よく似ている 「民間アイデア活用 9月に事業者公募」 

 県外の知人が今朝の新聞の記事について、「『にぎわい創出について民間アイデアとノウハウ活用』、野洲市とよく似てますね。」とメールをくれた。その記事の見出しは、「県庁西側『医療福祉拠点』に 人材養成機関と一体化へ 民間アイデア活用 9月に事業者公募」。(毎日新聞2023年6月13日)

 野洲市が医療を郊外に持っていく点を除けば、発想も手法も双子のようによく似ている。記事では、知事は「『交わり、学ぶ場所であり、そこに店があってもいいのではという考えだ。JR大津駅周辺はまだまだ活気づく可能性を持っている場所』との認識を示した。」(毎日新聞2023年6月13日)

 

教育会館の撤去問題で遅れた その間に状況は変わったが

 まず記事の概要を紹介すると次のとおり。

 「県が県庁西側の県有地に整備を計画している「医療福祉拠点」について、三日月大造知事は12日の定例記者会見で整備構想の内容を明らかにした。在宅医療福祉を推進するための医療福祉センター機能と、民間のアイデアを活用した人材養成機関が一体化したエリアを目指す。7月に整備基本計画を策定し、9月に人材養成の事業者の公募を始める。」(毎日新聞2023年6月13日)

 この大津駅近くの県有地の開発については以前に紹介したが、あらためて概略を記すと次のとおり。

 元々は、三日月知事の2期目知事選前のプロジェクトだった。2014年度末時点での計画は、「県内の医師会、歯科医師会、薬剤師会などの医療福祉関連団体を集約した『医療福祉センター機能』を設置」(滋賀報知新聞2017年8月31日)する計画だった。知事はこのことを医師会等に実質的には約束していた。

 しかし、その後、大阪で学園を運営する法人からの内々の提案を受けて、2015年度になって、知事は急遽「リハビリ専門職を養成する『大学などの高等教育機関』」(滋賀報知新聞2017年8月31日)を設置する方針を打ち出した。しかし、その実現のためには隣接する教育会館の撤去が必要となったが、訴訟となりたちまちの実現のめどが立たなくなった。そして、その間に大阪の法人は県内の別の場所にリハビリテーション専門職養成の大学を開学した。

相変わらずのてんこ盛りの大風呂敷

 ところが、今日の記事では、「県内に点在する医療、介護、福祉に関連する諸団体が集中入居する『医療福祉センター』と、リハビリ、看護、歯科衛生などの人材育成や医療福祉職の復職を支援する『人材養成の教育機関』を建設する。」(毎日新聞2023年6月13日)となっていて、従来の構想と変わらない内容。そんな簡単にリハビリ、看護、歯科衛生などの専門職の「人材養成の教育機関」が誘致できるのか?

 そのうえ、知事は次のようなコメントをしている。「地域包括ケアシステムの構築や健康危機管理事案に円滑に対応できる体制づくりが重要だと指摘。このため、センターには、災害発生や感染症拡大に対応する危機管理、対応の司令塔的機能を持たせる方針という。また、人材育成には大学のサテライト施設の開設や専門学校の新設を想定しており、県民や関係団体向けの情報発信、交流、学習ができる場所提供の機能も持たせるという」。(毎日新聞2023年6月13日)

 さらには、「そこに店があってもいいのでは」とまで。まさに、気が遠くなるほどの、相変わらずのてんこ盛りの大風呂敷。