「市長が代わったとしても計画は止まらない」と豪語できない 入札契約手続きを不適正等と認定される恐れ

 「管理者は、前二項の規定による場合を除くほか、その意に反して罷免され、又は懲戒処分を受けることがない」。これは地方公営企業法第7条の2第9項にある規定。昨日12月8日の市長と等と医師会との話合いでの前川管理官の大胆発言はこの規定を意識してのものと思われる。今朝の新聞記事にも次のようにある。

 「『来秋の市長選の影響についての質問もあり、前川聡・病院事業管理者が「契約は市長ではなく(公営企業の管理者として)私が結んでいる。市長が代わったとしても計画は止まらない』と答えた。」

(毎日新聞2023年12月9日

 しかし、除くとされている「前二項の規定」は次のようになっている。

 「地方公共団体の長は、(中略)管理者の業務の執行が適当でないため経営の状況が悪化したと認める場合その他管理者がその職に必要な適格性を欠くと認める場合には、これを罷免することができる」。また、「管理者に職務上の義務違反その他管理者たるに適しない非行があると認める場合」などが定められている。

 したがって、選挙で変わった地方公共団体の長、すなわち新市長が、今問題になっている入札契約手続きを不適正あるいは違法と判断した場合には、前川管理者を罷免、あるいは免職処分にする可能性は大いにある。だから、前川さんは「市長が代わったとしても計画は止まらない」と豪語できない。

 

管理者は常勤と定める法規定に前川さんは違反している?

 さらに言えば、法の「前二項の規定」の規定を待つまでもなく、前川さんは法第7条の2第第6項「管理者は、常勤とする。」との規定にすでに違反している。
 なぜなら、前川さんは常勤ではない。昨年の就任前後に問題点として何度か話題にしたように、非常勤医(アルバイト)として週一回外来で働いている。これは、前川さんの年2千数百万円という高額な給与を積み増すための理由づけとしてひねり出されたもの。同じ病院だから問題ないと思われるかもしれないが、管理者の職務と週一回の外来対応は別の労働行為と考えられる。そしてその分の給与も受け取っているのでなおさらその解釈が成り立つ。

 管理者は医師である必要はない。もしたまたま医師であって、管理業務の一環として現場の業務を対価なしで緊急時等に行なうのであれば問題ないと考えられる。しかし前川さんの場合は担当医として診察表に組み込まれ、公表されているので副業をしているとの解釈も成り立つ。

 ということで、すでに前川さんは法の定めに違反していることになる恐れがある。

 

 

住民訴訟への判決が体育館病院中止にお墨付き 管理者の認識は危険

 また、先の住民訴訟に対する大津地裁の判決によって、市長の裁量権が条例や契約より優先するとの判決が出された。これが現時点では最新の法的判定。この判決によって、もし新市長が体育館病院に反対なら市長の裁量で止めることにお墨付きが与えられた。ちなみに、体育館病院には条例もない。

 さらには、管理者には入札契約を含め予算の執行(使う)権限はあるが、議会に予算を提案して採決を求める権限はない。予算がなければ事業は進められない。これでは、兵糧攻めにあうようなもので、万一身分が守られても、このようなことから、前川さんには「市長が代わったとしても計画は止まらない」と豪語できる根拠はない。公営企業の管理者は、つまるところお釈迦様の手のひらの上の孫悟空でしかない。

 昨日の管理者の発言で恐ろしく思ったことは、このような軽い認識を持っている人が、現病院の経営責任者であるとともに、新病院整備の責任者であることだ。今の市政の内実はかなり危険な状態であることが改めて垣間見えた会議であった。