契約書が公開された 物価スライドの起点を入札公告日にし、業者に有利な配慮?

 市民が情報公開制度で求めていた体育館病院整備の契約書が公開され、見せてもらった。約款や明細書を除いた契約書の本体はA4で4ページ。締結日は、入札日でなく、なぜか入札日から10日経った11月17日となっている。話題に必要なその一部を添付する。

 また、ここでついでに日付について言えば、工事の約款第25条第1項の工期内の物価変動による請負代金額の請求の起算日を、約款に書かれた契約締結日でなく、特記事項として入札公告日、すなわち今年の6月1日にさかのぼることとしている。言うまでもなく、入札契約時の金額が最新のものである。だからそれを起点に算定すべきなのに5月半も前を起点にするのか?建設物価が上昇傾向である状況では業者にかなり有利になる。

 

工期は令和8年11月30日まで 株式会社プラスPM等とは縁が切れたはず

 契約書の本体を見ると、主な項目は次のとおり。

 工期にあたる「契約期間」は契約締結日から令和8年11月30日まで。

 そのなかで、基本設計が令和6年6月30日まで。実施設計の完了が令和7年2月28日となっている。

 また、工事(施工)は令和6年12月1日着手で、令和8年11月30日完了。そして、工事中の「工事監理業務」もこれと同じ期間。

 なお、ここでついでに書いておくと、Bブロック病院の基本・構想計画から引き続き、随意契約で体育館病院の要求水準書策定、そして入札業務の支援など1億を超える業務を受けてきた株式会社プラスPM等との縁が切れるのかということが気になる。契約書では「工事監理業務」として設計監理業務に9300万円も支払われることになっているのだから、このコンサルタントの役割は終わり、不要なはずだ。

 

契約金額821900万円 議会を市長がもてあそび、議会はもてあそばれた?

 さて、契約金額はすでに公表されているように消費税を含んで82億1900万円。なお、6月1日に公告された予定価格は税込み96億7000万円であった。

 なお、先日の市長と医師会との会合では、この差14億5100万円の余裕額で、ゼロ算定で入札させた機械設備工事費を埋める努力するといった話が前川管理者だったかから出たようだ。

 これはあまりにもいい加減な話ではないか?10月6日の臨時議会での工事費を22億6300万円(24・5%)増額する病院事業会計補正予算の可決は何だったのか?このようなことが可能なら、市民代表である議会を市長がもてあそんでいることになり、議会はもてあそばれていることになる。

 

病院できない? 階段移設と国スポ・障スポ中の中断は考慮済みか?

 公開された契約書では工事内容は分からないが、「建設工事に係る資源の再資源化等に関する記載事項」から見えてくることがある。ここでは、「解体工事に要する費用」約900万円、「再資源化等に要する費用」約480万円があがっている。

 この金額では、問題の大型階段移設のための解体と、廃棄物の処分はできない。そもそもこの入札金額は6月1日の公告内容をもとに積算されたものだから、大型階段移設工事費が入っていなくて当然。とするなら、階段移設費はいつどこで積算するのか?契約結び直しの時か?

 それよりも問題は、何度も書いたように、令和7年10月に国スポ・障スポが終わるまでは移設できない。したがって、契約書で工事は令和6年12月1日着手となっているが、それまでは本格的に着工できないと思われる。加えて、大会開催期間は工事は中断する。このような状況で令和8年11月30日に工事が完了できるのか?

 今日の最後に、それよりなにより、この契約書では、受注業者は入札公告どおりの内容を82億1900万円で実施すると公然・公式に約束し、契約書を取り交わしたことになる。物価スライド以外に工事代金は変わらないことを確認したことになり、契約結び直しの理由はなくなる。また、大型階段は動かないことになる。これでは体育館病院はできないのではないか?