診断結果で東館は耐震基準を満たしていないのを再確認

 来週月曜日、2月20日は市議会全員協議会が開催される。また、午後には市長の定例記者会見が予定されている。

 全協の会議資料は議員に事前配布されることになっているので、すでに渡っているはず。そして、そのなかに市立野洲病院東館の耐震診断結果が入っているらしい。

 伝わってきたところでは、1981(昭和56)年築で、もっとも老朽化が激しい東館は、耐震基準を満たしていないことがあらためて確認された。

「耐震補強を必要とするが、」「施工が極めて困難であると判断する」

 このことについては、旧民間病院時に実施された耐震診断をもとにして、市の検討委員会ですでに確認されている。次のとおり。

 「建物は各所で狭隘さ、⽼朽化が顕著であると⾒受ける。特に昭和56年に建築された東館は、『手術室』『病棟』『放射線・⽣理機能検査部門』『厨房』等、病院のコア機能が配置されているにもかかわらず耐震性能を満たしていない。耐震補強を必要とするが、耐⼒壁等耐震化を具体化させる上で、病院建物の構造上の制約が多いことや、稼働しながらの耐震補強工事についても、病院の性格上、施工が極めて困難であると判断する。そのため、建て替えが必要であるが、制約の多い現在地での建替えは非常に困難で、敷地の拡⼤も極めて困難であることから、医療機関としての継続を前提とした場合、移転建て替えによる全⾯的更新に依らざるを得ないものと考える。」(野洲病院支援継続可能性に関する提言書 平成28年3月14日  委員⻑ 今中雄⼀ 京都⼤学⼤学院医学研究科教授)

 なお、この提言書が出た2016(平成28)年3月、栢木市長は市議会議員で、監査委員でもあり、その内容を十分知っていた。

 

1年間使用のための耐震改修は不合理 それとも市長の公約実現? 体育館病院は中止?

 ところで、全協での報告資料では、耐震基準を満たすための補強工事を実施すると結論づけているとのこと。そして、そのための設計を2023(令和4)年度から2024年度にかけて実施。引き続き、2024年度から2025年度にかけて耐震補強工事を実施するらしい。

 このための設計施工にどれだけの経費がかかるのかは知らない。しかし、2025年度に耐震補強工事が完了したとして、この建物をいつまで使うつもりなのか?2026年度には体育館病院が開院することが正式決定されている。これでは1年間しか使用されないことになる。こんなことは、常識では考えられない、不合理で無駄なこと。

 それとも、体育館病院の整備を止めて、先日予測したように耐震診断結果をもとにして耐震改修を実施し、栢木市長の選挙公約の実現を目指すのか?

 コンピュータのプログラムと同じように、後から出た方針や情報によって先のプログラムが書き換えられるとするなら、2月20日に明らかにされる報告によって、体育館病院計画は消えることになる。

アスベスト規制以前の建物 使用の可能性は高い 結果はどうだった? 体育館の屋外階段でも同じ恐れ

 今回の耐震診断でもうひとつ気になることがある。それは、アスベスト。

 駅前病院の検討では、旧民間病院が行った耐震診断の結果から「建物は各所で狭隘さ、⽼朽化が顕著であり」、「医療機関としての継続を前提とした場合、移転建て替えによる全⾯的更新に依らざるを得ないものと考える。」(野洲病院支援継続可能性に関する提言書)ということが前提だったので、⽼朽化と耐震強度にしか着目されなかった。

 しかし、現病院を耐震改修し、2025年度以降病院として使用するのであれば、アスベスト使用の確認が必要。日本でのアスベストの使用規制は、ようやく1995(平成7)年から始まったが、全面的規制は2006年なってから。

 その間、1995年の制度改正で、アモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)の全面禁止になったが、その時も石綿含有量が1%以下の吹き付け作業やクリソタイル(白石綿)の使用は認可になっていた。

 また、2004年の制度改正でも重量の1%以下を含有するクリソタイル(白石綿)は認められた。したがって、2006年以前の建物にはアスベストが使用されている可能性がある。今回の診断でアスベスト使用の有無は確認されたのか?そして、結果はどうだったのか?

 なお、体育館やその屋外階段にもアスベストだ使用されている可能性は高い。もし、屋外階段に使用されているのであれば、解体除去費は大きく増加する。