新年度事業は手を広げすぎで綱渡り的 いくら2枚看板でも、職員の負担は増す

 昨日の市議会全協では耐震診断結果等に加え、新年度の人事異動方針も報告された。内容は職員の異動についてであるが、そこからは新年度の組織や事業が見えてくる。一見した感想は、あまりにも盛りだくさんで手を広げすぎ。

 当然、市立病院整備事業、駅南口周辺整備事業、県立高専関連事業があがっている。その他、新たに設置される主なものを拾うと次のとおり。

 ただし、上記3事業だけでも手に余る。そのうえ、現行でも職員数に限りがあり、限界に近のに、「室」の設置が過大で、綱渡り的。いくら2枚看板にしても、職員の負担は増す。

 

文化3施設再編のために企画調整課内に「文化施設再編推進室」を設置。

市民部に「文化スポーツ振興課」、同課内室として 「スポーツ施設管理室」及び「国スポ・障スポ大会推進室」を設置。

協働推進課内に「市民協働室」を設置。

県立高専隣接地に河川防災ステーション整備のために道路河川課内に「河川防災ステーション推進室」を設置。

 商工観光課内に「企業連携戦略室」を設置。

1460万円のいじめ対策が予算案の目玉 いじめを前提にした事後対策 現場の健全化と市政の密室・隠ぺい体質改善が先決

 また、昨日は新年度の予算案も公表され、今朝の新聞で報道されている。その概要を見ると、これまた、綱渡り的。

 記事の見出しは「いじめ対策に1460万円 一般会計265億円 法的支援や人員配置」(毎日新聞2023年2月21日)

 予算の目玉(重点)は、いじめ対策らしいが、いきなり1460万円は巨額。もちろんお金も要るが、まずは学校と市教委の仕組と風土、そして市政全体の密室・隠ぺい体質の改善が必要。

 記事では、法的な支援をする「スクールロイヤー」を新設。いじめ問題に詳しい弁護士からいじめ認知後の事実調査や指導などの支援を受ける。」(毎日新聞2023年2月21日)となっている。

 しかし、これではいじめが起こってからの事後対策。学校現場に余裕ができ、健全化されるための着実な取組みが必要。新たに学校支援員を1人配置するようだが、市教委への配置では限界がある。1460万円予算のこのような使い方はない!

 

病院事業費は100億円を超え天井見えない 

 予算案では、上記のこと以上に問題なのは、病院事業予算を含む全体の予算構成。

 一般会計の総額は265億円で、前年度比8.5%増で、過去最大規模。

この一般会計とは別に、病院事業会計で体育館病院の設計施工一括発注する費用として97億5200万円。この金額は病院本体の設計と建設工事のためのものなので、そこには用地の地盤造成や屋外大型階段の移設費用は含まれていない。全体事業費は軽く100億円を超える。

 なお、病院の設計施工一括発注費用97億5200万円は2023~26年度の4年間に執行されるので、債務負担行為としての予算化。ということは、4年間の工事費の高騰が正確に予測できないので、この点でも金額は軽く100億円を超え、最終の総額の天井が見えない。

 

過去に例見ない危険な予算 綱渡りの綱が先に切れる? 基金残高が約11億

 以上のことと合わせて、危険なことは、財政調整基金。「財政調整基金16億6000万円を取り崩し、23年度末の残高は11億410万円の見込み。」(毎日新聞2023年2月21日)となる。

 栢木市長は就任以来、基金残高を含め過去の財政運営の批判を繰り返してきた。「行財政改革推進プラン」で財政調整基金の残高を6億円にまで落としたようだが、病院事業のリスク(危険)見通しを考慮すると、これほどひどく危険な予算編成は過去に例を見ない。

 何もかもが綱渡り的だが、綱渡りの技があるかどうか以前の問題として、そもそも綱がもつかどうかが疑問。報道の情報で判断する限りでは、先に綱の方がもたないで、切れるのではないか?