100億円が可決され、新年度から次の段階が動き出すが

 今日で2023(令和4)年度は終わり。体育館病院の設計施工予算約100億円が可決され、新年度から次の段階が動き出す。先日紹介した市ホームページのチラシにあったように、「今年11月には設計・施工を一括でゼネコン事業者(総合建設業者)に発注し、令和8(2026)年度中に、新病院が竣工・開院するよう進めます。」ということになる。

 なお、「新病院が竣工・開院するよう進めます。」と、今年元日の折込チラシの「令和8(2026)年度竣工・開院へ」と比べると表現が後退している。

 

さ迷った末の体育館病院 市長も議員も公約に掲げてない 実質的に市民抜きに仲間内で決められた政策

 ところで、振り返ると、昨年の今頃は市長の熟考期間中だった。熟考は年明けから5月まで約4か月続き、その後突如市長が体育館病院の方針を表明し、今に至った。

 体育館敷地は、その1年前、一昨年(2021年)3月の3候補地のひとつだったが、駅前Bブロックが選ばれ、選に漏れた。なお、この3候補地は市長公約の現地半額建て替えが破綻したため次の手として市長が出してきたものだった。ただし、その時に候補地とされたのは体育館北側の大駐車場だった。しかし、今の体育館病院計画地はそれとはまったく異なる、体育館東側の旧温水プール跡地と準備運動などに使われていたフリースペース。

 このように辿って来ると、定見なくさ迷ってきたことが、改めて明らかになる。そのうえ、体育館病院を選挙公約に掲げ、市民の審判を受けた政治家は、市長と議員のなかにだれもいない。したがって、市長と議員は市民の代表であるとはいえ、体育館病院は実質的に市民抜きに仲間内で決められた政策。

 

新病院整備を専任担当職員はゼロ 厳しい条件を選んで病院を建てようと無理をするのか不可解 スポーツでの挑戦か宗教の苦行

 振り返りはこのぐらいにして、これからどう動くのか?

 体育館病院については、軟弱地盤の問題に焦点が当てられているが、課題と問題はそれにとどまらない。

 そもそも、土地の選定に問題がある。市長は、市の中央を理由にあげているが、交通の便は悪く、説得性は弱い。

 また、常識的に考えて、約100億円もかけて整備する新病院をこのような窮屈な場所には立てない。郊外型病院が良いというわけではないが、万一、郊外型病院を建てたいなら、2haほどの用地を新たに用意して整備するのが常道。

 以前に紹介したように、この土地は旧町時代にごみ焼却場用地として取得されたもの。しかし、地元の反対等々があって建てられなかったので、体育館用地に転用された。当然のことながら、用地のもっとも条件の良い場所に体育館が建てられたので、病院予定地は、上空に高圧電線があり、東側は一級河川に接した細長い土地。繰返しになるが、冷めた目で見れば、このような土地に巨費を投じて新病院を建てない。

 ところが、野洲市はあえてそれをやろうとしている。したがって、今後事業が動き出せば、想定されている課題や問題に加え、想定外の問題が明らかになる恐れがある。なぜ、わざわざこのような厳しい条件を選んで病院を建てようと無理をするのか理解できない。スポーツでの挑戦か宗教の苦行のようなもの。

 片や、この事業を動かしていく新年度の職員体制を見ると、病院事業に配置された新病院整備課職員は4人だが、全員が市役所の地域医療政策課との兼務になっている。ということで、新病院整備を専任で担当する職員はゼロという奇妙な体制。これで荒波を乗り切れるのか?