医師確保のための滋賀医大への寄附講座経費1億2600万円 野洲モデル? 

 11月29日に市議会定例会が開会した。明日12月6日から質疑と質問が始まる。ホームページに公表されている議案概要を見ると、病院関連では特に目立つものは多くない。
 そのなかには以前話題にした、滋賀医科大学へのいわゆる寄附講座の経費1億2600万円がある。名目は「共同研究講座設置」となっているが、今年6月の議会答弁によると、その内容は医大に新たに特任教授と特任助教を設置する人件費に大半が充てられる。そして、特任教授は大学で働くが、特任助教は野洲病院に常駐する。このことを担当部長は答弁で市がコンサルに業務委託する場合を例にあげて説明した。したがって、共同研究となっているが、実質的には整形外科医を確保するための費用。


 以前話題にしたように、これによって医大の今井教授は、高齢者の転倒・骨折をテーマに研究を進め、野洲モデルをつくると意気込んでいるとのことであったが、医師会との連携もなくそのようなことが可能なのか?
 なお、議案概要では「令和5年度から令和10年度まで 限度額:126,000 千円」となっているが、令和5年度は実質ないに等しいので、当初示されたように毎年約2500万円となる。

 

 

管理者就任の目的であった医師確保が達成されなかった? 新病院でも確保困難を認めた? 辻褄が合わない

 市長は昨年、高額な人件費をかけた滋賀医科大学名誉教授である前川管理者の就任の主な目的のひとつは医師確保だと言っていた。しかし、このように寄附講座で毎年約2500万円も使って医師を確保しなければならないということは、前川管理者の就任の当初の目的が達成されなかったことを明らかにすることになる。ちなみに約2500万円は前川管理者の年間給与とほぼ同じ。
 また、5年間の計画(約束)にするということは、新病院になってからも、このようないわゆるお金で釣る手法でしか医師が確保できないと見込んでいることになる。市長と管理者自らが新病院の魅力を認めていないことになる。お金ばかり使って、どうもやっていることに辻褄が合わない。

 

 

市総合計画改訂議案は辻褄合わず時代錯誤 新病院もSDGsに真っ向から反する

 このほか議案としては、以前何度か話題にした体育館病院周辺を新都市拠点にし、周辺農地を市街化区域候補地に位置付ける計画見直しがある。議案概要では「議第135 号 第2次野洲市総合計画の改訂について第2次野洲市総合計画を改訂することにつき、野洲市議会基本条例第 11 条第1号の規定に基づき、議会の議決を求める。」となっている。
 都市区域を集約化し、暮らしやすさと環境負荷の低減を図るコンパクトシティの方針、また優良農地の保全という政策、すなわちSDGs(持続可能な開発目標)に真っ向から反する計画を議案にすることも辻褄が合わず、時代錯誤。また財政見通しも立っていない。

 この計画見直しだけでなく、郊外の危険で狭い変形地に病院をつくることそのものも、市長が総合計画に掲げるSDGsに真っ向から反することだ。