少なくとも1者は一次審査通過 10月の二次審査でゼロの恐れ 市が1者を通すつもりであれば、官製談合の疑い

 体育館病院の入札手続きが続いていることからすると、少なくとも1業者は第一次審査での入札参加資格を得ていることになる。実のところ何者が第一次の入札参加資格を得ているか分からないが、先日紹介した隣の近江八幡市の庁舎の入札では最終的には1者しか応札しなかった。それからすると、建物が庁舎よりは特殊なうえに、用地条件や予定価格の設定が厳しい体育館病院の入札に多くの者が参加することは考えにくい。

 体育館病院の入札手続きでは、10月下旬に第二次審査があるので、業者はそれを通らなければ入札に参加できない。ということは、その時点で入札参加資格者がゼロということも想定される。そうなれば、以前書いたように、手続きは振り出しに戻り、半年間の手続きはまったくの無駄仕事になるとともに、新病院整備が半年以上遅れる。

 なぜこのような不合理で不可解な手続きにしたのかわからないが、裏返せば、必ず1者は第二次審査を通ると市があらかじめ確信していることになる。見方を変えれば、市は1者を通すつもりであることになる。このようなことから、官製談合の疑いが生まれる恐れがあると以前に書いた。

 

 

あまりにも不確定要素が多い 基礎杭打てても安全性確保できるか?

 市は、このような不可解な手続きで11月に入札を実施し、落札業者と契約を結び、その業者が3年間かけて設計と施工を行い、体育館病院を完成させてくれると考えているようだが、あまりにも不確定要素が多い。

 その理由は、精度の低い基本計画から一気に施工(工事)契約に飛ぼうとしていることと、先日も触れたように「準備事業」が計画どおり進んでいないこと。このままでいくと、11月に予定されている設計施工一括契約時には、新病院を建てられる条件を完全に満たした用地が存在しないという異常な事態が見込まれる。

 

 

 そもそも「準備事業」の項目そのものが十分なものなのかも検証されていない。たとえば、病院の基礎は基礎杭で対応する計画だが、それで十分なのか不明。旧温水プールは基礎杭で対応していたが、25mプールを覆う空洞の建物と5階建ての病院とでは重量をはじめ様々の条件が違う。今、市が出している情報は、基礎杭を打ち込んだ場合にそれを地下で支える支持層が存在するということだけ。それだけでは安全性の確認はできない。

 計画では隣接の一級河川中ノ池川の境界いっぱいまで土地を利用することになっているが、その場合、以前指摘したように、河川との境界に強固な擁壁を設ける必要があるのではないか?

坂道を下るブレーキのない乗物 「人々の交流や健康づくりにつながる新たな拠点として形成する」?

 体育館病院の計画が以上のような状況であるのに、今日、市ホームページで8月14日の部長会議録を見て、あまりにもの素早さに驚いた。

 最初の報告は「第2次野洲市総合計画改訂(案)に係るパブリックコメントの実施について」。説明は次のとおり。

 「市民病院を総合体育館東側市有地に整備することで、総合体育館周辺地域には、医療、運動(スポーツ)、福祉機能が集約することとなる。さらに今後、豊かな自然環境を生かした地域づくりを進め、一層の機能充実と強化を図ることで、人々の交流や健康づくりにつながる新たな拠点として形成することをめざすことから、第2次野洲市総合計画の土地利用構想に関する内容を改訂するにあたり、パブリックコメントを実施する」。

 市長が、異例にも少人数の委員で臨時に審議会を開き、総合計画の土地利用構想の改訂を進めていることは、以前紹介した。体育館周辺に新しく都市拠点を設置し、周辺の農地を市街化区域の候補地にするというもの。その審議が終わり、答申が出たのか、パブリックコメントを実施するらしい。

 体育館病院の先行きがまだ怪しいなかで、「人々の交流や健康づくりにつながる新たな拠点として形成する」とは、あまりにも気軽すぎる。市長は楽しんでいるかもしれないが、坂道を下るブレーキのない乗物のように危ない。