対話による合意でなく引導渡しが目的だった

 1月13日の市長と医師会との会合が、「議論は平行線」あるいは「溝は埋まらず」の結果で終わった。その後どうなるか心配していた。ところが、市のホームページを今日見たところ、市長の結論が出ていたことが判明。1月16日の部長会議での栢木市長の冒頭発言。

 「守山野洲医師会との意見交換会に出席した。医師会の先生方の意見を伺うとともに、場所については市として機関決定し進めさせていただくということを説明させていただき、今後は地域医療の確立に向けて先生方にもご意見を伺いながら進めていきたいということを伝えさせていただいた。」(2023年1月16日部長会議要録)

 これを読めば、要するに市長は新病院について医師会と話合い、何らかの合意を目指すつもりが最初からなかったことが分かる。一部議員が医師会と出会えと要求したから出会っただけのこと。当初から、いわゆる引導渡しが目的。

対話姿勢・能力のない進め方は政策が成熟しない 「機関決定」は何を意味するのか?

 言うまでもなく、「意見を伺う」ということは、その意見をすべて取り入れるかは別にして、何らかの中身のある反応をすること。しかし、対話を避けて、「機関決定」したと手続き論で対話の扉を閉じている。このような対話をしない姿勢、見方を変えれば、対話能力のない進め方は、就任当初から同じなので、今さら驚かないが、これでは政策や事業が練られないし、成熟しない。

 そもそも、「機関決定」したとする、この「機関決定」が曖昧で何を意味するのか?。

 「機関決定」に関して、これまで市が公表した情報は、11月14日の評価委員会で示されたフロー図。一昨年の5月、市長はBブロック病院について決定とか結論とか公言して、事業を進めたが、あれは「機関決定」でなかったのか?また、河川防災ステーションが名目の県立高専の巨大な運動場は「機関決定」されているのか?駅前商業開発はどうか?

 

 

地域医療を支える医師会の意見を聴かず、その確立を求める愚

 前置きが長くなったが、市長発言に表れた考え方の重大な問題。新病院は、現市立野洲病院と同様、地域医療の中核を担う病院。言うまでもなく、地域医療を支えているのは、医師会の会員である開業医たち。その医師会の意見をまったく聴かないで、「議論は平行線」、「溝は埋まらず」のままで、立地決定し、建物だけ建てても、地域医療は機能しない。現市立野洲病院より状況が悪くなることは明らか。

 肝心の地域医療の拠点である新病院について医師会の意見を聴かないで病院をつくりながら、「今後は地域医療の確立に向けて先生方にもご意見を伺いながら進めていきたい」とは意味が繋がらない。論理が欠落していて危険。

 そもそも、医師会の意見が採用されない病院を拠点にして、医師会が地域医療の確立に前向きに取組めるはずがない。スポーツで例えるなら、選手の意向を無視して靴やラケットなどを先に揃えたうえで、今後優勝を目指して頑張れと発破をかけるようなもの。その結果は自ずから見えている。

「子どもの遊びのようなことをやっている」 子どもの遊びは成長に重要だが、市役所の遊びは危険

 ところで、半月ほど前のこと、市役所の状況に通じている人とたまたま話をした。その人が言うには、市長を中心に子どもの遊びのようなことをやっている。その場ではそれ以上の話はなかったが、こちらが理解したところは、これまでも懸念を示してきたように、ルール、制度、法令、市民や関係団体の意向を無視して、市長の発想のなかだけで物事が動いている。そして、議会もそれに追随。

 赤信号であっても市長が青信号と思えば青信号。危険地盤であっても市長が安全と思えば安全。教員による児童いじめ事件でも、事件の責任者である教育長・市教委がつくった言訳報告書が通用するなどなど。

 子どもの遊びは成長に重要だが、市役所と市教委の遊びは危険。