病院の道連れで駅前学童保育所を移転? 中身なく見境なしの引っ掻き回し

 市ホームページに10月16日と25日の部長会議の要録が公表されたので目を通した。最近には珍しく出席部長の発言が多く記録されている。質問だけでなく、意見や異論までもある。
 10月16日の会議の主な案件は「文化施設再編及び野洲駅南口周辺整備事業について」で、 10月20日に開かれた市議会特別委員会での報告内容の協議。意見などのやり取りが多いのですべてを紹介できないが、いくつかあげると次のとおり。

 「(問)施設集約後の跡地利用として、子ども向け遊具広場を提案されているが、現在、公園の再編に向けた検討が進められているのではないか。
 (答)都市公園として整備していくのか、子育て支援の機能として整備していくのかは、もう少し議論していく必要がある。都市公園として整備する場合、都市建設部と十分な協議をしていく。」

 「(問)土地の売買、定期借地の場合のシミュレーションはできているのか。
 (答)鑑定評価、市場動向を踏まえて現在調整中であり、シミュレーションは行っていない。」

 「(意見)補助金返還してでも、今こどもの家を移転させるメリットを整理していただきたい。」

 以上を見ただけでも、基本的なことがまだ何も検討されず、中身がないことが分かる。

 それより驚いたことは、まだ新しく、なくてはならない、小学校に近い駅前のこどもの家、すなわち6つの学童保育所までを移転させようとしていること。以前は文化ホールが病院の道連れになるところだったが今度は学童保育所がそれにかわることになる。見境なしの引っ掻き回しではないか?

 

 組織機構再編と市民生活相談課廃止 見境なしの引っ掻き回し

 10月25日の部長会議要録の主な案件は「組織機構の再編と係長制度の導入について」。やり取りのいくつかを紹介すると次のとおり。

 「急激な変化による業務への支障を考慮しつつ、順次、大課制への移行(組織機構の再編)を進める。

 また、管理職への登用前に「管理監督能力」の醸成を行うことも必要であり、組織のリーダーとして自覚とスキルを習得させるため、『係長制度』の導入を行う。」

 

 「(意見)市民生活相談課業務を社会福祉課へ移すことについて、業務を丸ごと社会福祉課へ移すという考え方ではなく、市民生活相談課の業務は多岐に渡るため、所掌事務を細分化し、各課へ再分配するという考え方でも良いのではないか。

 (答)市民生活相談課は〈中略〉条例の意図を汲むと福祉部局へ移すのは妥当と考える。

 (意見)市民生活相談は、もともと分散化されていたものを一元化したことで、全国的に注目されるようになった本市の重要な施策である。当該施策は全体的なマネジメント機能が重要であり、分散化はしない方が良い。

 (意見)先進的な取り組みである市民生活相談については、課として独立して残すべき。

(意見)市民サービスとしては、市民生活相談、消費生活相談を分けない方が良い。」

 

 大課制への移行(組織機構の再編)と「『管理監督能力』の醸成」のために「『係長制度』の導入を行う」という論理は理解できない。

 それ以上に理解できないことは、着実に実績を上げ、市民から頼りにされている市民生活相談課をなくすという発想。生活困窮者支援は狭い福祉制度の枠内では対応できないため、わざわざ法律が制定されたのではないか。

 なお、記録は、「係長制度に移行していく中で、課を縮小していく組織づくりを総務部に指示した。本日各部長の思いや意見を聞いて、改めて思うこともあるので、再度総務部と協議する。」という市長発言で終わっている。大課制と課の縮小との関係など市長発言の意味が分からないが、いずれにしても案件は市長の了承の上で提案されたもの。ここでも、見境なしの引っ掻き回し。