事業者が決定だが、契約の記事がない 決めても契約なくては事業はじまらない

 今日12月1日の新聞に市広報紙が折り込まれていた。表紙全面に体育館病院のパース(完成予想図)を配し、「新しい病院を整備する事業者が決定しました!」と大きく書かれている。また「令和8年度末開院予定」とも。そして、続く3ページを使って概要が記されている。

 これを見た市民の多くは、おそらくこれで病院整備事業がはじまると思うだろう。しかし、契約しなければ、事業は動かないが、どこにも契約締結とは書かれていない。

 例えば新しく車を買う場合、車を選んで決めても契約を結ばなければ、車屋さんは車を手配しないので、その後が続かない。この場合もそれと同じことで、事業者と契約を結んだとは書かれていないので、設計や工事ははじまらない。

 

「当初契約後の適切な時期」とは?

 入札は11月7日にあり、そこで事業者が決まった。そして新聞報道では、11月17日に契約を結んだことになっている。先日も書いたように10日もたってからの契約締結は異例。
 もし、本当に11月17日に契約を結んだのであれば、この広報紙のどこかにそのことが書かれるはずだが、書かれていない。記事の編集と印刷の時間は十分にあったはず。
 ただし、契約に関しては、2ページに「契約金額 82億1900万円」とあって、その下に「機械設備工事費を除外した金額です。除外した工事費は、当初契約後の適切な時期に改めて算定し、事業者との協議を踏まえて、継続的な整備ができるよう対応します。」と注意書きがある。
 「当初契約後の適切な時期に改めて算定し、事業者との協議を踏まえて」とはどのような意味なのか?
 そもそも「適切な時期」とはいつなのか?「改めて算定し」とは、市なのか事業者なのか、どちらが算定するのか?そして、この手続きは実質的には入札手続きの一環であるのに「事業者との協議を踏まえて」金額を決めてよいものなのか?このように疑問は尽きない。

 

表向きには事業者の立場は保障されず、不安定なまま?

 以前書いたようにもし事業者が82億1900万円の契約で着手すれば、手続き上は6月1日の入札告示に基づき、自らの判断で機械設備工事費がゼロ円であることを承知の上で設計施工に取りかかったと見なされる。そして、どこにもその後に機械設備工事費のゼロ円を増額する公式の確約は存在しない。いいかえれば、「適切な時期」は存在しないことになると考えられ、契約上表向きには事業者の立場は保障されず、不安定なまま「適切な時期」を待つことになると考えられる。
 なお、工事費の増額予算は可決されているが、それは別問題。以前から疑問視しているように、もし事業者が増額の話を持ち出せば、不適正な入札をしたことになり、損害賠償と指名停止の恐れがあると思われる。また、市が持ち出せば、不適切で違法な支出として住民監査請求の対象になる恐れがある。いすれにしても市がこのような契約手続きを行ってよいのか心配になる。 今日の広報紙を見るかぎりでは、や

はり82億1900万円の契約から次の契約へ移る間にある「溝」を越える手立てがあるとは思えず、心配になる。

 

令和7年10月末までは大型階段移設に着手できない 令和8年度末開院には無理がある?

 ところで記事には「今後のスケジュール」が載っている。 スケジュールについては令和7年3月からとなっている。しかし、国スポと障スポが終わる令和7年10月末までは屋外大型階段の移設に着手できない。以前の議会答弁では大型階段の移設工事には大型重機の使用とそのための地盤補強が必要とのことだったので、実質的な工事はそれ以降にしか着手できないと思われる。
 したがって、令和8年度末開院のスケジュールには無理があるのではないか?なぜかいつまでも大型階段移設のスケジュールと工事費が明らかにされない。