診断結果でIs値が改善 2024年~25年度に耐震補強工事 過去の結果との比較と説明必要 診断費用は予算の半額以下

 今日2月20日の市議会全員協議会で一昨日触れた市立野洲病院東館の耐震診断結果が報告された。

 傍聴した人によると、過去の調査と同じように、耐震基準を満たしていない階がある。そのため、新耐震基準(Is値0.6以上) を満たしていない階について、基準を満たすよう耐震補強工事を行うとのこと。工事は2024年度から2025年度にかけての予定。これでは、工事の成果は2025年度の体育館病院の開院までの約1年間しか活かされない。

 診断結果に話題を戻すと、今回の結果は過去の結果と比べてIs値が改善されている。例えば、2階のX方向では過去が0.414で今回が0.647、3階のX方向では過去が0.388で今回が0.629。ただし、階によっては逆の結果が出ている場合もある。

 これら2つの結果のどちらが正しいのか分からないが、少なくとも過去の結果との比較・分析と説明が必要。ところが、今日の資料は実質的にA4判1枚の簡単なもの。

 このことに関して気になることは、耐震診断予算が1520万円計上されているのに、その半額以下の約749万円で契約されていること。あまりにも安いことが、耐震診断の精度に影響していないか?

 

 

 

医師会との会合記録には県大陶器教授の名前なかった 病院事業の犠牲者の最悪のケース

 また、今日の会議では、今年1月13日の栢木市長と医師会との会合の記録がようやく公表された。ただし、記録には医師会が求めていた県立大学の陶器教授の名前はなかった。重要な評価委員会の場で、体育館病院の地盤の安全性を「確認」(エビデンスを提供)した専門家として陶器教授の名前を公表しておきながら、委員会の記録にも今回の記録にも記載を拒む理由は何か?

 なお、昨日と今日、別々に入ってきた情報によると、陶器教授の所在が本当に不明らしい。また、教授本人が厳しい立場に追い込まれていることについて第三者に相談しているらしい。以前書いたように、ブラックホールのように犠牲者を飲み込みつつある、野洲市の病院事業の犠牲者の一人。おそらく、そのなかの最悪のケース。

「市はすでに持ち得るすべての資料を提供」 基礎固めの甘い病院計画であることを市長自ら表明

 この記録の公表に当たっては、異例なことに、栢木市長と前川管理者の連名の声明が付けられていた。標題は、「守山野洲医師会との意見交換の結果を踏まえた今後についての考え方 」。

 その冒頭で、「整備用地の地盤の安定性や病院経営の持続性に係る懸念が示されました。こういった具体の懸念事項について、市はすでに持ち得るすべての資料を提供し」と述べられている。

 肝心の陶器教授の確証(エビデンス)が揺らいでいるなかで、よくもこのような声明が出せるものと呆れる。

 しかし、見方を変えれば、この程度が栢木市長の手持ちの資料ということになり、まったく基礎固めがない病院計画であることを市長自ら表明したことになる。

体育館病院を「市民にお認めいただいた」? 医師会への決別状

 この声明文でもうひとつ注目されるのは、次のくだり。

 「本事業は、今や市議会ひいては市民にお認めいただいたものであり、その決定を執行部が変更することは、すでにできないところです。そして従前の資料でご説明の回数だけをただ重ねることも、 合理性に乏しいと考えます。」

 確かに、体育館病院の調査費等準備予算は議会で可決されたが、公式表明で「市民にお認めいただいた」というのは先走りすぎ。

 また、引用の後半部分は、実質的に医師会への決別状。

 

「医師会の学術性とは由縁がないご意見」 一方的批判は余裕と品位が欠けた対応

 今日の最後に、もうひとつ引用を。

 「医師会の学術性とは由縁がないご意見ではありましたが、 市長の信任に関するご意見も述べられました。」由縁とは公文にしては、古風で珍しい用語。

 これは前後の文脈からすると、一昨年9月に市長が医師会の役員会に出向き、市長が当時進めていた駅前Bブロック病院について医師会の了解を得た。医師会は駅前であることで市長案に「妥協」したが、市長はその後医師会に何の協議・連絡もなく、Bブロック病院を撤回し、体育館病院を進めてきた。ここでの「ご意見」とは、このような信義に反する市長の進め方に対する医師会の意見のことを指していると思われる。市長の方から約束を破っておきながら、それを「医師会の学術性とは由縁がないご意見」と一方的に批判することは、余裕と品位に欠けた対応。