管理者には医師派遣の成果が期待されていた 寄附講座は市長の方針転換

 栢木市長が突然に方針を大きく転換することは、よく知られたこと。昨日話題にした、滋賀医科大学からの医師確保・派遣を実質的な目的とすると思われる寄附講座もそのひとつ。医大からの医師派遣は、昨年9月の前川病院事業管理者設置の主な目的であった。

 前川氏はその専門分野の優れた研究者であり教育者であったが、大学経営、ましてや病院経営の経験はなく、管理者としては医大とのつながりによる医師派遣の成果がひとえに期待されていた。それにもかかわらず、市が医大に資金を出して寄附講座を設けるということは、今後は管理者に期待しないという、市長の方針転換を示すものと受取られる。

 

市長の医大学長への「検討・協議の依頼」は越権行為であり、方針転換 管理者は市長に見限られたことになる

 以上は昨日のおさらいになるが、部長会議録で驚いたことがもうひとつある。それは、昨日も引用した「『共同研究講座』の設置に向けて、市長から滋賀医科大学学長に宛て、検討・協議の依頼を行った」の記述。

 なぜ、前川管理者でなく、市長が医大学長に「検討・協議の依頼を行った」のか?野洲市と医大との関係は市の病院事業があってのものである。

 市長は、管理者の設置理由として、自らは医療に詳しくないので専門家を設置するとして、条例を変更して、それまで市長が兼ねていた管理者権限を管理者に完全に委ねた。このことによって、制度上、市長は病院事業に直接携わらないことになっている。それなのに今回市長が直接医大学長に「検討・協議の依頼を行った」ことは、制度に反する、いわゆる越権行為であるとともに、大きな方針転換。

 これでは、前川管理者にとって気の毒なことに立場がまったくなくなることになる。客観的に見れば、管理者は市長から見限られたことになる。そのうえ、あえて言えば、昨年の議会でも議論があった総額約2500万円の年俸が無駄になる。