市民広場が必須条件? 商業開発はどこに? 1900万円使い、大山鳴動で鼠一匹

 今日の朝刊に「野洲駅前整備 市民広場必須条件に市が事業者公募素案」の見出し記事があった。駅前開発の検討会が昨日8月4日に開かれたらしい。7月に開かれることになっていたのに市のホームページ等に情報がないのでないのでどうなったかと、先日書いたばかり。記事になっているので公開だったと思われるが、傍聴者はいたのか?新聞が市広報の代わりになっている。

 記事の概要は次のとおり。

「市は駅南口にある市有地(計約1万1000平方メートル)の必須機能として、市民広場▽図書の貸し出し▽観光情報などの発信▽ゆったり時間を過ごせるスペース―の4点を提示。提案すれば加点される機能として、▽子育て支援▽シェアオフィス▽飲食▽宿泊―などを示した。」(毎日新聞2023年8月5日)

 駅前Aブロック病院計画でも市民広場はあった。また図書館機能や観光案内所もあった。要するに病院を追い出して市民広場等を残しただけ。

 1900万円のお金を使って大見直しを謳(うた)って検討したが、結果はまさに大山鳴動して鼠一匹といったところか?

 

「マンションの提案も除外しない方針を示した。」 後ろに狸が控えている

 とはいっても、記事には続きがあって、後ろに狸が控えている様子が透けて見える。

 記事は次のとおり。

 「市に土地活用について問い合わせた12業者を対象にした調査で、不動産開発業者からマンション整備の意向が示されていることなども説明された。委員から『かつてマンションは望ましくないとの議論があったのでは』との声が上がったが、市は『小学校の受け入れ態勢不足を懸念する声があったが、想定以上に少子化が進み、問題ないと考えている』として、マンションの提案も除外しない方針を示した。」(毎日新聞2023年8月5日)

 業者からマンションの意向が示されたからそれを除外しない?この方針では、この計画は実のところ市民の意向でなく、業者の意向を優先するものになる。

 そもそも、「マンションは望ましくないとの議論があった」のは小学校の問題からではない。それは栢木市長や西村教育長が言っていることで事実とは異なる。

偽りの小学校問題を理由に持ち出してマンションを正当化

 野洲小学校について言えば、校舎の空きスペースを間仕切って各階に暫定の教室を作ってい暫定的に対応しているのが現状。万が一児童数が減るのであれば、校舎を本来の形に戻すべき。また、校庭・運動場も狭く、たちまち駅前マンションの児童を受け入れる余裕はない。さらに、3年前の土地利用区域の見直しの時、地権者たちから住居系の市街化区域の拡大の提案があったが、小学校の問題等を理由に見送られている。当然その時は駅前市有地でのマンションという話はなかった。

 問題の本筋でない小学校問題が解決するような偽りの理由を持ち出してマンションを正当化しようとしている。駅前マンションを抑制しようとしている市があるなかで、わざわざ市有地にマンションを整備する計画案をつくるとは?

 

病院を追い出してマンション建設計画 学識経験者の弊害

 「不動産開発業者からマンション整備の意向が示されている」(毎日新聞2023年8月5日)からには、公募をすればその業者が、市民広場や図書貸し出し・観光情報発信の機能を組み込んだマンション計画を出してくるのは目に見えている。

 市民広場はマンション業者が整備するのか?もし、市が整備するなら、市が税金でマンションの価値を高めに行くだけのことになる。万一、本気で市民広場をつくるなら、業者の提案を待たなくても、当初計画どおり都市公園として整備すれば多額の交付金が受けられ、土地代と整備費用が起債で賄え、市民にとってははるかに有利。

 そもそもこの検討は、商業開発を柱にし、それによる賑わいと税収増を掲げて市長が始めたもの。しかし、報道で見るかぎりでは、検討会の計画案は病院を追い出してマンションを建てる計画にしか見えてこない。

 検討会には学識経験者として建築の専門家が2名入っているようだが、このような案が通るようでは、以前書いたように学識経験者の弊害ではないか?