オーケストラ、バレエ、人気演歌歌手のショーが楽しめるのはここしかない

 野洲文化ホール恒例のリラックスコンサートのチケットが発売開始になったので早速買った。公演は9月3日(日)午後で、演目は「『アナと雪の女王」メドレー」など映画音楽とスメタナの「モルダウ」などのいわゆるクラシックの組合わせ。滋賀県を拠点に活躍している久末航のソロとによるラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」なども入っている。

 このリラックスコンサート、野洲文化ホールで1998年にはじまって、今回25回目。オーケストラは関西フィルハーモニー管弦楽団で指揮は最初の一時期を除き、藤岡幸夫さんで続いてきている。

 市内で本格的なオーケストラ演奏が楽しめるのは、この野洲文化ホールしかない。バレエの公演や人気演歌歌手のショーの場合も同様。

 

昨年度の説明会等で市が採るべき方向性・結論は明らか

 ところで、6月1日新聞折込の市広報紙に「文化施設集約化に関する市民懇談会」の案内が出ていた。先日同じ課題に関するアンケートについて書いたように、昨年度の取組によって、すでに市民の意向は把握できているはずである。昨年の説明会では参加した市民の意見の大勢は駅前文化ホールの存続であった。したがって、市が採るべき方向性・結論は明らか。くどいようだが、先日紹介した記事をもう一度引用する。

「市民説明会では集約案の再考を求める声が多く上が」った

 「市は2019年に財政負担の軽減を図るため同ホールと野洲文化小劇場、さざなみホールの3施設の集約化方針を発表。庁内議論の末、複合施設でバリアフリー化ができていることなどから500人収容のさざなみホールに集約する案を採用し、さらに検討を進めることを決めた」。

 「今月12日に開かれた市民説明会では集約案の再考を求める声が多く上がり、西村健教育長は『現在の建物の維持は難しく、建て替えると40~80億円はかかる。人口5万人の市でそのような施設を持つ必要はあるのか。将来の子供たちの負担が膨大になってしまう』と理解を求めた。市は12月の市議会定例会で集約化に向けた関連条例の改正案を提案するという」。(京都新聞2022年6月17日)

 また、これもすでに紹介したとおり、市議会が今年2月5日と7日に開いた市民懇談会でも、「駅前の利便性を優先すべきだと思う。」、「文化の灯を消さないために、野洲文化ホールは残すべきだと思う。」(市議会報告書)など、同様の意見が大勢であった。

 

自由な意見を求める? 文化ホールは病院の道連れで消されようとしているのか? 体育館病院にこそメスを

 広報紙の案内文は、「これから策定する集約化方針へ皆さんのご意見を反映するため、以下の市民懇談会やさまざまな機会を通じて、できるだけ多くの人の意見を伺いたいと考えています。」となっている。要するに、市は何の方針も示さないで、市民が自由に意見を述べることを求めている。

 しかし、市民にすればそう簡単に意見が述べられるものでもないし、そもそもこのような政策作りの手続きは間違っている。市民の負託を背負った市長が責任を持って、方針なり案を示したうえで、市民の意見を聴くべきもの。4か月余りの「熟考」の末にいきなり体育館病院の結論を市民に押し付けた暴挙とは真逆のやり方。どちらも健全な政策形成手続きではない。

 推測するところ、先日チラシのところで紹介したように、市財政が厳しいことをあげて、1000人のホールを500人弱のホールへ集約するよう、市民の意見を誘導したいのだろうが、姑息なやり方。

 市財政が厳しいのであれば、まずは体育館病院にこそメスを入れるべき。これまでも調査や検討の委託で湯水のように巨額のお金を使ってきた。そのうえ、病院の建設費の今後の増加には歯止めだ掛けられていない。さらには、それに伴って、病院の経営見通しも不透明であり、市財政からの法定外繰り入れが必要となる恐れも多分にある。

 野洲文化ホールは病院の道連れで消されようとしているのか?