市長は見苦しいほど訴訟テクニックに頼りすぎた ようやく本論に

 今日4月21日、病院の住民訴訟の口頭弁論があった。この訴訟は、栢木市長が駅前Aブロック病院の実施設計等を就任直後に違法に解約し、市に損害を与えたとして、市長に4,256万円の損害賠償を求めるもの。一昨年の8月に訴えが出された。被告である市長側は、当初から日程調整を伸ばしたり、入り口論に終始したりなど、不誠実な対応を繰り返したので、本論に入れず、多くの時間が無駄になった。

 もちろん、訴訟である限りは、勝ち負けは重要であり、勝つためには訴訟テクニック(技)を使うのもやむを得ないが、市長側の対応は、市民からの訴えに対する市の対応としては、訴訟テクニックに頼りすぎ、見苦しいものであった。そのため、裁判官の訴訟指揮により、ようやく半年ほど前から本論の審理が始まったような状況。

 なお、この住民訴訟の状況については、市長は市民にはもとより、市議会にも情報提供していない。しかし、数百万円の弁護士費用の全額は市民の税金から支払われている。

 

「民意を根拠にしているからという被告の主張は全くの誤りである」

 この住民訴訟についてはこれまで何度か紹介してきたので、直近の情報として、今回の原告(市民)側の準備書面の概要を紹介する。

 原告が市長に対し、選挙公約の「現病院の敷地に半額程度で新病院を新築」の根拠資料の提出を求めていたが、今年の3月9日付けで資料が提出された。しかし、「選挙当時このような文書が存在したかどうか極めて疑問であるが、これを措くとしても、イラストと根拠が示されていない数字の羅列である。この程度の資料をもって、被告は、現地建替えによれば、 半額でできることを訴えて当選したのである。 そして、その後、現地建替えそのものが困難であることが判明し、 現地建替えであれば半額程度でできるという公約は実現不能となったのである。

 まさに誤った民意が形成されたというべきであり、 民意を根拠にしているからという被告の主張は全くの誤りである。」

「民主的というためには、議会での議論を経ての決議に基づくものでなければならない」

 市長が契約解除は民主的な手続きを経ているとの主張については次のとおり。

 「被告の主張は、要するに各契約の解除にあたっては、 議会全員協議会での報告を行った旨主張し、これをもって民主的手続によるもので著しい妥当性を欠いたものとは言えないと主張する。

 しかしながら、民主的というためには、議会での議論を経ての決議に基づくものでなければならない。

 上記のとおり、 被告が公約として掲げた『現病院の敷地に半額程度で新病院を新築』という被告の公約が潰えた時点では、もう一度民意を問う、すなわち、民意の代表である議会の議決によるべきであったのである。

 この点、被告は、あくまで前市長の立案し、 推進した新病院建設計画反対に固執して、議会に諮ることなく、性急にことを進めたものに他ならない。」

条例変更で市長の行為は条例違反であった 民主主義と地方自治の根幹にかかわる

 今日の口頭弁論で裁判長が、病院事業の設置条例が変えられ、病院の場所が変わったのかと質問したが、市長の代理人弁護士は、そのことを十分認識していない様子だったとのこと。もちろん、昨年12月22日にこの条例変更が施行され、病院の場所は、駅前Aブロックから現市立野洲病院の場所に変更されている。

 しかし、市長が契約解除した時には、議会が可決した市の条例で市民病院は駅前Aブロックと定められていたのであり、市長の行為が条例違反であったことに変わりはない。万一そうでないとなると、憲法が定める、民主主義と地方自治の根幹が揺らぎ、無視されることになる。