ようやく陶器教授から医師会長あてに返信

 体育館病院の地盤の安全を「確認」した専門家であると市が説明してきた滋賀県立大学の陶器教授。医師会は、この陶器教授に対し、その確認行為等について昨年来、再三にわたり詳しい説明を依頼してきたが返答がなかった。ところが、ようやく陶器教授本人から医師会の小西会長あてに返信があったらしい。

 このことについて、医師会は昨日3月20日に記者会見を開き公表した。今朝の新聞に「野洲市の説明に疑念」(中日新聞2023年3月21日)の見出しで、次のとおり報道されている。

 「旧温水プール跡地を巡り、市は昨年六月に『建築可能な地盤であることのエビデンスについて』と題した資料を公表。」、「学識者の『記載の所見で問題ないと思料する』とのコメントを掲載した。」(中日新聞2023年3月21日)

 なお、6月に公表された市の資料には、「学識者にご確認いただきました」と明記されている。そして、その学識者が県大の陶器教授であることが昨年11月14日の病院評価委員会で公表された。

「建設可能と保証したことは一切ない」 予定地の安全保証の突っ張りが外れた 市は虚偽内容の公文書を公表した

 そこで、陶器教授の返答。記事では次のとおり。

 「建設可能と保証したことは一切ない。市提供資料の『建築可能であることのエビデンス』という表現が独り歩きし、外部に誤解を与えているように思う」(中日新聞2023年3月21日)

 昨年5月18日の病院特別委員会で栢木市長が体育館敷地が病院の「最適地」と表明して以降、市民や医師会から地盤の安全について疑問が出されてきた。それを説得するために、このエビデンス公文書が出され、昨年7月29日に特別委員会資料にもなっている。さらには、その後の11月の評価委員会でも委員長である滋賀医科大学の上本学長はこの資料をもとに審議を進め、市の基本計画案に異論なしの意見集約を行なった。

 したがって、このエビデンス公文書は病院予定地の安全を保証する突っ張りだったはず。それが、外れてしまったことになる。さらに言えば、市は虚偽の内容の公文書を公表したことにもなる。

根拠崩れても市幹部は「建築可能」と強弁? 論理通らない!

 ところで、記事には報道の公正さを保つために市の見解も記されている。次のとおり。

 「市幹部は『旧温水プール跡地で新病院は建築可能』とした上で『市の所見だけでなく、エビデンスの一つとして学識者にコメントを求めた。安全性を保証してもらうものではない』と説明した。」(中日新聞2023年3月21日)

 この市幹部のコメントは論理が通らず、理解不可能。ところが、現在は、栢木市長はじめ一部の市幹部、さらには市議の一部の間にまで、これに類する論理がまかり通っている。

 そもそも、市役所内には専門家がいないため、「市の所見」だけでは保証(エビデンス)にならないので、専門家として陶器教授の確認を求めた。そしてそれをもって、議会、評価委員会、市民懇談会などで、地盤安全の説得根拠としてきた。今回その根拠が崩れた。

 そうであるのに、陶器教授が「建設可能と保証したことは一切ない」と表明したら、市は「安全性を保証してもらうものではない」と、トカゲのしっぽのように即切り捨てた。

保証切り捨て「建築可能」強弁の根拠ない 地盤安全確認ない 恩を仇で返す卑劣な行為 安全確認なしに暴走?

 この陶器教授の保証を切り捨てて、市幹部が「旧温水プール跡地で新病院は建築可能」と強弁できる根拠はどこにあるのか?どこにもない。体育館病院の地盤の安全は確認されていないことになる。

 以上のまやかし論理に加え、大きな問題は、陶器教授の好意と協力を得ておきながら、市に都合が悪くなれば、感謝も恩義もなしに、足蹴にして切り捨てて、市長の身だけを守ろうとする姿勢(市政)。まさに、恩を仇(あだ)で返す卑劣な行為。これは市長だけの問題ではなく、このようなことを黙認すれば、その責任は市民にも無関係ではない。

 このように実態が明らかになっても、市長は体育館病院の地盤の安全確認なしに暴走し、議会も追随するのか?