「諸般の事情により答弁を差し控える」 市長同様に一部の市幹部までが答弁拒否を当たり前のように行なう

 今日3月8日から市議会本会議での代表質問と一般質問が始まり、質問通告を見て、病院と駅前関連の質問を中心にネットで傍聴。結果としては、橋議員の代表質問と益川議員の一般質問。なお、明日以降では、小菅議員、奥山議員、岩井議員の一般質問がある。

 今日のやり取りの概要を紹介する前に、その全体を象徴(良く表した)言葉は、「諸般の事情により答弁を差し控える」。これは、益川議員が体育館病院予定地の地盤の安全性を確認した専門家とのやり取りについて質問した際の布施政策監の答弁。この一言で終わった。そして、その後もこの一言は他の答弁でも繰り返された。

 市長同様、一部の市幹部までもが、横柄尊大にはぐらかしや答弁拒否を当たり前のように行なう状況になっている。これらの幹部は、どちらに顔を向けているのか?基礎自治体の公務員でありながら、市民の方にではないことは確か。

予算額同額の約4200万円で株式会社プラスPMと随契 質問で業者との癒着の危険性指摘 市長は職員の不正防止に言及

橋議員は、まず、昨年末議会で可決された総額9300万円の体育館病院の準備事業の進行状況について質問。これについては、3月1日の病院特別委員会資料のなかに一覧表で概要が示されている。

 その内、すでに契約が終わったものの落札率(予定価格と実際の落札額との比率)についての質問。答弁では、大よそ60%から40%台と低い。ところが、9300万円の内でありながら、この一覧表に記載されていない、要求水準書の作成支援業務を随意契約で受託した、株式会社プラスPMとの契約額は、予算額とほぼ同額の約4200万円。この業者は、一昨年夏のBブロック病院の基本計画策定からかかわり、その後は随契で体育館病院の基本計画策定、そして今回の約4200万円の随契に至っている。そのうえ、今年度予算案として提案されているの8200万円の委託業務を入れると、1億4000万円近くになる。

 橋議員は、このような異常な進め方には、業者との癒着の危険性があるとの趣旨で質問した。市長与党会派と公明、立民議員の壁に守られてここまで来たが、確かに異常の域を超えている。

しかし、市長も布施政策監も問題ないとはねつけた。市長に至っては、職員が不正を働くことがないようにするとの趣旨の発言まで加えた。危険性は、職員だけに限られない。

基本計画の知識は随契理由にならない 競争入札の方がチェックが入り質が高まる

 布施政策監が随契が正当であるとしてあげた主な理由は、基本計画の知識を持っている業者であること。しかし、これは、まったく理由にならない。

 出来上がった基本計画はその内容の質は別として、客観的な市の文書・図書。他のコンサルタント業者でも、それを読み解いて十分業務を進めることができる。むしろ、新しい視点からのチェックが入って質が高まる。法が定めるように、競争入札すべき。

 ましてや、基本計画策定業務と要求水準書策定業務とは業務の内容が違う。橋議員が指摘するように、予算額と同額の契約は、すでに癒着の兆候と受取られる。なぜなら、この分野にある程度通じた人から見れば、先にこの業者から見積額を聞いたうえでそれを予算化したのではないかということになる。

橋議員の「歩切り」提案よりは競争入札 透明性・公正さ含めた遵法の確立が急務

 ところで、橋議員はこのような問題の解決策として、「歩(ぶ)切り」を提案した。10%の「歩切り」をすることで、市民の心配を解消し、説明責任を果たすことができると言った趣旨の提案だった。

 これにはトンデモナイ提案で、あっけにとられた。

 「歩切り」とは、工事発注の予定価格の設定に当たって、適正に積算して出た金額を不当にも根拠なく減額すること。過去には当たり前に行なわれていた。現在でも、慣例化して一部自治体等で行われているかもしれないが、法律で明確に禁止されている。「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(通称「品確法」)。

 法が禁止しているのは、工事の成果物の安全性確保の観点から工事に限られているが、契約の対等・正当性の確保と成果物の質の確保のために「歩切り」は避けるべき。

 そもそも、法律で公共契約の原則は競争入札と定まっている。市民の心配以前の問題として、法令に則って行政を進めること。今回の問題に限らず、今の野洲市政は法令どころかルールや社会常識からも外れている。透明性・公正さを含めた遵法(コンプライアンス)の確立が急務。

市議会が「歩切り」で法律違反となる予算案を審議採決することは許されない

 ところで、法律違反の「歩切り」と言えば、昨日の益川議員の議案質疑に対する布施政策監の答弁。橋議員の場合は工事ではなかったが、こちらは工事請負で、明らかに該当する。

 今議案となっている体育館病院の設計施工一括発注の予算額、すなわち債務負担行為の限度額の設定について、落札率を加味して割り戻した額で設定した趣旨の答弁を布施政策監が行った。

 まだ入札手続きに入っていないので、法律上の「歩切り」とは言えない。しかし、入札に当たっては、当然予算、すなわち債務負担行為の限度額以内に設定されるので、結果的には「品確法」に違反して、「歩切り」発注を行なわざるを得ない。

 野洲市議会が、法律違反を前提とした予算案を審議し、可決することは許されない。「市民の心配」どころでは済まない。

「市の中央で混雑の少ない土地」「多くの市民に理解いただいている」 これまでの繰り返しで進展なし

 橋議員はこのほか、準備事業が終わっていないのに、設計施工の債務負担行為を急ぐのか?地盤調査の結果が出てからではないかと質問。これに対し、市長だったか、布施政策監だったかは、地盤については過去の一定の調査内容で進めていると答弁。

 また、体育館病院が身の丈にあっているかとの質問をしたが、市長は場所が変われば変わるとの趣旨の無責任な答弁。ただし、「身の丈にあった病院を整備する。」と付け加えた。

 残念ながら、橋議員は、「身の丈にあった病院」とはどのような病院なのかと、肝心の質問をしなかった。

 医師会の議事録を取り上げ、市長の見解を質問したが、市長の答弁は、市の中央で混雑の少ない土地。多くの市民に理解いただいている。暮らしの安心につながる。医師会には引き続き丁寧に説明していくと、これまでの繰り返しで進展はなし。

県大陶器教授関連質問には「諸般の事情により答弁を差し控える」

 益川議員は、病院予定地の地盤の安全性を確認した文書を取り上げ、そこで「確認」行為を行なった専門家とのやり取りについて質問。なお、議員は質問では県大の陶器教授の名前は出さなかった。この質問に対し、上述のとおり、布施政策監が、諸般の事情により答えられないと一蹴。

 議員は、この専門家は建築構造の専門家だが地盤の専門家ではないと指摘して質問したが、政策監はこれに対しても答弁拒否。

 さらに、議員は、医師会がメールや手紙で照会したが返答ない。また、議員自らも手紙を出したが、返答がない。まったく返答がないということは、その先生は責任を負えないということではないか?加えて、市に情報公開で陶器教授と市のやり取りについて公文書公開を求めたが、期限が過ぎても公開どころか、返答がない。

 以上について議員が質問したが、布施政策監はまたまた、諸般の事情により答弁を差し控えると答弁。

「高専駅から1.3km、15分だがアクセス道路ない」「未来実現予算」

 最後に、今日のやり取りに関して病院以外の話題での名(迷)言を。

 県立高専に関して、駅から1.3km、15分、通学できる高専として選ばれたが、アクセス道路がないと市長が発言。道路整備を急ぐそうだが、通学路はじめ市内の危険個所を後に回して、県施設優先は本末転倒。

 もうひとつは、服部議員の「野洲駅南口周辺整備について」の議員と市長とのやり取りを聞いていると、まさに取らぬ狸の皮算用。そこで思い出したのが、先日報道された、「大きく野洲の姿が変わっていく変革期。『未来実現予算』として提案したい。」(びわ湖放送2023年2月28日)との発言。地に足が付かないで、浮足立っているのではないか?