「組織としては全く言い訳のしようのないもの」 

 「定例会の議案の条例改正でも、いわゆる単純ミスが発見され、議会に訂正をお願いする場面もあった。

 個人のミスは誰にでも起こり得るものだが、組織としては全く言い訳のしようのないものであり、十分なチェックシステムが機能していなかったという課題が浮き彫りになった。

 今回のケースを教訓として、どうしたらこのようなミスが防止できるのか、早急に部内のチェック体制やシステムの見直しの検討をお願いする。」

 これは、昨年度末最後、3月27日の部長会議での市長挨拶の締めくくりの言葉。もちろん、このときには、ここ2日間にわたって話題にした病院事業設置条例の問題は気づかれていなかった。

 

 

評価委員会はまだあるのか?

 病院事業についてのもうひとつの条例問題。それは評価委員会に代わる審議会を定める条例が法の趣旨に反すること。これについては、3月27日のブログでも触れたので詳しくは繰り返さないが、要するに、病院事業管理者の諮問機関であるのに、それを市長の附属機関(諮問機関)を定める条例で定めた。言うまでもなく、管理者が自らの責任と権限で定めるべきもの。もちろん、委員を委嘱するのは管理者になる。

 そこで今日確認のために、市ホームページの例規集から「野洲市附属機関設置条例」を開いてみた。すると新年度が始まって3週目になるのに、評価委員会の後継となる審議会は記載されてなく、評価委員会がそのままになっている。これを見るかぎりでは、法の趣旨に反する審議会は設置されなかったことになる。

市長の附属機関定める条例で管理者の附属機関定めた! 管理者の権限に関与 管理者不在で委員委嘱できず、会議開けない

 しかし、この情報だけでは不安なので、議会のホームページを当たってみると、先の第2回定例会の議案に条例改正案があった。

 「議案概要」では議案提案理由は、「昨年9月1日より病院事業管理者が設置され、同年12 月に新しい場所での新病院整備が機関決定されたことに伴い、市長の附属機関である「野洲市民病院整備運営評価委員会」を、名称を「野洲市民病院整備事業等審議会」とし、病院事業管理者の附属機関とするため」となっている。

 やはり市長の附属機関を定める条例で「病院事業管理者の附属機関」を定めたらしい。詳しい法的な検討はまだしていないが、一般的には「地方自治法」が想定しているのは、市長と教育委員会などの行政委員会の諮問のための機関。

 病院事業は地方公営企業法に基づく事業組織であり、大型契約の議会での議会も要らないほどの独立性があり、管理者の諮問機関をこの条例で規定するのは異例。地方公営企業法の趣旨は、市長が管理者を任命した後は、すべての権限と責任は管理者にあり、市長は関与できない。それなのに、このような異例な形にした理由は、多分、審議会に見かけ上の権威をもたせたいためだろうが、結果的には市長が管理者の権限に関与したことになる。この面でも、法の趣旨に反する。

 もし条例で定めるなら、管理者の設置を定めた、病院事業設置条例のなかで定めるのが適正。

 いずれにしても、管理者不在のままでは、評価委員会なのか審議会なのかは別にして、委員の委嘱ができず、会議は開けない。それとともに、委嘱ができたとしてもそれを受諾する専門家がどれだけいるかも心配。