賛成東郷議員は賛成討論まで

 昨日12月21日に市議会定例会が閉じた。最後の本会議のネット配信を傍聴しなかったが、後で聞いたところでは、採決にあたって、開会直後の12月5日のブログで話題にした滋賀医科大学へ1億2600万円の寄附講座経費を含む補正予算案について議員間討論が交わされたようだ。

 採決結果は言うまでもなく、市長与党会派に加え公明党議員等が賛成して可決された。ただし、聞いたところでは、駅前病院を支持し体育館病院に反対している「新誠会」からも東郷克己議員と山﨑敦志議員が市長提案の議案に賛成したとのこと。東郷議員は議案に賛成の討論まで行ったようだ。

 この寄附講座は、あとで書くように整形外科医1名の確保が実質的な目的だが、整形外科医が減った元々の原因は市長が駅前病院を止めたことが原因となっている。

 

2500万円、5年間で1億2600万円使い医師1名を確保 前川管理者就任の目的達成できなかった 新病院効果もない

 議案では、令和5年度野洲市一般会計補正予算のなかの「滋賀医科大学との共同研究講座設置に係る債務負担行為の追加」として「令和5年度から令和 10 年度まで 限度額:126,000千円」の設定が提案された。
 この寄附講座事業については、すでに何度か取り上げているが、簡単に言うと次のとおり。
 名目は「共同研究講座設置」となっているが、今年6月の議会答弁によると、その内容は医大に新たに特任教授と特任助教を設置する人件費に大半が充てられる。そして、特任教授は大学で働くが、特任助教は野洲病院に常駐する。このことを担当部長は答弁で市がコンサルに業務委託する場合を例にあげて説明した。したがって、共同研究となっているが、実質的には整形外科医1名を市立病院に確保するための費用。これによって医大の今井教授は、高齢者の転倒・骨折をテーマに研究を進め、野洲モデルをつくると意気込んでいるとのことであったが、医師会との連携もなく可能とは考えられない。また、共同研究なるもののため職員の労力も必要になるが、これも徒労の恐れがある。
 要するに、年2500万円、間接経費等を入れて5年間で1億2600万円を医大に払って整形外科医1名を確保しようというもの。市長は前川管理者の就任は医師確保が目的のひとつだと言っていたが、管理者就任の目的達成できなかったことを認めたことになる。
 また、5年間も継続するということは、新しく体育館病院ができても医師確保ができないことをあらかじめ認めたことにもなる。

 

 

焼け石に水 常勤麻酔医や医療スタッフ体制なしで手術できない 病院の医療収入は減る一方 財源も制度上問題

 すでに書いたように、市立病院では今年夏に整形外科医1名を医大が引き上げたため、1名体制になり、これまでのように本格的な手術ができなくなった。したがって、寄附講座名目で年2500万円を医大に支払い、もう1名を確保しようとしているのだろう。しかし、手術をするためにはそれなりの経験と実績のある医師が派遣されないとできない。またそれ以上の問題として、常勤の麻酔医や看護師等の医療スタッフの体制も必要。ところが、常勤の麻酔医は退職したか、するようだし、看護師等のスタッフも確保が困難になっている模様。この状況では、万一手術のできる整形外科医が1名増えたところで手術はできず、病院の医療収入は減る一方。
 整形外科だけでなく、他の診療科でも医師問題を抱えているし、看護師等のスタッフ確保でも管理者の実績は上がっていない。このままでは、かつて心配したように新病院ができるまで現病院が持たない。まさに焼け石に水だ。
 なお、今回の補正予算は一般会計での支出であるが、財源は病院事業費から繰り入れるようだが、これについても以前書いたように制度上問題がある。