市広報紙ぐらいしか情報がない 情報量が落ちた部長会議録

 先週、ある市民から市内で声をかけられた。病院や駅前のことがどうなっているのか、市の広報紙ぐらいしか情報がないのでまったくわからないという話。これが市民にとっての一般的な状況。

 市は市民説明会やホームページでの資料提供によって市民に情報を伝えているつもりかもしれないが、それらに参加したりアクセスする市民は限定されている。また、参加したりアクセスしても、結果的には納得できる情報が得られない。先般の病院の要求水準書の説明会がその典型。

 今も市ホームページを開くと、目立つところに文化施設集約化の市民懇談会などの案内が出ているが、どれほど市民の関心を引くのか疑問。

 かたや、市の動きに関心のある市民の情報源のひとつは、毎週の部長会議と月1回の市長記者会見だが、最近はどちらも情報量が落ちている。

「本市健康福祉課題に係る共同研究講座」

 ところで、その部長会議の記録。ある時期までは更新されるとホームページの「新着情報」に案内が出ていたが、ここ半月ほどそれがなかったので非公表になったのかと思っていた。そこで先ほど検索をかけてみたところ、5月15日と22日の記録が出てきた。

 目を通すと、22日の記録に先日滋賀医科大学への資金供与として触れた件に該当すると思われる報告が見つかった。長い標題で「本市健康福祉課題に係る共同研究講座の設置に向けた滋賀医科大学宛の協議依頼について」。そして説明は次のとおり。「野洲市と滋賀医科大学が、本市の健康福祉課題について共同で研究し、学術と政策の両面で有価値な成果を得るため、「共同研究講座」の設置に向けて、市長から滋賀医科大学学長に宛て、検討・協議の依頼を行ったことから概要を報告する 。」

 この報告に対して参加した部長からは、内容やあり方に関する質問・疑問はなく、唯一の質問はこれに対してどこかの補助金はないのかいという現金なもの。

 「本市健康福祉課題に係る共同研究講座」、「学術と政策の両面で有価値な成果を得るため」などと、漠然として、もって回った言い回しになっているが、要するに寄附講座のこと。

寄付は企業・個人から 医師派遣は制度趣旨に合わない 管理者の成果がないことを認める

 ところで、大学への寄附は、手っ取り早いところで、滋賀医大の説明を見ると「学術研究に要する経費等、教育研究の奨励を目的とする経費で、学外機関等(企業・個人の皆様)から受け入れる寄附金です。その経費は、学術研究や教育の充実・発展に寄与しており、大学の研究活動等に極めて重要な役割を果たしています。」となっている。このように、一般的には学術研究・教育の振興という社会貢献のための資金提供。

 ただし、実態としては大学の医学部や医療系の大学に対して医師派遣の、いわゆる見返りとして寄附講座が設けられている場合がある。県内の自治体でも、現在はどうか知らないが、このようなことが行なわれていた。しかし、このようなことは、金の切れ目が縁の切れ目で持続性がないし、そもそも制度本来の趣旨に反する。原点に戻って、医師にとって働き甲斐がある魅力的な病院づくりに務めるべきもの。

 また、医大の説明にあるように寄附者は企業と個人を想定しており、市あるいは市民の税金で運営されている公立病院からの寄附は想定されていない。そもそも、市や公立病院自体が社会貢献を目的とする団体である。

 「本市健康福祉課題に係る共同研究講座」の開設時期やその金額は分からないが、いずれにしてもこのように見てくると、まだ体育館病院の目途も明らかでないなか、医学だけでなく福祉も含めた共通課題が市と医大との間にあるとは考えられず、この寄附講座はあまりにも不明朗ではないか。

 さらに言えば、医大からの医師派遣は前川管理者設置の主な目的のひとつであったはず。管理者の就任後1年もたたないうちにこのような取組みをせざるを得ないということは、管理者の成果がないことを早々と認めることになってしまう。