コミュニケーションの報告になっていない 一方通行で片思い状態?

 市のホームページを開くと7月10日の部長会議の記録が公表されていた。最近の流れで情報量は少ないが、冒頭の「市長挨拶」の一文に目がとまった。

 「近畿地方整備局で要望活動を行った。また、7月から新たに就任された局長、河川部長には、本市が高専予定地に隣接する側帯で進めている事業への協力を改めてお願いした」。近畿地方整備局は国土交通省の出先機関。「進めている事業」とは、河川防災ステーション。

 何でもない一文だが、コミュニケーション(やり取り)の報告になっていない。整備局長と河川部長からの了解している、協力する旨の答がない。一方通行で片思い状態。

 

名目と内実が異なる事業に河川法許可が出せるのか?

 滋賀県は昨年9月に高等専門学校の設置場所を野洲市に決定した。県のホームページでは、「令和4年9月20日、滋賀県議会9月定例会の冒頭、知事の提案説明の中で高専の設置に最も適した場所を公表しました。」となっている。

 計画では野洲市が、国が管理する一級河川野洲川の河川敷地約10haに河川防災ステーションという名目で、高専用のグラウンドを整備することになっている。グラウンドには通常400m陸上競技場、野球場、テニスコートなどが整備されることになっている。県のホームページから資料を掲げる。

 国土交通省の協力とは、まずは河川法に基づく占用許可がある。また、国管理の一級河川野洲川の河川防災ステーションという位置づけであるからには、その整備費も国が出してくれるのか?

 市長からの協力依頼に対して整備局長からの返答がないし、これらのことに関して、これまで市からも県からも何の情報も公表されていない。

 治水、利水、環境という重要な分野を所管する河川法において、河川防災ステーションの名目で、市が県に又貸しするグラウンドを整備するという、名目と内実が異なる事業に河川法許可が出せるのか?また、10haという面積も野洲市の規模にすれば巨大すぎる。

 

誤魔化し事業だが計画を明らかにすべき 事業費や財源、市民にとってのメリットとデメリット含め

 県と市は高専は野洲市に決まったと公表しているが、具体的には何が決まったのか?

 市の今年度予算に「滋賀県立高等専門学校の設置に伴い、通学路の整備や河川防災ステーション等の整備に向けた調整を図ります。」として約32万円の予算が付いているだけの段階。そして、調整を図るといっても、河川防災ステーション等の計画がそもそも明らかになっていない。

 市が、国管理の河川敷地を占用して、本来国が整備すべき河川防災ステーションを整備する。ところがその中身は、県立高専のグラウンドであるという誤魔化しのような事業には納得できないが、万一進めるのであれば、事業計画を公開で検討し明らかにすべきである。当然その計画では事業費やその財源が明らかにされなければならない。また、事業が市、すなわち市民にとってどれだけのメリットとデメリットがあるのかも明らかにされなければならない。

体育館病院でも事情は同じ どのような病院が出来るのか、市民にとってのメリットとデメリットも不明

 このように見てくると、同じように市長が決まったと言い、市長与党会派議員だけでなく、他会派の議員までが同調している体育館病院でも事情は同じではないか?昨年度策定した基本計画は概略的なものであるし、その後も手続きなしに病床編成などを変更している。基本設計を含め、設計施工一括発注にしたため、予定では来年秋以降となっている基本設計が完了するまでは実のところ市民にはどのような病院が出来るのかその姿は分からない。また、高専や河川防災ステーションと同様に市民にとってのメリットとデメリットも不明。市民は置いてきぼりになっている。