要求水準書(案)に委員から本質的な意見や指摘はなかった

 今日5月22日は、昨日の市民説明会に引き続き、体育館病院の審議会がが開かれた。議題は昨日と同じ、病院施設の設計施工一括入札のための要求水準書(案)についてで、資料も同じ。審議会を傍聴した市民の話から概要を紹介します。

 審議会の委員委嘱は市長から前川管理者に変わっているが、構成は昨年度までの評価委員会とほぼ同じ。ただし、建築の専門家2名が変わっている。また、医師会は小西会長が委員になった。

 会議は、滋賀医科大学学長の上本委員長の指示で、柏木顧問の話から始まったようだ。

 結果から先に言うと、医師会長の小西委員が軟弱地盤など立地の問題を指摘した以外は、要求水準書(案)について委員から重要あるいは本質的な意見や指摘はなかったようだ。

 

 

真剣に考えていないか、または要求水準書(案)に歯が立たなかったのか?

 今回の審議会は体育館病院整備を進めるために特化したものであり、委員は、当然体育館病院に賛成したうえで就任していることになる。したがって、今日の会議では、特段の指摘や異論が出なかったことはもっともだと見られないこともない。

 しかし、この見方は間違っている。なぜなら、今日の会議の目的は体育館病院のより良い実現を図るためのものであり、委員には、そのための重要あるいは本質的な意見や指摘が期待されていた。それなのに、そのような意見などがなかったということは、委員会の目的を真剣に考えていないか、または要求水準書(案)や入札関係資料に歯が立たなかったのかのどちらかであると考えられる。

 

契約事務に精通した弁護士と会計士が委員に入っていない

 要求水準書は病院の基本計画が設計と施工の契約において的確で合理的に実現されるための要件を具体的に明らかにし、それを契約の相手方に求めるための文書。今回の契約は足掛け4年にわたり、基本設計、実施設計、施工という3つの工程を含む契約であるため、通常の仕様書よりは厳格さが要求される。

 このように要求水準書は基本計画を設計と施工に的確につなぐ文書であるため、もし基本計画がしっかりとしたものであれば、その策定と検証で重要な役割を担うのは、契約事務に精通した弁護士など法律の専門家と会計士である。しかし、審議会にはこの分野の専門家が入っていない。これでは、審議会の「専門家」では歯が立たない。

大会やお祭りのようなイベント型進め方で入札公告に至って大丈夫か?

 昨日も例にあげたように、工事費に物価スライドを採用するのであれば、安易な増額要求につながらないような枠はめの規定が必要。また、基本計画の精度が低いため、病棟については、「個室率30%以上とし、50%を目指す」などと漠然とした指示になっているが、この要件では受注者は工事費が安くなる「個室率30%」で設計施工して、入札条件を満たしたといってくる恐れがある。これらは、一例であって、要求水準書(案)には詰めの甘いところが多くあるはず。

 今日の審議会の持ち方がいわゆるイベント的であったが、要求水準書(案)の策定と検証も、大会やお祭りを開くかのようなイベント型の進め方。イベントなら一過性だが、病院整備と経営は違う。このまま6月1日の入札公告に至って大丈夫か?