災害に対して常時シェルター機能を備えている住まい

 台風7号は今日8月15日和歌山県に上陸し、近畿地方をやや西寄りに北上し、被害の爪痕を残しながら、日本海に抜けた模様。通り道の近畿地方だけでなく、岡山県や鳥取県でも線状降水帯の発生などで大きな被害が出ている。また、日本海に出た後も豪雨の危険は去らないと予報されている。先の台風6号は沖縄に停滞したあと、九州地方を北上し、九州だけでなく秋田県でも同じように大きな被害をもたらした。

 このような連続する台風による被害を目の当たりにすると、改めて、住まいとまちの安全が何よりも重要であることが痛感される。避難するといっても限界があり、生活の拠点が安全であることが優先される。極端に言えば、生活の快適性や趣味性を満たしつつも、災害に対して常時シェルター(防護)機能を備えている住まい。

公共施設の場合はなおさら

 一般的に新たに住居を確保する場合、選択に当たって様々な要件や制約がある。制約を先にあげると、通勤や通学の便やいくらお金をかけられるかという経済面など。他方プラス面では自然環境・景観、建物のデザインと、それがもたらす快適性や趣味性などがまずは優先される。シェルター機能の大事さを頭で分かってはいても、土地の選定から建物の安全性までの重要性は最終的には後回しになる場合が多い。

 このように、個人の住居でも災害に対してのシェルター機能が優先するが、公共施設の場合はなおさらである。

 今回の週を置かずの台風の襲来と被害を目の当たりにして、以上のような思いを強くした。そして、今日知人からかかってきた電話での会話では、話は体育館病院に及んだ。

市の中央であることが根拠であることの間違いに市長と議員のどちらが早く気付く?

 栢木市長が4か月余りの熟考の後、体育館病院を決定した理由は、場所が市の中央であることだった。地震を含め風水害などの災害に強い場所かどうかは一切選択基準に入っていない。それどころか、市民団体や医師会が大いに懸念しているように、沼を埋め立てた土地であるため軟弱地盤であること、直上を高圧送電線が通っており電磁波の影響があることなどシェルター機能どころか危険が潜在している土地。

 さらに、未改修の一級河川中ノ池川が崖っぷちのように近接しており、水害の危険度は一層高い。万一河川改修が行われても、中ノ池川はすぐ下流で一級河川童子川にT字型で合流しており、危険度の解消に限界がある。もとは、病院予定地が遊水機能を果たしていたので当然のこと。写真は、市民から送られてきた昨年7月19日の短時間の局地的豪雨時の中ノ池川の状況。

 市の中央であることが病院立地選定の根拠になっていることの間違いに市長と議員のどちらが早く気付くのか?