県は駅前県有地に医療福祉拠点を整備する計画 お友達市長は逆行

 今朝の新聞に「県教育会館訴訟上告を不受理 最高裁」(読売新聞2023年2月11日)の見出し記事があった。内容は、大津駅前の県有地に関する訴訟が決着したもの。記事を引用すると次のとおり。

 「県庁西隣の県有地に立つ県教育会館(大津市梅林)を所有・運営する法人に県が立ち退きを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷は、法人側の控訴を棄却した2審・大阪高裁判決を不服とした上告受理申立を退けた。」

 「県は県有地を医療福祉拠点として整備する計画を立て、15年11月から退去要請。調停で解決せず18年に提訴していた。」(読売新聞2023年2月11日)

 滋賀県の三日月知事と野洲市の栢木市長は、県立高専のことだけでなく、様々な面で親しい関係にあると世間的に見られている。いわゆるお友達関係。ところが、医療に関しては県は駅前なのに市は逆。

 なお、県教育会館の場所は国土地理院の地図で緑のところ。

2期目知事選前のプロジェクト 「リハビリ専門職を養成する『大学などの高等教育機関』」計画に2015年度に変更

 ところで、参考までに今回の事件の背景を簡単に紹介すると次のとおり。

 三日月知事の3期目の選挙前のプロジェクトが県立高専だったように、2期目選挙前のプロジェクトが大津駅前県有地での医療福祉拠点整備だった。

 2014年度末時点での計画は、「県内の医師会、歯科医師会、薬剤師会などの医療福祉関連団体を集約した『医療福祉センター機能』を設置」(滋賀報知新聞2017年8月31日)する計画だった。

 しかし、2015年度になって、知事は急遽「リハビリ専門職を養成する『大学などの高等教育機関』」(滋賀報知新聞2017年8月31日)を設置する方針を打ち出した。「このリハビリ養成学校の目安は、4年制で1学年の定員が150人(4学年で600人)を予定していた。認可基準の生徒1人当たり10平方メートルに基づけば、定員600人だと敷地面積が6000平方メートル必要になる。そこでリハビリ養成学校の設置に必要な面積を確保するため、県は隣接する教育会館の退去を求めることになった。」(滋賀報知新聞2017年8月31日)

 このように、教育会館側は計画変更のとばっちりを受けた形。

県の駅前医療福祉拠点整備計画は県立高専計画に酷似

 今回確定した訴訟は、以上の経緯による立ち退き訴訟。このように見てくると、県の駅前医療福祉拠点整備計画は県立高専計画に酷似している。

 ところで、問題となった「『滋賀県教育会館』は、教育関係者が昭和6年に県から土地を借りて建設したもので、教職員組合など10の団体が利用」(NHK2022年5月19日)

 もちろん、現在の建物は戦後の建て替えで、戦後の改築時は大ホールで映画の興行やコンサートが行なわれた、緑の外壁のいわゆるモダンな建物だった。その後大規模な耐震改修も実施され現在に至っている。

 「訴訟で県側は、会館の土地は庁舎や学校など公的施設としての利用を目的とする『行政財産』に当たると主張。一方、会館側は、立ち退きによる損失補償が受けられる『普通財産』で、1959年の県との賃貸借契約に基づく借地権が60年間は存続し、不法占有ではないと主張していた。」(京都新聞2022年5月19日)