「マンションありきではなく、にぎわいの創出をメインに計画いただきたい」

 昨日話題にした10月24日と28日に開催の駅南口周辺整備などについての市民懇談会。市長からは夢どころか中身のある話はなかったが、マンションについていろいろ意見や質問が出されている。どれも否定的あるいは消極的なものだ。紹介すると次のとおり。

 

参加者 アンケート結果における駅周辺に希望する施設では、マンションの希望が少ないが、民間事業者からの提案で、マンションの占める割合が大きい場合、その案が採用されることはあるのか。

市長等 A・B・C ブロックの大半がマンション(住居機能)となるような提案をいただいたとしても、整備構想の内容に沿わないため採用することはない。

 ただ、野洲駅前のポテンシャルを鑑みて、住居機能を組み合わせた複合的な提案が整備構想に沿ったものであれば、排除しない考えである。

 

参加者 公共の場所で、マンションのように個人所有の建物を認めるべきではない。

 駅前に高層マンションが建設される場合、そこに住む住民は満足かもしれないが、周囲の景観が損なわれ、住民以外のものにとっては不利益となるのではないか。

市長等 整備区域内でマンションのみの提案であれば土地利用の観点から採用することは難しいが、複合的な施設であれば検討する予定である。

 

参加者 マンション整備は、近隣の土地評価額が上がる可能性もあり、反対しないが、マンションありきではなく、にぎわいの創出をメインに計画いただきたい。

 

 

施設内に200㎡確保すればマンションが認められる 容積率2倍の引上げる必要?

 参加者の異論や懸念に対して市長はこのように、マンションだけの提案は採用することは「難しいが、複合的な施設であれば検討する予定である」という答を繰り返している。ただし、マンションだけの提案はについても採用しないとは断言しないで、「難しい」と含みを持たせている。そして、「複合的な施設であれば検討する予定である。」と積極的だ。

 市長が言う「複合的な施設」とは、実のところ1000㎡の「市民広場」と「予約本受取ボックス及びブックポストの設置スペース」、「観光物産案内」、「市民交流スペース」の3つを合わせて200㎡。参加者も「市が提示する必須機能が、A・B・C ブロック合わせて 1,200 ㎡しかないのは、全体の面積からしてあまりにも小さいのではないか。」と疑問を呈している。もっともで、常識的で健全な意見だ。
 ただし、「市民広場」は最終的に業者が所有し管理するとは考えられないので、施設内に200㎡を確保すれば市長が条件にする「複合的な施設」となり、マンションが認められることになる。
 昨日紹介した市の図面資料には小さな字で「容積率について、現状の400%を上げる見直しを検討中。」と右下に注記されている。200㎡のために容積率を2倍に引き上げる必要はない。

 

 

マンションのための大がかりな仕掛け? 衣の下から鎧(よろい)が見えてくる?

 ところで、容積率の引き上げと「観光物産案内」や「市民交流スペース」などの「複合的な施設」になる条件のことから思い出したことがある。それは文化小劇場の駅側に隣接しているマンションのこと。

 以前にも紹介したので、詳しくは繰り返さないが、この土地はもとは旧野洲町所有地だった。過去に大手酒造会社の駅前開発に配慮して他の土地と交換して会社の所有となった。そこでのマンション計画に当たって、施設内に保育園入れることを条件にして、市は建築確認や容積率引き上げなど非適正な優遇を行った。

 いずれにしても今回の市長と市民とのやり取りと資料からは、市長のなんとかしてマンションを建てたいというこだわりや奮闘(ふんとう)する姿がにじみ出てくるように思えてきた。一連の検討会、アンケート、委託事業、市民懇談会、そしてサウンディングや官民連携などの大がかりな手続きはそのための仕掛けではないかと思えてくる。そして、病院を追い出す本当の理由は、半額とか身の丈とか言ったことではなく、そのためだったのではないかとも。現に、病院は半額でないことはもちろん、駅前病院より高額になり、身の丈をはるかに越えてしまっている。まさに衣の下から鎧(よろい)が見えてくるようだ。