今回記事によるの広報戦略は巧妙で効果的

 昨日触れた滋賀産業新聞の記事。間違いや疑問点が多いが、新聞の性格からして、情報源は市長または市幹部。

 ただし、いくら業界紙であっても、それなりに広く読まれているし、業界関係者も市民であり県民。その人たちが記事の内容を信じて、知人や友人に伝えれば、その流れで業界に関係ない市民にも伝わる。むしろ専門筋からの情報として、それを伝えられた市民にとっては信頼性の高い情報となる。

 県立高専開校が1年延期になった時の、市ホームページのバナー取下げ対応のまずさと違い、今回の広報戦略は巧妙で効果的である。

栢木市長の病院現地半額建替え公約に市民が魅力を感じ、賛同したことが原因 現病院も駅からの徒歩圏

 記事のなかでも、昨日紹介した病院についての次のくだりはとりわけ酷い。

 「同市は今年度、駅前での病院整備を多くの市民が懸念し反対している」(滋賀産業新聞)

 「駅前での病院整備を多くの市民が懸念し反対している」という事実は確認されていない。栢木市長就任以降、病院が二転三転して体育館病院に至った原因は、そもそも2年数か月前の市長選において栢木市長が掲げた、病院を運営しながら駅前の半額で建て替えができるという公約に市民が魅力を感じ、賛同したからであって、「駅前での病院整備を多くの市民が懸念し反対してい」たからではない。

むしろ、現市立野洲病院も駅から徒歩圏内。市民は暗黙裡に、駅に近いということを前提で市長公約に賛同したと思われる。

 さらに、繰り返しになるが、一昨年(2021年)9月9日の医師会理事会に出席して、「総合体育館裏の駐車場用地は入院患者等や病院スタッフの利便性の問題や市街化調整区域であり国からの交付金が望めないことの課題がある」などと、市長みずからが体育館を明確に否定し、駅前Bブロックでの整備を表明した。

市長選時、公明、立民、田中議員含め過半数議員が駅前病院賛成で、まさに民意だった 記事は市長の公約違反の原点へ関心を戻す

 また、市長選当時の議会構成も過半数の議員が駅前賛成であった。現在なぜか体育館病院に賛成している、公明党議員、立憲民主党議員、田中陽介議員も駅前Aブロック病院に賛成であった。なお、公明党市議2人のうち1人は一昨年秋の市議選での初当選であるが、同党の前市議はAブロック病院の賛成であったし、現市議も市議選では支援者や市民に対して駅前病院に賛成と聞いていた。

 「駅前での病院整備を多くの市民が懸念し反対している」という事実は確認されていない。

 いずれにしても、市長が誤った情報に基づく記事を新聞が書くように誘導し、自らの公約違反を隠そうとせざるを得ないのだとしたら、体育館病院の見通しは盤石ではない。そして、あらためて、病院問題の根が、栢木市長の公約違反にあったことに市民の関心を呼び戻す。