事実から目をそらすためのアンケート 病院希望が45 選択肢にあれば上位に

 昨日話題にした駅前開発のアンケートでの希望する施設。回答は市が設定した「居酒屋」などの選択肢から選ぶようになっていたが、それ以外に「その他」として回答者が自由に記入できるようになっていた。その数は151となっていて、市の資料では、「その他では、病院、商業施設、図書館、温浴施設といった回答がありました。」となっていて、内訳は明らかにされていない。しかし、病院については、5日に紹介した新聞記事に「自由回答では、市がかつて整備する方針だった病院(45件)も上がった。」(毎日新聞2023年8月5日)と記されている。

 以前、「病院も選択肢にして『みんなの意見聞かせてね!』にしては?」と書いたことがある。今日知人が電話で、選択肢にないのにこれだけの回答があったことは意味深いとコメントをくれた。確かにそうだし、もし選択肢に入れていたらこの程度の数でなく、上位に行ったのではないか?まさに事実から目をそらすためのアンケート。そのようなアンケート結果をもとにしては健全なまちづくりはできない。

 

1年弱の間に建設費が34%も値上がり 近江八幡市の新市庁舎整備工事入札結果

 ところで、上記の記事が掲載されていた同じ紙面に衝撃的なニュースが載っていた。隣の近江八幡市の新市庁舎整備工事の入札結果。

記事は次のとおり。

 「近江八幡市は4日、新市庁舎整備工事の事業者が決定したと発表した。昨年10月に一般競争入札が事業者の辞退で中止となり、再度入札を実施」。(毎日新聞2023年8月5日)

 記事によると、今回の予定価格は67億1000万円で、契約金額は66億4950万円。そして、昨年中止した時の予定価格は50億500万円だった。1年もたたない間に34%も値上がりしている。

体育館病院では甘い試算 経営が成り立たない病院計画を進めようとしていることが明らか

 近江八幡市の新市庁舎整備工事の入札は、以前紹介したように実施設計と施工の一括契約。今年4月3日に入札公告を行ない、4か月間の手続き後、8月4日に結果が公表された。素早い手続きではあるが、それでも予定価格と契約金額には約6000万円の僅差しかない。野洲市の場合は、基本設計から施工の一括発注であるが基本は同じ。ところが、6月1日に入札公告を行ない、結果が出るのは、6カ月以上後の11月上旬。これでは、予定価格と契約金額の差は一層縮まり逆転の恐れもある。

 それ以上に問題は、野洲市は体育館病院では年9%の値上がりを見込んで予定価格を設定したとしている。これでは、令和5年度から8年度までの3年間の値上がりは29.5%しか見込まれていない。隣接市での34%もの値上がりの実例をみればあまりにも甘い試算。

 また、近江八幡市の場合は基本設計をもとに予定価格を算定していて精度は高いと思われるが、野洲市の場合は基本設計はまだなため、かなり荒い基本計画しか根拠にできていない。この点でも甘い。ここでも事実から目をそらそうとしている。

 さらに、それ以上の問題がある。庁舎の場合は企業会計ではないので収支・採算性は問題にならないが、地方公営企業である病院の場合は収支・採算性の確保は必須。市長は体育館病院の整備費に上限額は設けないと公言したが、立地条件が悪く工事費もかさむ悪条件に加え、物価高騰で当初の設備投資額が過大に膨れ上がれば、そもそも病院経営は成り立たない。

 経営が成り立たない体育館病院計画を進めようとしていることが明らかになったのではないか?