議案質疑と補正予算案採決で注目点 議案概要の非公表は議員の独りよがり、特権意識? 何を質問しているのか十分理解できない

 今日3月7日から市議会の議案質疑と質問が始まるのでネット配信で本会議を傍聴。ただし、午後から市長に公務があるからという理由で会議は、議案質疑と補正予算案の採決だけで急遽午前の半ば過ぎで終わってしまった。それでも、いくつか注目点があったので、それらの概要を紹介。

 議案質疑は、村田議員、東郷議員、益川議員が行った。また、委員会審議を省く、今年度補正予算案などの採決に移ったが、補正予算案の採決に当たって益川議員が討論を行った。

 なお、先日も書いたように、議案、特に来年度予算案の概要資料が公表されていないので、議員が何を質問しているのか十分にはわからない。ネット傍聴していると、議員の独りよがり、特権意識のように見えてくるが、議会がなぜこのような対応をしているのか理解に苦しむ。

驚きのどんぶり勘定予算が常態化? 不落を避けるため最大限の額で見積もった! 競争働かない場合不当な高値での落札になる

 まず、村田議員の質問。着眼点が良く、いくつかの事実が明らかになった。

 1つめは、一般会計予算の交通協議会の新規立上げ予算の1319万円が高額ではないかと質問。これに対して、長尾市民部長が、ほとんどが業務委託のコンサルタント費用。落札されないと困るので、それを最大限の額で見積もっていると答弁。この答弁は驚き。これでは、どんぶり勘定予算。

 このような雑な予算見積もりが通る財政査定が常態化しているのか?このやり方で行くと、入札の時にも最大限の額で予定価格を設定することになる。もし、入札に当たって十分な競争が働かない場合は、不当な高値での落札になってしまう。

体育館病院地盤軟弱 大型階段撤去工事の大型クレーンでも地盤改良が必要

 村田議員の2つめの質問は体育館病院について。

 その質疑と布施政策監の答弁で明らかになったことは、体育館の屋外大型階段の解体撤去には大型クレーンを入れないといけない。しかし、地盤が軟弱なので、階段の解体撤去工事のためだけでも地盤改良が必要ということ。

 この他、村田議員は砂れき層の存在の確認など、軟弱地盤に関して質問したが、布施政策監の答弁は4月にボーリング調査し、5月に結果公表の繰返し。屋外大型階段を撤去しないでは完全なボーリング調査はできないはずだが、それに関して村田議員は質問しなかった。

 また、病院の建設費について、隣の守山市の新庁舎の額と比べ高額すぎるのではないかと質問したが、質問と答弁はすれ違い。

市民サービスセンター廃止で今さらの質問 

 続く議案質疑は東郷議員。

 病院や駅前に関してではなく、先の議会で自ら賛成した市民サービスセンターの廃止に関する質問。住民票などの証明書類がマイナンバーカードを使ってコンビニで入手できるが、高齢者などは使いこなせない。きめ細かな説明の場を設けるべきではないかという趣旨。これは、市民サービスセンターの廃止条例に賛成しておきながら、今さらながらの質問。

 東郷議員のもうひとつの質問は、地域交通に関するもの。長々と制度の紹介と持論を展開したうえで、市の見解をただした。焦点が絞られていない質問なので、長尾市民部長は仕方なく、要領を得ない答弁で対応。

 これらの質問は議案質疑になっているのか?一般質問ではないか?

要求水準書を精緻にして事業費高騰を防ぐという答弁は意味をなさない

 議案質疑の最後は、益川議員。

 体育館病院の事業について質問。予算案の病院整備費用は、基本計画の時からでも増額された。今後これ以上の増額ないかとの質問など。

 これに対して、布施政策監は、価格変更は、要求水準書を精緻にすることで防ぐ。ただ、体育館病院入口の市道の右折だまりの協議が今後あるが、その設置の必要性は低いので、これ以上の増額見込みはないと言い切った。

 そもそも要求水準書は契約締結後事業を進めていくなかで、当初予想しなかった問題が発生した場合、発注者と受注者が対等な立場で調整して解決するためのもの。当初契約額での履行を受注者に求める趣旨の乱暴な内容なら別だが、要求水準書を精緻にすれば、逆に増額の可能性が高まるのではないか?

 益川議員はこのことについてそれ以上追求しなかったが、要求水準書を精緻にして事業費の高騰を防ぐという答弁は意味をなさない。

 

 

Is値0.60確保を目的に現市立野洲病院東館の耐震補強工事計画  

 益川議員の議案質疑2問めは、病院事業会計予算案の現市立野洲病院の耐震対策について。耐震診断結果が過去の数値より改善したとの前提での質問。なお、この質問は後の補正予算案への賛成討論の伏線であったことが後で明らかになった。

 これら質問に対する竹内病院事務部長の答弁の趣旨は、少し補足をしてまとめると、次のとおり。

 耐震判断の基準が過去の調査時以降に変更になったことも改善の一因。公共施設の耐震判断基準はIs値0.75以上だが、通常の基準であるIs値0.60を確保することを目的に現市立野洲病院東館の耐震補強工事を行う。議案にある今年度補正予算案1200万円で、令和4から5年度にかけ、東館の耐震補強設計を実施。

 また、耐震補強工事とは別に、老朽箇所の改修工事も随時進めており、今後も実施する。

益川議員討論 新病院整備やめ、耐震補強工事で現病院の継続的使用前提で補正予算案に賛成 

 以上で議案質疑は終わり、今年度の補正予算案など委員会審議を諸略する議案の採決に移った。

 そこで、益川議員が病院事業会計補正予算案の採決に当たって異例にも賛成討論を行った。その趣旨は次のとおり。

 耐震診断結果が改善し、耐震補強工事が実施され、その結果Is値0.60が確保される。また、老朽箇所の改修工事も随時進められており、今後も実施される。今後様々な財政支出が見込まれるなか、新病院を整備しないで、耐震補強工事を行ない、現市立野洲病院を継続的に使用していったらよい。その前提で、1200万円の東館耐震補強設計費用を含む今年度補正予算案に賛成するといった趣旨の内容。

 なお、耐震診断結果が過去のと比べて改善したといっても、すべての階で改善したわけではなく、逆に悪くなった階もある。

益川議員の耐震工事後の現病院の永続使用案は非現実的 駅前病院からの方針大転換?

 益川議員のこの討論には、耳を疑った。

 確かに、以前触れたように現病院の耐震補強工事が完了してから、新病院の開院まで約1年間しかない。安全確保は重要だが、それを言うなら、栢木市長の病院現地半額建替え案の公約違反が明らかになり、病院整備が迷走し出した段階で現病院の耐震補強工事は着手されるべきだった。その意味では、見通しのなさによる無駄。

 過去のことは別にして、多額の費用をかけて1年ではあまりにも無駄すぎるので、現病院を相当期間利用することに合理性はある。

 しかし、1200万円の設計費用と6000万円の概算工事費での耐震補強工事と随時の改修補修工事で現病院を継続使用するには大きな無理がある。

 現病院の東館の老朽化は相当ひどい。そのうえ、手術室などの中枢機能が入っていて、特に、手術室は狭く医療基準を満たしておらず、継続利用は実質不可能。いずれにしても、耐震補強工事をしてもIs値0.60以上が確保されるだけ。

 Is値0.60は、住宅や事務所など民間施設基準。公共施設で災害時に復興拠点や避難所となる施設は、0.75以上となっている。なお、学校は0.7以上。言うまでもなく、新病院は0,75以上が必要な施設に該当する

 また新館も2000年頃の建築。実のところは、施工もあまり良質でないうえに、大規模改修工事の時期もそう先ではない。

 万が一、益川議員の意見のように、本気で継続利用するつもりなら、今回のような暫定で小手先の耐震補強工事でなく、抜本的な大規模改修工事の計画を立てて取組む必要がある。その場合にはおそらく、数億、場合によっては10億を越える事業費が必要。しかし、医療を継続しながらの抜本的な大規模改修工事は実質的に困難。

 このような見通しのなかで、暫定の耐震補強工事と随時改修で継続、あるいは永続使用をするという発想は非現実的で理解できない。ましてや、何億円もかかると言われている県立高専のグラウンドの市費での整備を了解しながら、市民の健康と医療のための病院を7200万円で済まそうという発想は残念。

 それよりも、傍聴した市民のなかには、今回の発言を益川議員が駅前病院から方針を大転換したメッセージと受取った市民も少なくないと思われる。