意見交換では市長発言がなく、そもそも市長との対話になっていない

 今年1月13日に開催された栢木市長と医師会との会合の記録。これについては、市がまとめた公式記録が2月20日の市議会全員協議会で報告され、その後公表された。ただし、その内容に医師会の意見が反映されなかったことを以前簡単に紹介した。

 この会合の記録を医師会として公式にまとめ、公表されたようで、それを入手した人から届けられた。

 その記録は、会合での発言をそのまま文字起こししたようで、市の記録と比べるとかなり長い。したがって、情報量も多い。

 以前の紹介と重なる部分もあるが、注目点を紹介すると次のとおり。

 なお、市長と医師会との会合ではあるが、市長は、開会時に言い訳じみた長い挨拶文を読み上げただけで、後の意見交換では発言していない。布施政策監と前川管理者応対していて、これでは、そもそも市長との対話になっていない。

 

県大陶器教授が返答しない異常さと名前の不記載 疑惑招く対応の繰り返

 まずは、例の滋賀県立大学の陶器教授。

 地盤の安全性に関連して、小西会長が「その先生に問い合わせをしたところ、全く返事がない。 お手紙とメールで出したんですが返事がない。」と発言。これに答えて、布施政策監が次のように発言。「評価委員会の委員で建築設計、構造計画のご専門の滋賀県立大学の陶器先生に確認致 しており」。

 この会合は報道機関に公開された。それなのに、市の公式記録ではこの部分は、「評価委員会の委員で建築設計、構造計画のご専門の先生に確認致しており」と、県大の陶器教授の名前が記載されていない。昨年11月14日の評価委員会の記録と同じ対応。なぜこのような疑惑を招く対応を繰り返すのか?

正直ではあるが自覚なく無責任な前川管理者発言 「駅前であると便利だと思います」「不便になる可能性はあると思う」

 もうひとつの注目点は、前川病院事業管理者の正直ではあるが、立場上はまったく無責任な発言。これでは、本人に市立野洲病院の経営と新病院整備の最高責任者の自覚が欠けているとしか言いようがない。いくつか紹介すると次のとおり。いずれも市の公式記録には載っていない。

 「私も今、 電車で行ってますけれども、 通勤、 医療スタッフに関して も非常に、駅前であると便利だと思いますが。 実際、今、京都であったり大阪から常勤 の先生が通勤されてますので、これ駅前に今あるから来られてるんですけれども、 駅前からのシャトルができたとしても少し、そういう意味では、ちょっと不便になる可能性はあると思う。」

 

市の病院事業の包括的な責任者の自覚がない

 前川管理者のもうひとつの自覚のない無責任発言。前川氏は、管理者に就任した限りは、野洲市の病院事業において包括的な責任を負う立場だが、本人がそのようには認識していないことは明らか。

 「私の立場は病院を建てる場所を決める責任者ではないのであり、決められた場所で運営しなさいという責任ですから、表現は良くないのですが、 市長あるいは市議会がそこの責任をとるべきであり、 私は与えられた環境で最善を尽くすのが立場である。」

「利便性のことを考えると、駅前が最良である」「野洲市全体の人口から言うと、ちょっとかなり不便」「近い将来に野洲から病院がなくなってしまう恐れ」

 最後の注目すべき発言の例。野洲市内で開業している医師会の理事からの体育館病院についての発言。いずれも長年の開業経験に基づく真っ当な意見。市長と市議会は、これらの意見を無視して、体育館病院に突っ走るつもりか?

 「野洲市の開業医として、早く建てることが確かに一番大事かもしれないが、それ以上 に、しっかりした安心した病院が必要と考える。」「私は近くに住んでいるが、 駅が遠い、朝交通集中して時間がかかる。地理的な中心であって何の意味もない。これから高齢化も進むので、車に乗れない人が増え、利便性のことを考えると、駅前が最良である。」

 「私も野洲で開院をしてますけれども、決して便利な土地ではありませんし、かなり、患者さんにとっては不便、祇王地区の方だけに関しては近くなって便利になるかもしれませんけども、野洲市全体の人口から言うと、ちょっとかなり不便になって、患者さんも激減するんじゃないかと思うんですけれども。あと、早く建てないことが離職者増につながってると、 医局の撤退につながると言っておられましたけども、不安定な土地に建つ、経営的にも将来性のない病院が建つことに対して不安に思って、皆さん離職されたり、医者が来なくなったりするんではないでしょうか。どちらもやっぱ安定して、経済的にも自立した病院を建てないと、近い将来に野洲から病院がなくなってしまう恐れがあると思います。」