病院を理由に体育館周辺を都市拠点に位置付け 市街化区域候補地を拡大

 昨日市のホームペーを開き、新着情報で気になった項目があったので、それを開いて、大げさに言えば、あまりの露骨さに天地がひっくり返るほど驚いた。その項目とは、「第2次野洲市総合計画の一部改訂」。

 先に何に驚いたかを言えば、病院の立地を理由に体育館周辺を新たな都市拠点に位置付け、市街化区域候補地の拡大を図ろうとしていること。

 ホームページの記事は次のようになっている。

「本市では、市の最上位計画である『第2次野洲市総合計画』において、土地利用の構想について見直しを行っており、学識経験者や市民代表等で構成する野洲市総合計画審議会で審議いただいています。」

 5月25日に第1回の審議会が開かれたようで、ホームページには会議資料と会議録が掲載されている。

 

長期計画という性格上臨時の見直しは想定されていない

総合計画は、「市の最上位計画である」と書かれているように、市の長期にわたる基本となるまちづくりの構想・計画。市全体の土地利用の構想を伴っている。現行の計画は、令和3年度~令和12年度となっており、近年見直されたばかりである。それを「一部改訂」と称して、早くも見直そうとしている。長期計画というこの計画の性格上、臨時あるいは随時の見直しは想定されていない。ところが、それをやろうとして審議会を開いているのだ。異例としか言いようがない。

 

 

「一部改訂」でなく重大で大きな見直し 北部合同庁舎地域に大きな影響 広く情報を公開した慎重な審議が不可欠

 見直しの内容は、「一部改訂」としているが、実際のところ重大で大きな見直し。具体的には、現在は野洲駅を中心とする地域と旧中主町役場(現北部合同庁舎)を中心とする地域の2か所が都市拠点になっているが、そこに新たに体育館周辺を拠点として新たに加えようとするもの。そしてそこに、「産業系拡大市街地圏域」として市街化区域予備軍を加えようとしている。

 この新拠点の追加は、体育館のある地域の市民や土地所有者の利害にかかわることはもちろんであるが、既存の2つの拠点、特に北部合同庁舎地域のあり方に大きく影響する。したがって、計画の通常の見直しと同様、市民全体に広く情報を公開して慎重に審議を進めなくてはならない。

 

栢木市長の地元貢献は過大な期待に終わる恐れ

 ところで、会議資料の土地構想図などを体育館がある地域の市民や土地所有者が見れば、大きな期待を持つかもしれない。また、栢木市長の地元への大きな貢献に感謝しているかもしれない。

 しかし、このような進め方では、それは過大な期待に終わる恐れがある。なぜなら、土地構想図は制度上都市計画法の制度とは直接連動していないからだ。また、対象の土地は農振農用地であるとともに、暫定改修で実質は未改修の中ノ池川に隣接しているから。

 

総合計画を見直さなくても病院は建つ 体育館病院の謎が解ける? 審議会ととは言えない

 以上のような問題については、会議録を見るかぎりは、どの委員も問題意識がないようで、指摘したり、懸念を表明していない。そのうえ、そもそも委員の範囲も狭く、人数も極端に少ない。しかも公募委員が入っていない。このことは、以前の委員構成と比べれば明らか。これでは審議会ととは言えない。

 

 それよりなにより、今回の異常ともいうべき総合計画の「一部改訂」の審議が始まったという動きを知って、体育館病院の謎が解けたように思った。

 あえて今急いで総合計画と土地利用構想の見直しをしなくても体育館病院を建てることができる。総合計画は10年、5年でいわゆる定期見直しをすることになっているので、それを待てばよい。それなのにそれを今、性急乱暴に進めるということは、病院を捨て石にして市街化区域候補地を拡大することが主目的ではないのかという疑念が浮かび上がってくる。

 要するに、病院が行くから土地利用構想を変更するのでなく、土地利用構想変更のための病院。このように考えると、課題と問題が多く、実現には苦行ともいえるほど大変な苦労と過大な費用が伴う体育館病院に市長が執念している謎が解けてくるように思える。