籃(ざる)に水を盛って走って家に帰るようなもの 籃は空っぽ

「我れ人を謾(あざ)むく漢(おとこ)を見るに

 籃(ざる)に水を盛って走るが如(ごと)し

 一気に将(も)ちて家に帰るも

 籃裏(らんり)に何ぞ曾(かつ)て有らん」

 これは、昨日、中国の古典「寒山」の詩集を読んでいて行き当たった詩句。詩というより訓戒風で、仏典に基づくと見られているが、これはまさに野洲市の病院と駅前の進め方に当てはまるのではないかと思った。

更地がまだないのに、建設費約100億円予算が先走り可決?

 今日3月22日は、市議会の予算常任委員会。どのような意見が交わされ、体育館病院の設計・建設費約100億円を含む予算議案の採決結果がどうなったか知らないが、おそらく大方の予想どおり可決。そして、定例会閉会日24日の最終採決結果は、今日の結果と大きく変わらないと予想される。

 体育館病院の地盤の安全の根拠は崩れたし、その他にも基本的なことが明らかになっていない。また、現場には、巨大で頑強な大型階段があり、その移設のスケジュールと経費も明らかにされていない。したがって、すぐに病院が建てられる更地がまだ存在していない状態。

 このような状態であるにもかかわらず、設計・建設費約100億円の予算だけ、先走りで可決するのか?まさに、籃(ざる)に水を盛って走って家に帰るようなもの。

 

 

2026年度開院見込めないおそれも 工期は1~3ヶ月程度不足

 ところで、市のホームページを開いたら、病院整備事業の建設業者に対するマーケットサウンディングの結果が公表されていた。そこには、「参加事業者の意見の傾向」が表にまとまられている。ただし、参加業者の数や名前が公表されていないので、意見の信頼度は分からない。

 その内容に目を通すと、「現時点の市況を考慮した場合」、建設事業費の「予算は妥当であるという意見が多かった」などと記載されている。今日の予算常任委員会で可決されるための補強材料として今日の公表となったのか?ただし、「全般を通じて今後も上昇傾向にあるという意見が多かった。」という意見が付いている。

 また、「工事期間は、実働18ヶ月+国体期間3ヶ月(工事中止期間)では、ギリギリ対応可能という意見と、1~3ヶ月程度不足するという意見の双方があった。」

 このように意見を聴いた場合、入札にあたっての最終の仕様書では、工期をどのように設定するのか?できるだけ多数の入札参加者を確保するためには、最長の工期を設定する必要がある。もし、そうとなれば、体育館病院の2026(令和8)年度開院は見込めないおそれも多分にある。

地盤安全は陶器教授に代わり、建設業者の意見で代用 議会手続きだけが先行

 以上のほか、やはりと思った意見もあった。例えば、「杭打機やクレーンなどの重機における揚重作業について、高圧線との干渉の危険性が一部あるため、配慮が必要であるとの意見が多かった」。

 なかでも、興味を引いたのは、「軟弱地盤を理由に建設出来ないという意見は無かった。」との意見。もちろん、入札参加に関心をもって参加した業者が、建設できないというはずはないが、県大の陶器教授の「確認」の根拠が崩れたので、建設業者の意見で代用した。

 ただし、これにも「表層の液状化については、現在公開されている情報だけでは判断が難しく、工法決定等のために、調査結果の開示・公告を待つとする意見が多かった。」という意見が付いている。

 このように辿ってくると、基本が固まっていないのに、議会手続きだけが先行している。