建設工事途中の香川県立アリーナに設計変更要望

 10日ほど前、いくつかのネットニュースで、香川県が2022年4月から高松市で建設を進めている県立アリーナについて県が選んだ指定管理者の候補事業体(香川アリーナコンソーシアム)が、設計に重大な問題があるとして、見直しを求める陳情を県議会に出したことが報じられていた。記事では次のとおり。

 「陳情では、出入り口から流れ込む風で、舞台セットが揺れたり、ステージ後方につり下げられた幕に負荷がかかったりする恐れがあるとし、『他の施設では想定されない危険な状況を招く』と主張している。」(読売新聞オンライン2023年6月21日)

 工事が相当進んだ段階での設計変更は異例だが、これについては次のように報じられている。

 「『コンソーシアム』の代表企業穴吹エンタープライズは、設計や仕様の変更を県に申し入れてきましたが、明確な回答が得られなかったということです。」(Yahooニュース・瀬戸内海放送2023年6月21日)

 

 

十分想定されていた滋賀県の新陸上競技場の懸念 連想は体育館病院に

 このニュースを目にしてすぐ頭に浮かんだのは、滋賀県が国スポ・障害者スポーツ大会に向けて整備した新しい陸上競技場のこと。複数の情報では、関係者の間では深刻な懸念があるという。この懸念について県はどこまで情報公表しているか知らないが、これについては当初から十分想定されていたことであった。

 野洲市の将来にかかわる重大なことなのでそのひとつを紹介すると、出来上がったばかりの施設であるのに、もちろん今の段階では安全上の問題に至らないとしても、すでにひびなどが見られるとのこと。もうひとつの深刻な問題はここでは触れない。そして、この情報を得たときにすぐに思い浮かんだ浮かんだことは、野洲市の体育館病院のこと。

 なお、国スポ等に向けた彦根総合スポーツ公園整備の用地代を含めた総事業費は公表されていないと思われる。

軟弱地盤など深刻な問題は十分想定されていた 

 この県立陸上競技場の立地にあたっては、当時激しい議論がたたかわされた。最終決定の会議では何人かの市長等が反対を表明した。しかし、大勢に助けられて当時の知事は押し切った。次の知事に対しても個々に注意喚起がされ、時間的には見直す余地はあったが、そこまでするエネルギーがなかった。

 その当時の反対理由の主なものは次のとおりであった。

 ①土地が琵琶湖の内湖の埋立地で軟弱地盤であること。事業費も高額になる。

 ②内湖と言っても元々琵琶湖であったものが砂州で仕切られて湖になったもので、地形的には琵琶湖上に陸上競技場をつくるようなものであること。なお、このことが、もうひとつの深刻な問題に効いてきているようだ。

 ③大量動員施設であるのに駅からのアクセスが悪いこと。また、名神高速の彦根インターから国道8号経由でのアクセスも悪いこと。

 ④土地が狭く、形状が悪いため、主競技場とサブ競技場が隣接しないこと。

 ⑤照明の高さや明るさに大きな制約のあること。

 ⑥彦根城のユネスコの世界遺産登録にプラスにならないこと。

市には県の轍を踏む余裕も財政力もない

 以上のように見てくると、今深刻な問題となっていることは、十番想定されていたことであった。そしてこのような想定は、公開の理事会と総会で意見表明されたことであった。

 まさに、軟弱地盤や駅からのアクセスが不便、土地が狭く計上が悪いことなど、野洲市の体育館病院で現在想定されている問題と共通していることが多くある。野洲市には県の轍(わだち)を踏む余裕も財政力もない。